第9回「建設構造用鋼材と利用技術セミナー」4年ぶりに対面で開催される
一般社団法人日本鉄鋼連盟では健全なる鉄骨造建築の普及活動として、2014年度から「建築構造用鋼材と利用技術セミナー」を開催している。コロナ禍の影響によりオンラインセミナーの開催が続いたが、2023年度は4年ぶりとなる対面形式による講演を全国7都市にて開催中。
10月6日(金)に福岡会場からスタートし、11月15日(水)の広島会場で終了となる。
第9回となる今回では、最新の研究成果や世の中の動向を踏まえて、建築構造用鋼材の利用技術、新工法等に関する5つのテーマについて、実務的・実践的に解説される。
演題は下記で構成される。
日本鉄鋼連盟 建築委員会の「開会挨拶」の続いて
日本鉄鋼連盟 建築構造研究ネットワーク幹事会※1による「基調講演」
日本鉄鋼連盟 建築委員会による「各種溶接部の必要性明確化に関する研究」
日本鉄鋼連盟 建設環境研究会による「日本の鉄鋼業におけるカーボンニュートラルの実現に向けた取り組み」
日本鉄鋼連盟 ボックスコラム委員会「冷間成形角形鋼管の溶接・加工品質向上と施工合理化について」
国立研究開発法人 建設研究所「建研における鉄骨造建築物に関する最近の研究」
アイアールユニバースでは、本日10月11日に東京会場(東京証券会館)を取材予定。
日程・会場
- 福岡会場 10月06日(金) アクロス福岡
- 東京会場 10月11日(水) 東京証券会館
- 仙台会場 10月20日(金) TKPガーデンシティPREMIUM仙台西口
- 大阪会場 10月27日(金) 新梅田研修センター
- 名古屋会場 10月31日(火) ウインクあいち
- 札幌会場 11月10日(金) TKP札幌ビジネスセンター赤レンガ前
- 広島会場 11月15日(水) 広島八丁堀カンファレンス21
※1 建築構造研究ネットワーク幹事会とは
日本鉄鋼連盟では、鉄骨造の健全なる発展と普及に資することを目的に、 建築鋼構造を研究する大学・研究機関等の研究者で構成する建築鋼構造研究ネットワーク(幹事長:多田 元英 大阪大学 名誉教授)を組織し、研究活動等を行っている。今回のセミナーでは、開催地区毎に、同ネットワーク活動に参画されている方々による基調講演が行われる。
東京会場では、東京大学 山田教授によるテーマ名:構成部材の挙動に基づく鉄骨造骨組の耐震性評価 について講演される。
建物(骨組)の耐震性能を評価する有力なツールとして、時刻歴応答解析がある。 解析の信頼性は、適用される履歴モデルに依存する。最も基本的かつ信頼性の高い方法は、実験結果に基づくモデルを使用することであるが、実験では予算や時間の制約により、試験体の形状や使用材料、荷重条件などのパラメータが限られたものとなる。 したがって、数値解析による補完も必要である。
本講演では、様々な載荷条件および載荷プロトコルで実施した鋼部材の繰返し載荷試験の実験結果と数値研究の解析結果に基づく、繰返し曲げを受ける現実的な履歴モデルについて紹介する。合わせて、中低層ラーメンを対象に行った一連の解析結果についても紹介する。
その他の講演要旨
日本鉄鋼連盟 建築委員会による「各種溶接部の必要性明確化に関する研究」
日本鉄鋼連盟では、鋼構造の利用環境整備の一環として、鉄骨製作技術に関する様々な課題の解決に向けて取り組んでいる。今までに、「建築 鉄骨溶接部の機械的性質の標準試験マニュアル(JSS IV13-2016)」や「内ダイアフラム エレクトロスラグ溶接部の脆性的破断防止ガイドブック」を刊行するなどの成果をあげてきた。これらは490N/mm2 級鋼を対象とした もので、近年の建築物の高層化・大型化を受け、590N/mm2 級鋼など高強 度鋼への適用拡大を目指した研究を続けてきた。
本講演では、昨年度 に取りまとめた「高強度鋼材の各種溶接部の必要性能の明確化に関する研究報告書」を取り上げ、その概要と今後の動きを紹介。
日本鉄鋼連盟 建設環境研究会による「日本の鉄鋼業におけるカーボンニュートラルの実現に向けた取り組み」
日本鉄鋼連盟は我が国の2050年カーボンニュートラルという野心的な方針に賛同し、日本鉄鋼業としてもこの実現に向けて果敢に挑戦することを宣言した。また、その挑戦の最中でも市場への低炭素鋼材の供給を可能とすべくマスバランス法によるグリーンスチールの普及に向けたガイドラインを策定しました。
本講演ではこれらの宣言やガイドラインに基づく 取組みの内容と現状を紹介するとともに、既に規格化されている鉄のリサ イクル効果を反映した鉄鋼製品のLCI手法の考え方を解説。
日本鉄鋼連盟 ボックスコラム委員会「冷間成形角形鋼管の溶接・加工品質向上と施工合理化について」
本研究は、鉄骨造建築物の柱材として最も多く使用されている冷間成形角形鋼管柱を対象に、溶接部の品質向上と施工合理化を目指すものである。 具体的には溶接部の要求性能を数値解析及び構造実験等により明らかにすると共に、溶接部の保有性能を定量的に評価する手法をまとめ、これにより、鉄骨製作工場認定制度における性能評価基準の入熱量、パス間温度の 管理値を緩和することを目的とします。さらに、柱端の溶接接合部に要求される性能を適切に評価することで、より一層の施工合理化を図る溶接条件を導出します。
今回は、研究会の成果として、冷間成形角形鋼管溶接影響部の機械的性質、延性亀裂発生条件に及ぼす影響に関する解析的検討結果 について紹介。
国立研究開発法人 建設研究所「建研における鉄骨造建築物に関する最近の研究」
本講演では、昨年度、建築研究所で実施した鉄骨造建築物に関する以下の2つの調査、研究を紹介する。
(1)地震による鉄骨造建築物の損傷部位の補修工数等に基づく耐震性能の表示
(2)避難施設となる体育館の地震時損傷評価に関する振動台実験
(1)は、建研の指定課題「建築物の耐震レジリエンス性能指向型設計・評価手法に関する研究(R4〜R6年度)」の一環として実施した鉄骨造事務所ビルの地震時の補修工数等に基づく耐震性能の表示に関する検討。
(2)は、地震時に避難施設として利用される体育館(鉄骨引張ブレース構造)に関して、耐震性能の評価方法と損傷を検知する方法について、振動台実験での検討結果を紹介する。
(IRUNIVERSE tetsukoFY)
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