ダイセキ(9793) 24/2期WEB説明会メモ ややポジティブからニュートラルに変更
24/2期18.1%増収16.5%営利増で最高収益更新、25/2期は5.2%減収5.5%営利減と一服
株価3250円(4/11) 時価総額1660億円 発行済株51,000千株
PER(25/2期DO予17.8X)PBR(1.97X)配当(25/2予)66円 配当利回り:2.1%
要約
・24/2期18.1%増収16.5%営利増で最高収益更新、単体、環境ソリューションいずれも更新
・25/2期は単独が連続最高益予想もソリューション不振で5.2%増収5.5%営利減と一服予想
・新中計で27/2期売上高745億円、営利160億円達成し、更に「VISION2030」実現目指す
24/2期18.1%増収16.5%営利増で最高収益更新、単体、環境ソリューションいずれも更新
4/4に24/2期決算が開示され、4/5にWEB決算説明会が実施された。24/2期は、売上高692.16億円(1/5増額修正予想比12.16億円増額、18.1%増)、営業利益148.14億円(同0.14億円増額、16.5%増)、経常利益154.52億円(同4.52億円増額、18.3%増)、税引利益94.65億円(同2.65億円増額、9.2%増)となった。基本的にはダイセキ環境の増額で全体が増額、また単独がほぼ計画通りに推移し、最高収益更新となった。
ダイセキ単体の24/2期は、売上高371.55億円(期初計画比0.55億円増額、9.2%増)、営業利益104.63億円(同1.63億円増額、8.5%増)と、漸く営利100億円超過達成、全項目で過去最高額更新となった。連結での構成比では売上53.7%、営業利益では70.6%を占めた。
売上面では国内鉱工業生産が一進一退の中でマーケットシェア25.3%、 23年2月末比0.1%アップの25.3%を確保している。大手工場顧客中心にシェアアップしており、廃液入荷量が111万t(4.2%増)を確保、過去最高収益更新となった。収益性ではリサイクル原料の利用拡 大で外注加工費削減を実行、外注費比率が継続的に低下、売上高外注費比率は0.1ポイント下がり18.1%となった。一方で減価償却費増などもあり売上総利益率が0.2ポイント低下、40.9%となっ た。
24/2期で大きく収益拡大に寄与したのがダイセキ環境ソリューション。24/2期は売上高241.50億円(10/2再増額修正予想比5.37億円増額、47.1%増)、営業利益27.92億円(同1.24億円減額、2.0倍)と、大型案件寄与で最高収益更新となった。事業別では主力の土壌汚染調査・処理事業が売上高132.91億円(同15.93億円増額、5.7%減)、営利13.85億円(61.8%増)となったが、利益面ではコンサル営業(土壌処理に加え、調査・工事を合わせた売上高)の比率が28.0%から36.7%にアップ、増収効果に合わせMIX良化もあり営利率は共通費控除前で10.4%から14.1%にアップし大幅増益となった。
この他、廃バッテリー再生事業のダイセキMCRは、売上高40.53億円(同3.37億円増額、6.0%増)、営利9.29億円(同3.57億円増額、2.0%減)と、鉛相場LMEの下落(計画2150$/tに対し2125$/t)も円安(計画1$=132円が着地143.2円)、年間生産量が14251t(9.5%増)となり、ほぼ23/2期営利を確保した。タンク洗浄のシステム機工は大型特殊タンクの洗浄事業がフル操業で推移、売上高39.49億円(同2.51億円未達、4.6%減)、営利5.73億円(0.71億円未達、19.2%減)と上期の天候不順・大雨の影響で工事遅れが影響し営利は未達に。
25/2期は単独が連続最高益予想もソリューション不振で5.2%増収5.5%営利減と一服予想
25/2期会社計画は売上高656億円(5.2%減)、営業利益140億円(5.5%減)、経常利益141億円(8.7%減)、税引利益87億円(8.0%減)予想と、ダイセキ単独は最高益更新予想も環境ソリューションの反動減で業績拡大が一服する見通しに。
会社別ではダイセキ本体が売上高395億円(6.3%増)、総利益160億円(5.1%増)、営利108億円(3.2%増)予想と単独として連続最高収益更新予想。製造業の生産の伸びが緩慢な状況が続く見通しで、事業所売上を四半期ベースで96~101億円のレンジで推移するとして、廃棄物等の受入115万トン(3.6%増)を見込む。利益についてはR&D投資、従業員RS制度導入用で営利率が多少低下する前提で利益の伸び悩む見通しに。ダイセキ環境は大型案件の反動減から26.4%減収、19.6%営利減予想。さらにダイセキMCRは10年に一度の大規模修繕を実施、1.5カ月工場休止する影響で売上高40.24億円(0.7%減)、営利3.68億円(60.4%減)を見込む。一方、システム機工は前期の天候不順影響などがなくなり売上高43.0億円(8.9%増)を見込むが、大型案件が少なくMIX悪化で営利5.73億円(0%増)に止まる見通しとしている。
現状、ダイセキ環境については下限予想と判断され、増額が期待されるが、ダイセキ単体、その他は会社系なく並みとみられ、全体として会社計画を若干上回る収益が見込まれるものの、最高収益更新には届かないとみられる。
新中計で27/2期売上高745億円、営利160億円達成し、更に「VISION2030」実現目指す
同社は中期計画を毎年スクロールしているが、今回、27/2期に売上高745億円、営利160億円を目標として掲げた。昨年の見通しでは26/2期に売上高690億円、営利147億円としていた点では、26/2期比較で売上高を10億円、営業利益は4億円上方修正している。
同社は27/2期までの3年間は、同社が掲げる長期目標「VISION2030」(31/2期に売上高1500億円、営業利益250億円の達成)への様々な布石を講じる時期と考えている模様。具体的には2024年3月に7つ目の拠点(27年ぶりの新事業所開設)となる広島事業所が稼働し始めた。加えて半導体新工場の立地などを睨み、北海道、東北など2地域で拠点を構えることを検討している。また3つの新たな主力事業の確立に向け積極的な投資を実行する。具体的にはMOFという吸着剤を利用し、廃ガス・廃液からアンモニアを選択回収・吸着する事業の確立を実行する。事業規模は27/2期に売上高3億円、営利1億円、31/2期には売上高30億円、営利10億円を目指す。またサーキュラーエコノミーに資する事業として蒲郡市と連携協定を締結、家庭用一般廃棄物から分別・破砕、不燃物除去し、廃食油とブレンドしたバイオマス燃料生産の実証を行う。さらにダイセキ環境ソリューションの杉本商事M&Aについて一般廃棄物、廃プラスチック、段ボールリサイクル事業にも参入する。その他にも様々なアライアンス、さらにはM&Aの実行などで「VISION2030」の達成を目指す。
現状、様々な環境規制、サーキュラーエコノミー、脱炭素社会など、同社を取り巻く環境にフォローの風が吹いており、それに備えた経営資源の投入も行っており、「VISION2030」の達成は前倒しでの実現が期待される。
同社株価は4/4発表の25/2期予想で減収減益予想が示されたことで4/5から急落、4/9現在3200円と年初来安値を更新中である。現状、25/2期会社予想EPS178.33円に対しPER18.22倍は、大栄環境の18.56倍と同水準、AREホールディングス15.8倍、エンビプロ13.28倍、松田産業9.56倍と比較し割安となっている、現状、単体ベースでは最高益更新中であり、ダイセキ環境ソリューションの大幅減益予想は増額含みで悪材料を織り込んだと判断するも連結最高益更新は来期にずれるとみられ、株価としてはややポジティブからニュートラルに変更と考える。
(H.Mirai)
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