ダボス会議 世界で最もサステナブルな企業に2年連続でリサイクル企業が1位で選ばれる

スイス・ジュネーブに本拠を置く非営利財団、世界経済フォーラムが開催する「ダボス会議」が1月19日に閉幕した。
その中で注目される内容の一つが、カナダの出版社Corporate Knights(コーポレート・ナイツ)が発表する「Global 100 Most Sustainable Corporations in the World (Global 100 Index:世界で最もサステナブルな企業100社)」だ。
これは売上高10億米ドル以上の上場企業6000社以上を対象に、環境・社会・ガバナンス(ESG)などの観点から企業の持続可能性を評価し、スコアの上位100社を選出しているものである。
年々メソドロジー(評価手法)は改定されている為、企業の入れ替わりも結構な頻度で起こる指標となっている。
そんな中で1位となったのは、世界各地で金属リサイクル事業を行う企業のSims社(シムズ社)である。
シムズ社はオーストラリアのMascot(マスコット)に本社を置く金属リサイクル会社だ。
同社は鉄鋼の二次原料やその他の金属合金、残渣(主にアルミニウム、鉛、銅、亜鉛、ニッケル含有原料)の収集、加工、取引を行っている。
大きな特徴として、収益と投資の100%がコーポレート・ナイツ・サステナブル・エコノミー分類法(Corporate Knights Sustainable Economy Taxonomy)に合致するという点が挙げられる。
Global 100 Indexを設定しているCorporate KnightsはSims社を「循環型経済ピュアプレイ企業」とこれ以上無い賛辞をもって評している。
Global 100 Indexは昨年の動きとして米国の金属リサイクル業者Schnitzer Steel Industries, Inc.(シュニッツァー・スチール)が1位としてランクインした事でも話題となった。
今回同社はRadius Recycling(ラディアス・リサイクリング)と社名変更となった上で36位にランクインを果たしている。
他にも前回3位であったオーストラリアのサプライチェーンロジスティクス会社であるBrambles,Ltd(ブランブルズ)が2位に、前回2位のデンマークの風力発電機材の生産を手掛けるVestas Wind Systems A/S(ベスタス)は3位とお互い順位を入れ替える形となった。
Taiwan High Speed Rail Corp(台湾高速鉄道)やNordex SE(ノルデックスSE:風力タービン等の発電機材事業者)、Banco do Brasil SA(ブラジル銀行)など錚々たる顔ぶれが上位を取り巻く中で、日本企業の大手製薬会社エーザイ株式会社も35位へとランクインを果たした。
他には日本企業は72位に株式会社リコーが、100位にシスメックス株式会社がランクインしている。
一方で知名度のある企業としてはテスラは46位(前回は86位)、アップルが71位(前回73位)、2022年にはランクインを果たしていたTSMCやインテルといった顔ぶれは今年は選出対象外となっている。
実際に二年続けて環境リサイクルに携わる企業が1位にランクインを果たし、加えて風力発電事業やソーラー発電事業の製造元や参画企業がこの2年で評価をされるというのは大きな風向きの変化であると見て良いだろう。
特に金属リサイクルにおいては、前回と今回の結果も合わせて大きく注目を集めていると言える。
今後どういった企業が投資先として有望株となっていくのか、年始よりその萌芽がはっきり見えている格付けとなった。
出典:The Global 100 list: How the world’s most sustainable corporations are driving the green transition
https://www.corporateknights.com/rankings/global-100-rankings/2024-global-100-rankings/the-20th-annual-global-100/
(IRuniverse Ryuji Ichimura)
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