インドネシア、金属加工工場が相次ぎ開所 アルミナと銅カソード、ジョコ氏有終の美
インドネシアで9月24日までに、アルミナと銅の工場がそれぞれ生産を開始した。同国は単純な資源輸出国から最終品の生産までを手掛ける製造立国への転換を目指す。10月20日にはプラボウォ・スビアント氏が新大統領に就任し、ボルネオ島ヌサンドラへの首都移転計画も進む。任期が10年に及んだジョコ・ウィドド大統領は開所式で有終の美を飾った。
■アルミナ1350億円、銅精錬5300億円の大型投資
アルミナ工場開所式で演説するジョコ大統領
(出所:インドネシア政府ホームページ)
インドネシア政府は9月24日、「ジョコ大統領が同日、西カリマンタンのメンパワリージェンシーで、アルミナ精錬所(SGAR)の開所式に出席した」と伝えた。この精錬所は、インドネシアの国営鉱山会社アネカ・タンバン(アンタム)と国営アルミニウム生産のイナラムが運営し、投資総額は16兆ルピア(9億4100万ドル、1350億円)に上る。年産能力は100万トンで、原材料として330万トンを使用する。
プレスリリース: InfoPublik - Presiden Jokowi Resmikan Injeksi Bauksit Perdana di SGAR Mempawah Kalbar
銅精錬所の開所式での大統領演説の様子
(出所:インドネシア政府ホームページ)
ジョコ大統領はその前日の9月23日には、東ジャワ州にあるフリーポート・インドネシアの製錬所での銅および貴金属製錬所の開所式に出席した。同精錬所はインドネシアで株式上場する金銅採掘大手アンマン・ミネラル・インターナショナルが運営し、投資額は21兆ルピア(約37億ドル、5300億円)。年産能力は銅カソード90万トン、金50万トン、銀210万トンで、原材料として170万トンの銅精鉱を消費する。
■鉱石輸出からアルミナ、銅カソードへ
今回の2つの生産開始の共通点は、いずれも精錬所である点だ。アルミで言えば、インドネシアは2023年にボーキサイトの輸出を禁止した。国内の加工業の育成に向け、国内消費に回すことを目指した。今回のアルミナ精錬所の開所式で、ジョコ大統領は「製錬所の建設は、原材料を輸出し、天然資源を処理するという古い習慣を止めるための戦略的な取り組みの一部だ」と述べ、もはや先進国に最終利益を搾取される側ではないとの見方も示した。
銅についても同様だ。ジョコ大統領は開所式の演説で、「インドネシアはもはや原材料を輸出するのではなく、銅カソード、ケーブル、銅箔などのすぐに使用できる製品に加工する能力がある」と訴えた。
ただ、現実には問題も噴出している。例えばインドネシアはニッケル鉱石の輸出も同じ理由で禁止したが、実際には中国向けなどを中心に密輸が横行する。また、これまで鉱山採掘で生計を立ててきた地域や労働者の間で不満もくすぶっている。
(IR Universe Kure)
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