レアメタル系スクラップ市場近況2024#11 円安相場の影響で上昇も、今後は米大統領選に要注意
LMEニッケル相場のアベレージ上昇や円安相場の影響を受けて、上昇基調に入ったアイテムが多くみられた。コバルト系など原料相場がやや下がり気味のアイテムについても円安の影響を受け相殺。横ばいとなった。今後の展望としては米大統領選の結果に伴う為替の変動が注目されている。一部メディアによれば、共和党のトランプ前大統領が勝利した場合は円安、民主党のハリス副大統領が当選すれば円買いが起こり、円高基調になると想定されており、国内のスクラップ相場も大きく動くとみられる。スクラップ事業者によれば、在庫逼迫のリスクを恐れ、「スクラップの買い取りをやや控えている」傾向もあるようだ。
【チタン】
・純チタン板スクラップ(新断)「→」:380~400円/kg。前月から横ばい
・合金6-4チタンダライ粉「→」:170~180円/kg。前月から横ばい
・合金6-4チタンスクラップ「→」:220~230円/kg。前月から横ばい
・フェロチタン「→」:実勢はキロ当たり6.5ドル/kg前後。前月から横ばい
ロシア産の安価な原料が流通している影響はいまだ継続しており、アイテムの相場自体は下がっているものの。円安振れの影響を受けて相殺。チタンは総じて手横ばいとなった、
【工具類】
・ダイス鋼MIX「→」:25円/kg。前月から横ばい
・SKD61「→」:55円/kg。前月から横ばい
・ハイス(ミックス)「→」:360~390円。前月から横ばい
・ハイス(一品もの)「→」:290~320円。前月から横ばい
・超硬スクラップ「→」:2,900~3,200円。前月から横ばい
ダイス鋼をはじめ市場が限定的のため前月から継続して横ばい状態が続く。前月に100円上げとなった超硬スクラップも現在は落ち着きを見せており横ばい状態に。
【モリブデン系】
・酸化モリブデン「→」: 継続してポンド当たり22ドル前後で推移するもやや上げ含み。
・フェロモリブデン「→」: 50ドル/kg前後で推移。やや安値と高値の差が広がりつつある傾向も
・モリブデン新切れスクラップ「→」:3350~4350円/kg。前月から横ばい
モリブデン新切れスクラップは8~9月に500円下降して以降は横ばい傾向が続いている。酸化モリブデン、フェロモリブデンについては、下記の記事で記載済み。
モリブデン価格が堅調 酸化20ドル台で底堅く、減産で供給懸念 中国景気にも明るさ
【タンタル】
・タンタライト「⤴」:81~83ドル/lb。前月比5ドル前後の上昇
・金属タンタル「⤴」:296~306ドル/kg。前月比1ドルの上昇
・五酸化タンタル「→」:222~232ドル/kg前月比横ばい。
・タンタルスクラップPIN「→」:高値28,000円/kg、安値26,000円/kg。前月比横ばい。
・タンタルターゲットスクラップ:20,000円/kg前後。ほぼ横ばい
需要の変化が少なく市場が限られているため、相場の変動も少ない状態が続いている。
【ステンレス 、耐熱系】
・SUS304「→」:175~185円。前月から横ばい
・SUS310「⤴」:410円/kg前後。前月から10円上げ
・SUS316「⤴」:260~310円。前月から10円上げ
・SUS330「⤴」:520~570円/kg。前月から20円上げ
・SUS430「→」:66~74円/kg。前月から横ばい
・42アロイスクラップ「→」:710~770円/kg。前月から30円上げ
含まれる原料比に応じて10~30円の上げがみられた。特にニッケル相場のアベレージの上昇の影響が大きい。ただし、市場が限定的なアイテムは現状横ばい。円安の追い風も少なからず受けているようだ。
【ハイニッケル合金系】
・インコネル718「⤴」:750~980円/kg。前月から50円上げ
・インコネル625「⤴」:1090~1190円/kg。前月から50円上げ
・インコロイ800「⤴」:540~580円/kg。前月から30円上げ
・ハステロイX「⤴」: 805~885円/kg。前月から30円上げ
・ハステロイC「⤴」: 1040~1140円/kg。前月から50円上げ
「ステンレス 、耐熱系」同様にニッケル相場アベレージの上昇の影響を受けて30~50円の上昇。ニッケルの相場基調が維持もしくは上昇すれば、年末年始までの続伸も期待される。
【その他】
・キュプロニッケル(9/1)「→」:700~770円/kg。前月から横ばい
・キュプロニッケル(7/3)「→」:780~820円/kg。前月から横ばい
・コバール「→」:310~370円/kg。前月から横ばい
・カーペンタ―「→」:370~430円。前月から横ばい
・ステライト(Co50%他)「→」:300円前後。前月から横ばい
コバルト系については原料相場としては前年に続き下げ基調だが、円安との相殺もあり、アイテムの取引価格としては横ばい。
(IRuniverse K.Kuribara)
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