中国 再生アルミニウムの使用に向けた政策支援を拡大する

第14回全国人民代表大会の代表で、中国アルミ業集団ハイエンド製造股份有限公司の李謝華総経理は例を挙げ、「アルミ新地金1トンの生産には20,000Kwhの電力を消費するが、再生アルミの場合はそのわずか3%の600Kwhの電力を消費するだけであり、再生アルミ生産の炭素排出強度はアルミ新地金の約5%である。このように比較すると、再生アルミの経済的、社会的効果は非常に顕著である」と述べた。
アルミニウムは、生活の中にはどこにでもある。小さくても鍋やフライパン、ドアや窓、携帯電話から、大きくても航空・宇宙、自動車、建築まで、国民経済の重要な産業の一つだ。近年、経済社会の急速な発展に伴い、アルミニウムの需要が増加している。しかし、産業規模の大きさなどの影響を受け、炭素ピーク、炭素排出削減の任務は困難であり、再生アルミニウムの利用を拡大するのは良い方法である。
近年、国は一連の財政・租税優遇政策を打ち出し、企業が再生資源の総合利用を拡大するよう誘導しており、例えば『資源総合利用製品・役務増値税優遇目録(2022年版)』などがある。30年以上のアルミニウム製造業従事者である李謝華総経理は、「同目録は優遇政策を受けられる再生アルミニウムの回収範囲の規定が狭すぎる。かつ指定再生アルミニウムが投入原料に占める割合が高い。大部分の規模企業は努力しても、目録に規定された関連条件を達成できず、資源の総合利用が徴発された場合にすぐに返却される優遇政策を受けられない」と指摘した。
現在では、この問題を発見し、地方的な規制を導入している自治体も出てきています。過去1年、李謝華氏も積極的にアルミニウム製錬および加工業界のモデルチェンジと発展のために奔走してアピールした。李謝華氏は財政部重慶監督管理局と座談した際、専門的論証を経た『資源総合利用製品及び役務増値税優遇目録における再生アルミニウム資源の範囲拡大に関する提案』を提出した。
李謝華総経理は、「現在、米国、日本及びドイツなどの先進国の再生アルミニウム生産量は一般的にアルミニウム新地金の生産量を上回っているが、中国の再生アルミニウム生産量は世界の平均水準に比して下回っており(逆にいうと新地金の生産が多すぎるゆえ)、発展の余地はまだ大きい」と述べた。
李謝華総経理は、「現在、重慶市には璧山、江津、キ江に再生アルミニウム産業パークがあり、全市の年間使用量は100万トンに達している。しかしアルミニウム価格の変動やコスト上昇などの衝撃に直面しており、アルミニウム製錬および加工業界の発展には税金・費用の優遇などの政策支援が必要だ」と述べた。
これに対し、資源総合利用製品・役務付加価値税優遇リストに含まれる再生アルミニウムの範囲を拡大し、企業がリサイクルする内製廃棄物や廃アルミ缶を除く社会再生アルミニウムも税制優遇リストに含めるよう提言した。また、企業の原料投入に占める再生アルミニウムの割合を適切に引き下げ、より多くの企業が優遇政策を享受できるようにし、企業が再生アルミニウムの使用を拡大するようさらに誘導する。
(趙 嘉瑋)
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