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工作機械工業会5月受注確報 5月22.1%減1195億円と弱含み続く

 5月の工作機械受注が1195億円(22.1%減)、5ヶ月連続で内外ともに減少続く

 

 6/20の15時に日本工作機械工業会の5月工作機械受注確報が開示された。5月受注は1195億円(同月比22.1%減)と5ヶ月連続同月比減、2ヶ月連続前月比減となったが1000億円超は28ヶ月連続確保。但し2021年2月の1056億円以来の金額に止まる。

 

 

外需は21.3%減817億円と5カ月連続の同月比減で2018年8月813億円以来の低水準

 

 外需は817億円(同月比21.3%減、前月比10.2%減)と同月比5ヶ月連続減少、3ヶ月連続の2ケタ減で3ヶ月ぶりに900億円を割り、2018年8月の813億円以来の低水準に。主要4業種では同月比、前月比とも全て減少した。一般機械は256億円(同月比20.7%減、前月比8.3%減)、主要3極で前月比減少も250億円はなんとか維持した。自動車も180.4億円(同月比32.2%減、前月比11.0%減)で、21ヶ月ぶりに120億円割れに。電気・精密も同様、113.4億円(同月比31.6%減、前月比19.8%減)と5ヶ月ぶりに120億円割れ。航空・造船・輸送機械は54.2億円(同月比1.7%減、前月比36.1%減)と米国の反動減で前月比大幅減に。

 

 主要3極別でも全て同月比、前月比で減少。アジアは360.1億円(同月比25.5%減、前月比12.4%減)、同月比5ヶ月連続減、3ヶ月ぶりに400億円を割れて本年最低額。国別では中国が235.1億円(同月比29.3%減、前月比9.1%減)と4月に中国最大の工作機械展示会(CIMT2023)が開催された後ながら5ヶ月連続減、前月比でも2ヶ月連続減と冴えない動き。中国の業種では一般機械が86.0億円(19.3%減)、自動車69.3億円(32.7%減)、電気・精密も53.0億円(40.9%減)と軒並み大きな減少に。減少幅が2ケタ減に。その他では韓国30.2億円(34.6%減)、台湾14.2億円(50.1%減)など厳しい。なおインドは同月比53.6%増の33.2億円も前月比では反動減で50%減。北米は253.4億円(同月比23.3%減、前月比4.9%減)とこちらも5ヶ月連続同月比減ながら、3ヶ月連続で250億円は確保し堅調を維持している。アメリカが222.1億円(同月比28.0%減、前月比10.0%減)。主要業種全て同月比減少。「航空・造船・輸送用機械」が30.6億円(同月比1.6%減)と一服、自動車31.3億円(63.8%減)、一般機械69.7億円(18.3%減)、電気・精密15.2億円(19.6%減)と厳しく、金利高、インフレ進行、景気後退懸念で投資にジョブショップで慎重な動きが顕著に。欧州は179億円(同月比12.7%減、前月比13.8%減)と、9ヶ月ぶりに180億円割れに。主要業種全て同月比減少。一般機械8.4%減、自動車28.9%減、電気・精密18.4%など。国別ではスイスが16.9億円(53.0%増)と健闘も、ドイツ42.4億円(8.1%減)、イタリア31.6億円(12.9%減)、イギリス16.6億円(32.7%減)など軒並み減少した。

 

 

内需は9ヶ月連続同月比減で378.1億円(23.6%減)と内需の弱さが継続

 

 内需は378.1億円(同月比23.6%減)と9ヶ月連続で前年同月比減、8ヶ月連続で500億円に達せず、3ヶ月ぶりに400億円割れで内需の弱さが継続している。主要4業種は同月比で航空・造船・輸送用機械のみ増加、前月比は全て減少。自動車が78.3億円(31.3%減)と7カ月連続減少、半導体不足が長引く中で23年は100億円を超える月がなく設備投資の盛り上がりに欠ける。一般機械も176.3億円(11.6%減)と9ヶ月連続マイナス。金型は4月の37.9億円のリーマンショック後の最高額の反動で16.7億円(同月比28.2%減、前月比55.9%減)に止まる。電気・精密は36.6億円(47.6%減)と4ヶ月連続減、半導体関連減速加速で半減状況。航空・造船・輸送用機械は18.0億円(12.5%増)と2ヶ月連続増加。なお全11業種中同月比、前月比減少が9業種ある。

 

 

5月販売7.9%増1248億円は5月として過去最高の販売額、受注残2.3%増8632億円に

 

 5月販売は1248億円(7.9%増)、5月として2018年の1227億円を抜き過去最高の販売金額に。部材不足や検収遅れ等の影響が緩和された効果もあるとみられる。なお年度末3月を過ぎ、BBレシオは4月に一旦1.16に回帰したが、5月は再度1割れの0.96に。受注残高は8632億円(同期比2.3%増)と高水準の残高を抱えているものの、受注低迷となれば受注残高もいよいよ前年同月比減少局面に。

 

 

主要5社5月受注は11.2%減の369億円は5ヶ月連続で同月比減少

 

 日刊工業新聞がまとめる主要工作機械5社の3月受注実績は369億円(11.2%減)と5ヶ月連続での減少。内訳は輸出263億円(4.0%減)、国内105億円(25.3%減)と内外とも減少。5社中、芝浦機械だけが中国向け受注増で22.35億円(22.3%増)に。オークマは137.73億円(10.1%減)も、輸出は90.31億円(4.9%増)と中国市場でのEV関連などが堅調だった。ツガミは73.15億円(12.1%減)も中国中心にEVで反発の兆しとも。

 

 

主要国・地域の金属加工機械(切削型+成形型)の2022年生産額は3.0減の825.8億ドル

 

 ガートナー社が発表した2022年の世界の金属加工機械生産額は前年比3.0%減の825.8億ドルとなった模様。国別では中国がトップで271億ドル超(前年比5%増)、10年ぶりの270億ドル乗せで14年連続世界1位に(但し中国のCNC工作機械比率は40%程度と考えるとCNC工作機械では100億ドル強程度)。日本は104.6億ドル(前年比0.8%減)、2年ぶりの減少となったが、これは単純に円安影響が大きかったためで、2年連続の世界第2位となった模様(CNC比率が99%水準で実質的に中国と並ぶ規模)。ドイツは102.5億ドル(前年比2.8%減)で日本と2位を競っている。

 

 実際、日本の2022年の生産額は経産省の生産動態調査で工作機械1兆788億円(前年比20.5%増)、鍛圧機械1303億円(同10.3%増)、合計で1兆2091億円(19.4%増)となっており、ドルベースでは2021年平均の109.8円から2022年平均131.5円、19.8%円安の影響がそのままドルベースでの生産額に出てしまっている。なお、工作機械の輸出額は円ベースで8571億円(20.3%増)となっており、これもドル換算ではほぼ横ばいの金額となるはず。ちなみに貿易統計で輸出台数は81072台(2021年は81040台で変化なし)、円安によって日本の高精度で耐久性もある日本の工作機械を海外の工作機械ユーザーが安価に購入でき、結果として購入金額は変わらず大きな節約ができたと見ることもできよう。

 

 

 

受注見通しは工作機械工業会会員アンケートで7~9月期受注回復期待僅かに増加

 

 日本工作機械工業会会員の6月上旬アンケート調査では、2023年7~9月期受注見通しが4~6月期に対し増加すると回答した割合が若干増加した。過去の経験則では見通しDIに対し、実際の受注額の動きが2四半期程度ずれる動きとなっており、4~6月期をDIのボトムと考える場合、10~12期に受注のボトムが来るという過去経験則での動きが期待される。このため、現在1~5月累計受注で6464億円(前年同期比14.6%減)と、工業会暦年受注予測9%減より厳しい数字で推移、当面6月受注についても厳しい数字が示されるとみられる。結果として2023年度第一四半期の受注は厳しいものとなろう。但し、工業会月次受注として1000億円を割り込む様な落ち込みにはならないとのこと。それでも2023年暦年での受注は工業会予想に達しない懸念がある。

 

 回復の鍵は自動車産業の設備投資、とりわけEV関連投資の拡大、半導体設備投資の回復にあるとみられる。またこれに金利上昇の停止、インフレの沈静化などが伴えば、2023年度第4四半期には急速な受注回復を見せる場面も出てこよう。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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