中国のニッケル銑鉄&鉱石価格動向(24年10月第2週) 小動き 連休前後で閑散、LME急伸
2024年10月第2週の中国のニッケル銑鉄とニッケル鉱石価格は小動き。第1週が国慶節(建国記念日)の連休だったため、前後は様子見気分が強かった。一方、中国の景気刺激策やロシアの輸出禁輸措置観測を受けて精錬ニッケル価格が急伸しており、連れ高期待もある。
■銑鉄は1000元割れ、鉱石は70ドルちょうど
過去3ヶ月間のニッケル銑鉄価格の推移(NPI content 10-15% China)(RMB/Nickel/MTU)
中国のニッケル銑鉄価格は9月26日に高値RMB990/MTUと、心理的節目のRMB1000を割り込み、7月下旬以来の安値を付けた。中長期で見れば2020年夏以来およそ4年ぶりの安値圏にある。
ferroAlloynetは9月27日の週刊レポートで、連休を前に中国では「取引は閑散としていた」と指摘。上海有色網(SMM)も10月8日のレポートで、長引く景気鈍化を受けて「最終納品先である精錬所の引きが良くない」と指摘した。
SMMは連休後の見通しについて「精錬ニッケル価格がマクロ要因で値上がりしているため一時的に上昇するかもしれないが、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は変わっていない」と、慎重な見方を示した。
過去3ヶ月間のニッケル鉱石価格の推移(1.8min CIF China)($/ton)
中国のニッケル鉱石価格は9月19日に仲値$70/tonを付けた。8月末から9月18日まで$72に上げる場面があったが続かず、8月下旬の水準に戻した。中長期で見ても2024年は春から小動きの展開で、水準としては2020年5月以来の安値圏で推移している。
FferroAlloynetは9月27日の週刊レポートで、「中国国内のニッケル在庫は十分で、出荷先である銑鉄市況がさえない中、10月は既存取引先との長期取引が中心となりそうだ」との見方を示した。輸入品は「フィリピン産がやや値下がりしたもののインドネシア産は高止まりしている」(同)といい、中国企業も積極的に輸入を増やすムードではないようだ。ただ、国際価格は今後、フィリピンが雨期入りするため供給が細り、回復する可能性もある。
■LMEニッケル4ヵ月ぶり高値、連休明けSHFEも追随
過去3か月間のLME($/ton)とSHFE(RMB/ton)のニッケル価格の推移
精錬ニッケル価格は大幅高。ロンドン金属取引所(LME)でのニッケル価格は10月3日に現物$1万7920/tonと6月初旬以来ほぼ4か月ぶりの高値を付けた。その後も高止まりしている。上海先物取引所(SHFE)のニッケル価格も追随し、連休明けの10月8日に現物RMB13万5470/tonと7月上旬以来の高値に上げた。
中国は9月下旬から預金準備率引き下げや一部都市での住宅購入頭金規制の緩和など、不動産テコ入れを中心とした景気対策に踏み切った。9月中旬には、ロシアのプーチン大統領がニッケルを含む重要鉱物の輸出規制検討を閣僚に命じたと伝わり、ニッケルは「需要が拡大し供給が細る」との思惑が広がった。
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(IR Universe Kure)
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