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日本と60年以上協力してきたタイの自動車市場が中国に傾倒しつつある

タイの自動車メーカー、サイアム自動車(Siam Motors)は1962年に日産自動車(Nissan Motors)と提携関係を結んでおり、日産自動車の初期の代理ライセンスや技術支援を追い風に、サイアム自動車は過去60年以上の間に自動車ディーラーからタイ自動車業界のパイオニアへと変貌を遂げつつある。

 

 今や年間売上高は70億ドルという巨額の数字に達しているサイアム自動車だが、次の経営軌跡は、かつて日本の自動車メーカーとともに縛られていた「進路」から脱出しようとしているのかもしれない。サイアム自動車グループのSebastien Dupuy副社長が最近明らかにしたところによると、サイアム自動車は中国の自動車メーカー数社と潜在的な提携関係について交渉しており、特に高級電気自動車分野での提携関係について交渉している。 Sebastien Dupuy副社長は「電気自動車分野は成長余地があるだろう。この分野の市場は成長しており、この機会を捉えたい」と語った。

 

1、中国と日本の自動車メーカーがタイの自動車市場を巡って「戦」する

 

 サイアム自動車が将来のビジネスの行方を位置づけていることから容易にわかるのは、タイの自動車業界で起きている急速な転換だ。2020年以降、比亜迪や長城汽車を含む14.4億ドル相当の中国からの投資は、従来から日本の自動車メーカーが主導してきたこの市場に新たな戦線を切り開いている。

 

 業界データ、業界関係者、アナリストの話によると、日本の自動車メーカーは、電気自動車の開発が長年放置されてきた結果、中国市場で販売不振の危機に直面した後、今やアジア市場のもう一つの重要な市場であるタイ市場でシェアを奪われるリスクに直面している。

 

 中国の新エネルギー車メーカーの波はすでにタイの自動車業界を再構築し始めており、中国からの自動車メーカーがサプライヤーを連れてきている。一方、サイアム自動車など日本の自動車メーカーとの関係が長いタイの現地企業も、中国企業との新たな提携の機会を積極的に模索している。

 

 統計によると、7月上旬までに中国の完成車生産・産業チェーン企業少なくとも8社がすでにタイに工場を建設したか、間もなく建設予定で、投資総額は130億元を超えた。この中には、6月にタイ市場への本格参入を発表した広汽エアンや、今年より早い時期に着工した上海汽車集団、BYD、ナタ汽車のタイ工場が含まれる。

 

 タイは東南アジア最大の自動車生産国・輸出国で、インドネシアに次ぐ第2位の販売市場。長い間、日本の自動車メーカーは同国で紛れもない支配的な地位を占めてきたため、数十年にわたり、タイは日本の自国市場の延長としてほぼ認識されてきた。

 

 しかし、昨年には中国企業が日本企業を抜いてタイ最大の外国人投資家となり、タイ当局者は共同で中国の電気自動車メーカーをタイに誘致しようと努力している。

 

2、電気自動車を得る者は未来を得る?

 

 現在55歳バンコク在住の配車サービス運転手を兼務しているPasit Chantharojwongさんは、「以前に15年間トヨタのカローラに乗っていたが、今年に入って長城傘下のオイラーを購入した。ガソリン車の運転には二度と振り向かない」と話した。

 

 タイ政府のデータによると、タイで昨年登録された新車85万台近くのうち、電気自動車は約1%にとどまった。しかし、今年1月から4月までの間に、その割合は6%を超えるまでに急上昇している。1月から4月までの登録データによると、この期間中、BYDはタイの電気自動車市場のリーダーであり、新規登録車両は7300台に達し、上海汽車集団、合衆汽車(Hozon)、米自動車メーカーのテスラが続いた。

 

 これに対し、今年新たに登録された電気自動車のうちトヨタからはわずか11台だった。トヨタ自動車と提携先のいすゞ、ホンダなどの日系車は、タイ国内で長く売れており、昨年はタイの自動車とトラックの販売台数の70%近くを占めた。だが、長らく純電気自動車を重視していなかったため、この分野はこれまでトヨタなど日本の自動車メーカーにとって弱点となってきた。

 

 野村総合研究所のタイコンサルティング部門の責任者は、「今後10年間、中国ブランドはタイの消費者に手頃な電気自動車を提供することで、日本の自動車メーカーから少なくとも15%の市場シェアを奪う可能性がある。その際、日本の自動車メーカーは一部のハイエンド市場に照準を合わせるしかない」と述べた。

 

 なお、タイ市場を失う潜在的なリスクに直面している日本車メーカーの中には、目下「腰が引けている」ところもある。トヨタはメディア向けの声明で、タイでの電気自動車生産を検討していることを明らかにした--同社がこの情報を公式に確認したのは今回が初めてだ。日本のトヨタ自動車は過去10年間でタイに70億ドル近くを投資し、約27.5万人の現地従業員を抱えている。

 

3、タイ政府の野心

 

 タイ政府がこれまでに策定した計画によると、遅くとも2030年までに年間生産台数250万台のうち、約30%を電気自動車にすることを目指しており、タイは東南アジア地域の主要電気自動車生産センターになることを目指している。タイが中国の電気自動車メーカーにラブコールを送っているのは、もともと日本の自動車メーカーのために作られた比較的充実した供給拠点と、多くの手厚いインセンティブの提供である。その中には、その後の現地での組み立てを条件とした輸入関税の引き下げや、電気自動車製造に対するいくつかの税制優遇措置が含まれている。

 

 2008年から、タイは「東洋のデトロイト」という自動車産業の発展目標を立て、完全な自動車産業チェーンを構築しようとしている。タイ政府はまた、2022年6月から電気自動車の輸入関税を8%から2%に引き下げるほか、EV 1台当たり15万バーツの購入補助金も支給する。タイ投資委員会(BOI)のナリット・サードスティラスクディ(Narit Therdsteerasukdi)事務局長は、「この地域の電気自動車ハブになりたいのであれば、自動車組み立て業界だけでは成り立たないことを認識した。電気自動車のエコシステム全体を強化する必要がある」と述べた。彼はここ数ヶ月に何度も中国を訪れている。

 

 BOIは5月31日時点で13社14件のプロジェクトを承認しており、年間生産能力は合計276640台の電気自動車となる。中国の自動車メーカーにとっても、タイ現地の人件費の低さや工場建設のための税制優遇措置の大きさなどのメリットは、魅力的だ。東南アジア地域第2位の経済大国であり、インドシナ半島中部に位置するタイも、東南アジア全体をカバーできる優れた地理的位置から、多くの国内自動車メーカーが入居している。

 

 長城汽車のタイ支社マネージングディレクター、Narong Sritalayon氏によると、長城汽車がタイを電気自動車の地域センターとして選んだのは、タイの強力なインフラ、サプライヤー、人材基盤、その成長可能性があるためだ。「特に電気自動車のような新規事業分野では、購買力があり、将来の成長計画を支援できる市場への参入を望むだろう」との見方を示した。

 

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(趙 嘉瑋)

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