週刊バッテリートピックス 「トヨタとホンダが電池事業でそれぞれ他社と協業へ」など
2023年10月9日-14日のバッテリー業界では、自動車メーカーによる電気自動車(EV)関連事業での他社との協業発表が相次いだ。トヨタが出光興産と、ホンダが三菱商事と、それぞれ全固体電池やEVバッテリー転用事業などで協業すると発表した。世界ではEV向けバッテリー分野での中国勢の強さが鮮明だが、日本勢も動きが活発化している。
<国内>
●トヨタと出光、EV向け全固体電池の量産で協業へ
トヨタ自動車と出光興産は10月12日、バッテリーEV(BEV)用の有力な次世代電池である全固体電池の量産化に向けて協業を進めることで合意したと発表した。固体電解質の量産技術開発や生産性向上、サプライチェーンの構築に両社で取り組むとしており、2027~28年の全固体電池の実用化と、その後の本格量産を目指す。
トヨタ 出光 バッテリーEV用全固体電池の量産へ協業――2027~2028年の実用化目指す | MIRU (iru-miru.com)
プレスリリース: 出光とトヨタ、バッテリーEV用全固体電池の量産実現に向けた協業を開始 | コーポレート | グローバルニュースルーム | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト (global.toyota)
●ホンダと三菱商事、EV電池の転用などで協業へ
本田技研工業(ホンダ)と三菱商事は10月12日、EV用バッテリーの転用やV2Gなどの事業化を検討する目的で、了解覚書(MOU)に署名した。EVおよび車載バッテリーの利用価値向上につながるビジネスモデルの構築を目指す。
プレスリリース: Honda | Hondaと三菱商事、EV普及拡大を見据えた新事業創出に向けた覚書を締結 (global.honda)
●東京理科大、リチウム硫黄電池の性能向上実験に成功
東京理科大学理学部第一部応用化学科の共同研究グループは、10月12日、リチウム硫黄電池の性能を飛躍的に向上させる実験に成功したと発表した。
ナノクラスターをグラフェン上に担持したナノシートを作製し、セパレーターや電極としてリチウム硫黄(Li-S)電池に組み込むことで、Li-S電池の性能を飛躍的に向上させる。
プレスリリース: PtドープAuナノクラスターの触媒活性を利用、リチウム硫黄電池の性能が飛躍的に向上~全固体リチウム硫黄電池の実現に大きな一歩~|東京理科大学 (tus.ac.jp)
<海外>
●世界のバッテリー市場シェア、中国勢で過半 CATLとBYD
韓国調査会社のSNEリサーチが10月11日に発表した公開リポートによると、2023年8月末時点のEV向け車載電池の世界市場シェアは、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)が37%で首位だった。2位は同じく中国のBYDで16%。両社合わせて53%と世界のEV向けバッテリーの過半を中国勢が占めた。
8月末時点のEV電池の世界市場シェア
(出所:SNEresearch)
リン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池の急速な普及が中国勢のシェア拡大に結び付いたとみられる。3位は韓国のLGエナジーソリューションで14%。パナソニックは4位だった。
●欧州電池業界がブラックマス流出を警戒
欧州の電池関連業界団体である欧州金属協会(Euromeaux)と欧州二次電池協会(Recharge)はこのほど、WWF Transport and Environment などのNGOと共に、欧州委委員会に向け、EU域内からブラックマスの流出を防止する措置を緊急採択するよう要請した。
関連記事: 欧州電池業界、アジアへのブラックマス流出を大きく懸念 | MIRU (iru-miru.com)
●豪電池負極材メーカー、ベトナム現地企業と協業へ
黒鉛系開発企業および電池負極材メーカーである豪EcoGraf社は10月9日、ベトナムでのバッテリー負極材(BAM)施設の開発に向けて、ベトナム企業VinES Energy Solutions Joint Stock Company(VinES)との間に拘束力のない覚書(MoU)を締結したとの発表を行った。同社によると、VinES社はベトナム最大の民間コングロマリットであるVinGroupのメンバーで、革新的なクリーンエネルギー・ソリューション・プロバイダーおよびリチウムイオン電池メーカーである。
関連記事: 豪EcoGraf社 ベトナムでのバッテリー負極材(BAM)施設の開発に向けVinES社とMoU締結 | MIRU (iru-miru.com)
(IR Universe Kure)
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