週刊バッテリートピックス 「岸田首相が米トヨタ工場視察」「広州汽車が全個体電池」など
2024年4月8日~14日のバッテリー業界では、訪米中の岸田文雄首相がトヨタ自動車の米国車載電池工場を視察するなど政府の電池産業への意気込みが感じられた。政府は経産省も電池回収システムに懸賞金を出す。一方で中国勢の開発意欲は引き続き旺盛で、電池を巡る各国がしのぎを削る。
<国内>
●岸田首相、トヨタの米車載電池工場を視察
(出所:首相官邸ホームページ)
訪米中の岸田文雄首相は4月12日、米ノースカロライナ州で、クーパー州知事らとともにトヨタ自動車が同州で建設中の車載電池工場を視察した。首相はその後、同州内でホンダの小型ジェット機「ホンダジェット」工場も視察した。
●住友電工、成和リニューアルワークスにレドックスフロー電池を納入
住友電気工業は4月12日、自社ホームページ上で、成和リニューアルワークスにレドックスフロー電池を納入したと発表した。成和リニューアルワークスが進める再生可能エネルギー設備に対応する。
関連記事:住友電工:工場の再エネ電力比率の向上・重要設備の停電リスク対応に貢献 | MIRU (iru-miru.com)
●パナエナジー、車載電池用工場を竣工
パナソニック エナジーは4月11日、自社ホームページ上で、「車載用リチウムイオン電池の生産拡大を支える量産プロセス向上のため住之江生産プロセス開発棟を竣工~次世代モノづくり開発を担う生産技術機能のコア拠点を確立~」を発表した。
関連記事:パナソニック エナジー:車載用リチウムイオン電池の生産拡大を支える量産プロセス向上のため住之江 生産プロセス開発棟を竣工 | MIRU (iru-miru.com)
●KDDI、亜鉛二次電池の基地局使用で実証実験
KDDIは4月11日、自社ホームページ上で、日本ガイシが開発中の亜鉛二次電池を携帯通信基地局のバックアップ電源設備に用いる実証試験を始めたと発表した。
バックアップ電源設備は災害時などの長時間停電対策として効果的な一方、建物の耐荷重制限で設置・増設できないことが課題だった。亜鉛二次電池は多くの基地局で用いる鉛蓄電池と比較し約50%軽量なため設置できる場所が増やせ、同じ大きさで2倍の容量があるため基地局の稼働時間を長時間化し、最長72時間まで伸ばせる。
プレスリリース:災害時の停電対策を強化する亜鉛二次電池活用の基地局実証を開始 | KDDI News Room
●経産省、LiB回収で懸賞品
経済産業省傘下の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は4月10日、ホームページ上で、三菱総合研究所と共同で、廃棄するリチウムイオン蓄電池(LiB)の検知・回収システムに関する研究開発に対して、懸賞金を供するコンテストを実施すると発表した。
懸賞金公募はNEDOが実施中の“NEDO Challenge”「NEDO懸賞金活用型プログラム」の一環。将来の社会課題解決や新産業創出につながるシーズをいち早く発掘することで、共同研究などの機会創出、シーズの実用化、事業化の促進を図る。
プレスリリース: 「NEDO懸賞金活用型プログラム」第2弾「NEDO Challenge, Li-ion Battery 2025 発火を防ぎ、都市鉱山を目指せ!」公募開始 | ニュース | NEDO
●トヨタと明和産業、中国で車載電池再利用の合弁会社設立へ 国有の五鉱集団と
トヨタ自動車の中国子会社である豊田中国と明和産業は4月8日、それぞれのホームページ上で、中国の中央政府が直接管理する国有資源大手である中国五鉱集団と、新エネルギー自動車の中古車載電池のリユース、リサイクル、資源循環事業を手掛ける合弁会社を中国に設立することで合意したと発表した。
関連記事:明和産業、トヨタ、中国五鉱集団 合弁会社設立――中国で車載電池再利用へ | MIRU (iru-miru.com)
プレスリリース(豊田中国、中国語);丰田与中国五矿、明和产业 就共同成立车载动力电池综合利用合资公司达成共识 (toyota.com.cn)
プレスリリース(明和産業)00.pdf (eir-parts.net)
<海外>
●中国の広州汽車、26年に全個体電池を量産へ
(出所:広州汽車集団ホームページ)
中国の国有自動車大手である広州汽車集団は自社ホームページ上で、電気自動車(EV)に搭載する次世代電池「全固体電池」を2026年から量産すると発表した。広東省広州市で4月12日に開いた技術発表会の様子として紹介した。
プレスリリース(中国語): 科技视界 | 2024年广汽科技日亮点前瞻 - 广汽集团 (gac.com.cn)
●中国の3月の車載電池搭載量、前年比26%増 CABIA調べ
中国汽車動力電池産業創新連盟(CABIA)が4月11日に発表した中国の2024年3月の自動車向け動力電池の搭載量は、前年同月比25.8%増の35.0ギガワット時だった。増加は2カ月ぶり。前月比では94.6%増えた。
種類別では三元系が前年同月比29.7%増の11.3ギガワット時、リン酸鉄系は24.1%増の23.6ギガワット時。前月比は三元系が62.9%増、リン酸鉄系が2.1倍となった。メーカー別の搭載量は、寧徳時代新能源科技(CATL)が全体の44.9%に当たる15.54ギガワット時で首位を維持。2位はBYDの9.28ギガワット時(シェア26.8%)だった。
●中国、リン酸鉄が過剰生産 EVTank調べ
中国の新エネルギー車と電池業界の研究機関である伊維経済研究院(EVTank)は4月10日、2023年末時点の中国のリン酸鉄の生産能力が361万9000トン規模に達したと発表した。過去数年来の設備投資拡大から生産能力が増えたが、製品価格の下落を受けて全体の設備稼働率は50%に届かず、深刻な過剰生産状態が浮き彫りになった。
関連記事:中国のリン酸鉄、過剰生産が鮮明に 23年の設備稼働率50%未満 現地研究機関 | MIRU (iru-miru.com)
●中国ファーウェイ、ナトリウムイオン電池で特許取得
中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)が、電気自動車(EV)向け次世代電池として期待されるナトリウムイオン電池に照準を合わせている。国家知識財権局の公式ウェブサイトで2日、新たに特許を取得したと発表した。同国の粉体情報サイト、中国粉体網などが9日までに伝えた。
関連記事:ファーウェイ、ナトリウムイオン電池に照準 新特許取得 | MIRU (iru-miru.com)
●韓国の現代自、インド企業と提携へ
韓国自動車大手の現代自動車は2024年4月8日、自社ホームページ上で、同社と傘下の起亜自動車が、インドの大手バッテリーメーカーであるエクサイド・エネルギー・ソリューションズ(Exide Energy Solutions 、EESL)との戦略的提携で合意したと発表した。
関連記事:韓国の現代自と起亜、インド電池のエクサイドと提携へ LFP現地生産目指す | MIRU (iru-miru.com)
(IR Universe Kure)
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