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南アの港湾混雑、ダーバンで18日沖待ち

 慢性的な電力不足に悩む南アフリカで最近その主要港湾のほとんどすべてで大規模な港湾混雑が発生しており、深刻な貿易・経済状況を巻き起こしている。

 

コンテナ荷役の遅れ

 世界有数のデンマークの船社Maerskが11月10日付の南アフリカのコンテナターミナルの混雑状況を荷主に通達した中で、ケープタウンでは待ち時間が5~7日にやや改善するも生産性は依然低く、完全復旧には2~3週間かかる見込み、ポートエリザベスは6~7日の遅延で復旧まで3週間、ダーバンはPier 1が復旧まで3~4週間、Pier2はクレーン故障などで待ち時間は18日で改善が見込めず、復旧には8~12週間かかる見込みとの報告。

 

 この状況下で 国営物流グループTransnetの港湾運営部門、トランスネット、Transnet Port Terminals(TPT)は先月、船社と協議し今後の荷役機器の更新計画をまとめ、主要なコンテナ港であるダーバン港ではガントリークレーン、タイヤ式ヤードクレーン(RTG)などの荷役機器の拡充・増強に向けての早期調達に動いているとの報道。

 

 この深刻な混雑により、世界の主要なコンテナ船社は最悪のシナリオとして南アをコンテナ航路サービスから除外せざるを得なくなっている模様だ。スイス船社のMSCは(12月3日付けで)南アフリカのすべての港での貨物に対する渋滞サーチャージを適用すると発表、デンマークの船社マースクは、12月1日から輸送コンテナ当たり200ドルから400ドルの目的地混雑料金を課すと発表し、フランスの船社CMA CGM は、アジア諸国から南ア向けコンテナ貨物に250ドルのサーチャージを発表した。

 

ばら積み港での状況

 同国にとって重要なバラ積み港(ブレーク・バルク)であるリチャーズ・ベイ(Richards Bay)も渋滞と遅延に悩まされている。トランスネットは、11月20(月)、アフリカ最大の石炭積み出し港である同港への前例のない貨物輸送量を受け、秩序回復のために石炭を運ぶトラックの受け入れを一時中断し予約制にすると発表。

 

 同港は今夏、環境問題がもとで一時操業停止を余儀なくされ、また10月には施設火災が発生し再度操業停止したばかりで、今後の石炭等の鉱物資源の輸出への影響が大きく懸念されるところだが、トランスネットはこの問題に未だ言及していない。

 

Transnetの見解

 トランスネットは、今回の渋滞と遅延が一連の悪天候による荷役機器の故障、設備やメンテナンスへ部門への投資不足、港湾労働者問題などを挙げており、目下、船社や輸送業界と協議し今後の荷役機器のさらなる更新計画をまとめている模様。

 

 いずれにしても同国の港湾荷役の問題、特に港湾インフラの老朽化は今に始まったことではなく、昨年10月に発生した港湾労働者ストの発生時にも度々指摘されてきたことであり、今回のトランスネット主導による大規模渋滞を機に抜本改革が切に望まれる。

 

南アのフォワーダー協会の見解

 南アフリカ貨物輸送業者協会(SAAFF)によると、今回の港湾での荷役の遅れによる渋滞は危機的状況であり、現在96隻の船舶が港の外に沖待ち停泊しており、1日あたり9,800万ランド(532万ドル)の経済損失が発生しているとのこと。

 

 最後に、複数の海外メディアによると問題解決は最悪来年の2月頃までずれ込むのと予測しており、SAFF予測だと混雑解消は来年1月末から2月初旬までになるだろうとのことで、今後の成り行きが注視されるところ。

 

 

(IRuniverse H.Nagai)

世界の港湾管理者(ポートオーソリティ)の団体で38年間勤務し、世界の海運、港湾を含む物流の事例を長年研究する。仕事で訪れた世界の港湾都市は数知れず、ほぼ主だった大陸と国々をカバー。現在はフリーな立場で世界の海運・港湾を新たな視点から学び直している。

 

 

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