LME、逆ザヤの急上昇を受けてアルミニウム市場の逼迫を監視
ロイターの報道によると、ロンドン金属取引所(LME)はアルミニウム市場の需給逼迫に対応し、秩序維持の管理体制を整えている。10月限の主要スプレッドは11月限に対して18ドルのプレミアムを付け、約3週間前の5.85ドルから上昇した。強気ポジションを積み上げているプレーヤーの動きが活発化していると見られる。
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例のニッケルの10万ドル超え踏み上げ相場の苦い経験から、LMEは市場破壊的な投機活動に相当親権をとがらせているのは間違いない。
LMEのベンチマークとなるアルミニウム契約は、LMEが市場を監視していると発表した後に上昇し、2日にはHIGH2,686ドルと約4ヶ月ぶりの高値に達した。
あるトレーダーによると、10月の期限が約2週間後に迫る中、ショートポジションや弱気なポジションを取っている人々がショートスクイーズに走れば価格はさらに上昇する可能性があるとのこと。
LMEのデータによると、10月のオープンインタレストの40%以上を占めるロングポジションを持っている一つのプレーヤーが存在する。一方オープンインタレストの最大9%を占める5つのショートポジションが配置されている。ネットバランス的にはロングが30%を占めていることになる。
トレーダー筋の話として、マレーシアのポートクランにある倉庫にLMEのアルミニウム在庫の74%が集中していることが、この問題を複雑にしていると述べている。
ポートクランの在庫の約3分の2が出荷準備中で、市場に供給できる在庫が不足している。まとまった量を出荷しようにも、ポートクランのアウトレットはすでに、ほとんど閉塞している可能性が大だ。LME総在庫でみても80万トン弱に対しては約40万トン、50%弱がフリー在庫(オンワラント)で、他メタル、例えば銅の場合オンワラントは90%弱あって供給余力はアルミに比して、十分あるといえる。
ニッケルの、インドネシア・中国からの絶え間ない流入で積みあがる在庫にもかかわらず、中国大規模景気刺激策や、ロシアからの供給不安を受けた実力をはるかに超えたと見られる高騰と合わせて、LMEは市場混乱の時限爆弾を抱えているのだろうか。ひとまず今月残余期間での動きに注視しておくべきだろう。
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(IRuniverse/MIRU S. Aoyama)
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