特殊鋼熱間圧延鋼材 2023年6月生産及び2023年7-9月期生産計画
2023年8月16日、鉄鋼連盟が2023年6月の特殊鋼熱間圧延鋼材・生産・消費・在庫内訳を発表した。
特殊鋼熱間圧延鋼材の2023年6月の生産量は133万6,490トン、前年同月(134万5,892トン)比で0.7 %減と減少した。在庫量は70万1,596トン、前年同月(79万7,224トン)比12.0 %減となった。
2022暦年特殊鋼(熱間圧延鋼材)生産量は1,688万6,190トンと、2021暦年(1,855万1,321トン)比で9.0 %減、約167万トン減少した。
6月の生産量は22暦年生産量の月換算量140万7,183トンを下回った。
2022年度特殊鋼(熱間圧延鋼材)生産量は、1,635万5,847トンと、2021年度(1,831万8,104トン)比10.7 %減で約196万トン減少した。
6月の生産量は22年度生産量の月換算量136万2,987トンを下回った。
・2023年度第1四半期(2023年4-6月期)実績は393万7,399トンと2022年度第1四半期実績(417万4,329トン)比5.7 %減となったが、
経産省が2023年7月7日に下方修正して発表した需要見込み376万トンを約18万トン上回った。
2023年度第2四半期特殊鋼鋼材需要見通し @経産省 | MIRU (iru-miru.com)
・2023暦年上半期(2023年1-6月期)実績は782万824トンと2022暦年上半期実績(858万8,097トン)比8.9 %減となった。
2023年度第2四半期特殊鋼需要見通し詳細については下記記事をご参照ください。
2023年度第2四半期特殊鋼鋼材需要見通し @経産省 詳細第一報 | MIRU (iru-miru.com)
<特殊鋼熱間圧延鋼材 鋼種別四半期生産量推移>
図1に特殊鋼熱間圧延鋼材 鋼種別四半期別生産量推移を示す。グラフ右の1Q (4-6月期)見込み及び2Q(7-9月期)見通しは、経産省が7月7日に発表した需要見通し発表時の鋼種別の数値である。2Q(7-9月期)計画は、経済産業省が特殊鋼メーカーからヒアリングしてまとめた7-9月期の特殊鋼鋼材品種別生産計画である。金属課にお願いして入手したものである。
7-9月期の特殊鋼鋼材品種別生産計画は、需要見通しを上回り、2023年4-6月期実績をやや上回る生産量となっている。ステンレス鋼も前期比を上回る予想。
図1 特殊鋼熱間圧延鋼材の四半期別生産量実績と経産省発表値(見込み、見通し、計画)との比較
経産省金属課が発表した2Q(7-9月期)計画よると特殊鋼鋼材の生産量は406.5万トン。前年同期(417.3万トン)比では2.6 %減となるが、前期(4-6月期)実績(393.7万トン)比では3.3 %増となる。主力の自動車向け需要が国内を中心に回復し始めているため、前期を上回る生産水準となるとみている。
特殊鋼鋼材の四半期生産量が400万トンを上回るのは四半期ぶりとなる。四半期ベースで450万トンを超える生産が続いた21年度に比べるとまだ低い水準だが、主力の自動車向け需要に回復の兆しが出てきたことで、特殊鋼生産が今後上向く可能性もある。ただし、自動車の回復ペースはまだら模様で、「在庫調整の動きに注意が必要」ともしている。
計画によると国内向けを前年同期(297.4万トン)比2.4 %減の290.2万トン、輸出向けを同(119.9万トン)比2.9 %減の116.4万トンとした。
国内向けの品種別生産計画をみると、前期比では、機械構造用炭素鋼、ばね鋼、ステンレス鋼板などが増加。自動車向け需要を反映した計画となった。
一方、工具鋼、軸受鋼は前期実績を下回る見通し。
図2には熱間圧延鋼材(普通鋼・特殊鋼)及び特殊鋼鋼材鋼種別最終鋼材生産高推移を示す。
図2 熱間圧延鋼材及び鋼種別最終鋼材生産高推移(機械構造用炭素鋼、構造用鋼、構造用合金鋼、特殊用途鋼)
2023年6月迄 暦年、年度及び四半期生産量は月平均値
・2022年度第4四半期(2023年1-3月期)の特殊鋼(熱間圧延鋼材)生産量実績は388.3万トンと、2021年度第4四半期(441.4万トン)比で、12.0 %減。
・2023年度第1四半期(2023年4-6月期)の生産量実績は393.7万トンと、2022年度第1四半期(417.4万トン)比で5.7 %減。
・2023暦年上半期(1-6月期)の生産量実績は782.1万トンと、2022暦年上半期(858.8万トン)比で8.9 %減となった。
表1に2023年8月8日に金属課より入手した2023年7~9月期 特殊鋼熱間圧延鋼材生産計画(国内・輸出向け)を示す。
ただし2023年4-6月期の数値は実績見込みである。
(IRUNIVERSE tetsukoFY)
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