週刊バッテリートピックス 「TDK中期2倍の増益」「旭化成とHondaカナダで合弁」など
2024年10月28日~11月4日のバッテリー業界では、企業の2024年4-9月期決算発表の集中期を迎え、電池企業の業績に注目が集まった。中でも絶好調なのがTDKで、中間期で2倍の増益となったことを踏まえ、通期見通しも上方修正した。秋のイベントシーズン中、展示会や試乗会などのイベントも盛んだった。
<国内>
●日産と三菱商事、EV電池などのサービスで新会社検討か 読売報道
日産自動車と三菱商事は自動運転や電気自動車(EV)関連の新会社設立を検討している模様だ。読売新聞が11月4日に伝えた。
新会社は折半出資で、2024年度内に設立し、2025年からサービス提供を始める。EVを住宅や送電網とつなぎ、車にためた電力を自宅で使ったり、電力会社に売電したりするサービスを検討する。海外流出が課題となっている中古EVの電池を回収し、二次利用やリサイクルを促進する取り組みも視野に入れるという。
●室蘭で環境フェスタ 小学生が燃料電池製作
(出所:室蘭市ホームページ)
北海道室蘭市は11月2日、室蘭市総合体育館(入江町)で、環境フェスタの「むろらんゼロカーボンフェスタ2024」、を開催した。小学生向けの燃料電池政策イベントや、トヨタや三菱自動車、BYDなどによる次世代自動車の展示などが行われた。
プレスリリース: むろらんゼロカーボンフェスタ2024|環境・公害|室蘭市
●TDK、4-9月期純利益が倍増 通期見通し上方修正、最高益へ
TDKは11月1日、自社ホームページ上で、2024年4-9月期連結決算(国際会計基準)を発表した。売上高が前年同期比2.8%増の1兆895温円、純利益が95.1%増の1057億円と2倍の増益となった。
同時に発表した2025年3月期の予想では、純利益は前の期比28%増の1600億円と、従来予想から320億円上方修正した。スマートフォン向けの電池やセンサーの販売が拡大し、最高益となる見通しだ。
プレスリリース:通期連結業績予想の修正並びに剰余金の配当(中間配当)及び期末配当予想の修正に関するお知らせ | TDK
プレスリリース:決算短信 | IR資料室 | 株主・投資家情報 | TDK株式会社
●リーンモビリティ、都市型小型EVで試乗会 記者もトライ
Lean Mobility(リーンモビリティ、本社:愛知県豊田市)は11月1日、事業パートナー候補者やメディア関係者を対象に、都市型小型EV「Lean3」(リーンスリー)の試乗会を実施した。IR Universe記者による試乗レポートは以下。
関連記事:小型EVの性能は十分、乗車定員の拡大に期待―Lean Mobility特別試乗会 | MIRU
●旭化成とHonda、カナダのLIB用材料で合弁へ
旭化成と本田技研工業(Honda)は11月1日、カナダにおけるリチウムイオン電池用セパレータ生産の協業に向け、合弁会社化のための株主間契約を締結したと発表した。2025年初頭の設立と事業開始を目指す。
関連記事:旭化成とHonda、カナダでのLIB用セパレータ生産の協業に向け合弁会社設立へ | MIRU
●パナエナジー、4-9月期は3%の増益 北米堅調、先行投資かさむ
パナソニックホールディングスは(HD)10月31日、自社ホームページ上で、2024年4-9月期連結決算を発表した。この中で、電池事業を手掛けるパナソニックエナジーの業績は、売上高が前年同期比10%減の4304億円、営業利益が3%増の543億円と減収増益となった。北米工場の販売数増が寄与したものの、建設中の米カンザス工場と和歌山工場の先行費用がかさんだ。
パナソニックHD全体の4-9月期決算は、売上高が3.2%増の4兆2513億円、純利益が34.5%減の1889億円だった。
プレスリリース:決算報告 - 投資家情報 - パナソニック ホールディングス
●高機能素材展が開催、電池技術も展示
電池技術を含む高機能素材の展示会である「サスティナブル・マテリアル展(SUSMA)」が10月29-31日、幕張メッセ(千葉県幕張市)で開催された。主催のRX Japanによると、3日間の来場者数は4万6813人だった。IR Universe記者によるレポートは以下。
関連記事:LiSTie株式会社 革新的なLi分離技術を展示 | MIRU
●エンビプロとサトー、使用済みLIBのリサイクル過程を情報化
エンビプロ・ホールディングス(本社:東京都港区)は10月30日、自動認識ソリューション事業を手掛けるサトー(本社:東京都港区)と連携し、使用済みリチウムイオン電池(LIB)の回収から再資源化までのリサイクル過程の履歴をトレースする情報取得の実証実験を10月28日から開始したと発表した。
関連記事:エンビプロとサトー、LIBリサイクル過程の情報化に着手――デジタル化でトレースへ | MIRU
●早大、アクア電池の長寿命化実験に成功
早稲田大学は10月29日、ホームページ上で、同大学大学院や理工学部の研究グループが、遷移金属酸化物「Mo3Nb2O14」を電極材料として用いることで、水系プロトン二次電池(アクア電池)の高効率化と長寿命化を実証したと発表した。
プレスリリース:安全安価なアクア電池を長寿命化 – 早稲田大学 研究活動
●出光興産、固体電解質の大型生産設備の建設を計画 27年完工目指す
出光興産は10月28日、自社ホームページ上で、「全固体電池向け固体電解質の生産設備である大型パイロットの設計を始めた」と発表した。
同社は既に千葉県の工場で、全個体電池向け材料について小型プラントの実証実験に取り組む。製油所の不純物として取れる硫黄成分を使い、全個体電池の主要材料である「固体電解質」の量産を目指す。年産数百トン規模と世界最大レベルの生産設備を建設し、製品はトヨタ自動車などに供給する。2025年中の投資計画の最終決定後、2027年の完工を目指す。
プレスリリース:241028.pdf
●環境省、リチウム電池関連で相次ぎ公布 事業採択など
環境省は10月28日、リチウム蓄電池等の更なる適正処理体制の実現に向け、全国から2事業を採択したと発表した。また同省は同日、「リチウムイオン蓄電池の資源循環を目的とした、車載電池リパーパス時の安全性・性能ランク分類の実証事業」も採択した。
関連記事:環境省 リチウム蓄電池等適正処理対策に係る実証事業の採択結果公表 | MIRU
関連記事:環境省 再エネ関連製品及びベース素材の全体最適化実証事業の公募結果公表 | MIRU
<海外>
●中国電池メーカー、韓国投資拡大か 米欧の輸入規制で
韓国メディアの中央日報電子版は11月1日、「中国の電池メーカーが米欧の輸入規制に押し出される形で韓国への投資を拡大する方向だ」と伝えた。
車載電池世界最大手の中国の寧徳時代新能源科技(CATL)が韓国の現代自動車などへの営業攻勢を強める可能性があるとし、韓国国内のバッテリーメーカーが注視していると報じた。
●英、重要鉱物輸入に財政支援 予算案で
イギリス政府は10月30日、ホームページ上で秋の財政予算案を公表し、その中で「重要鉱物の輸入業者を対象に、英国輸出金融省(UKEF)からの融資を可能にする」と発表した。重要鉱物の輸入業者に対する政府筋からの融資認可は初めて。
関連記事:英国、重要鉱物輸入を財政支援 財政予算案で公表、脱炭素化と脱中国依存を目指す | MIRU
●豪Li-Sエナジー、リチウム硫黄電池の技術を大幅向上
リチウム硫黄(Li-S)電池を開発するオーストラリアのLi-Sエナジー(Li-S Energy)は10月28日、豪州国内で自社のリチウム硫黄電池技術の性能を大幅に向上させることに成功したと発表した。
関連記事:リチウム硫黄電池開発で500Wh/kgに迫るエネルギー密度達成 世界最前線か 豪Li-S Energy社 | MIRU
プレスリリース:64a0529531a7d027a07036aac3160d96
(IR Universe Kure)
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