新着情報

2025/06/16   東邦亜鉛、豪Abr...
2025/06/16   動き出す「金属盗対...
2025/06/16   中国経済、5月は不...
2025/06/16   三菱ケミカル 三菱...
2025/06/16   アルミ合金&スクラ...
2025/06/16   レアメタル千夜一夜...
2025/06/16   レアメタル千夜一夜...
2025/06/16   元鉄鋼マンのつぶや...
2025/06/16   豪Livium社 ...
2025/06/16   政府系科学機関CS...
2025/06/16   環境大臣政務官が、...
2025/06/16   アーバンエナジーの...
2025/06/16   電子部品輸出入Re...
2025/06/16   光ファイバ輸出レポ...
2025/06/16   産業用電子機器輸出...
2025/06/16   LME Weekl...
2025/06/16   東京製鐵の鉄スクラ...
2025/06/15   非鉄各社26/3期...
2025/06/15   中国鋼材在庫(6/...
2025/06/15   LMEの現物と先物...

セーレン(3569):子会社セーレンKSTが次世代通信、SoI基板を展示

セミコンでセーレン子会社セーレンKSTが次世代半導体向けSoI基板を展示

 

 12/11から東京ビッグサイトで開催されたセミコンジャパン2024で、自動車用シート材大手のセーレン100%子会社セーレンKSTが先端半導体、光通信用各種成膜加工製品を展示した。

 

 セーレンKSTはセーレンKSTの前身であるKSTとして1998年5月に設立、半導体用や光通信用シリコンウェーハの成膜加工、各種SOIウエハやフルカラーレーザーモジュールの専業メーカー。2019年にセーレングループに参画した企業。 

 

(出所:会社案内よりIRユニバース抜粋)

 

世界シェア70%を誇る光通信用の部品基板    

 

 同社は半導体製造プロセスに関係する各種成膜プロセスや各種膜付ウエハを提供。特に成膜加工では、独自開発した超厚膜熱酸化膜形成技術が優れた表面清浄度と安定の膜質を可能にしており、光デバイスに欠かせないものとして、国内外の通信機器メーカーや光部品メーカーなどで利用、世界シェアは70%に達する。膜種には、酸化膜系の超厚膜熱酸化膜や薄膜熱酸化膜の他、窒化膜、ポリシリコンやアモルファスシリコン、有機膜膜系、メタル系と様々な膜種と製法を用意。希望の膜種に対応している。今回展示されたものとして、熱酸化膜加工、SOIウエハがある。主要取引先としてはNTTエレクトロニクス、東京応化工業、住友化学など。

 

 半導体業界などでは、ウエハ上への加工膜について数十nmまで薄さが追及される中、当同社は他社が行わない新たな熱酸化膜加工による厚膜の加工に着目、従来の厚膜加工技術では膜厚の均一性や膜質の低下や基板との剥離などの課題があり、同社が着目した「熱酸化法」でも成膜期間の長期化など、当初は様々な課題があった。しかし研究開発の結果、加工条件や制御方法などを確立し、均一で高品質な熱酸化膜を膜厚25μmまで加工し量産に成功した。近年の光通信技術の発達により、厚膜熱酸化膜加工技術を基にした同社製品は、AIデータセンタにおける超高速伝送などでますますの市場拡大が期待できる。具体的に光導波路(AWG)では、アンダークラッド層と呼ばれる最下部のSiO2膜が生産歩留まりを決定づけるほど非常に大きな役割を担っている。 同社の厚膜熱酸化膜は、優れた表面清浄度と安定した膜質で世界の70%シェアを獲得している。

 

(*写真、図表は会社HP、製品カタログより抜粋)

 

 さらにSOIウエハ(Silicon on Insulator:酸化膜上にシリコン単結晶層を形成した構造のシリコンウウハ)は高速LSI、低消費LSI、パワーデバイス、MEMSなど幅広い分野で使われているが、同社は一般的なSOI以外にもCavity SOIウエハ(積層構造ウエハ内部に空孔等のパターンを有し、ダイシング後、 後工程を削減しより多くの製品化が期待できるウエハ)やThick-BOX SOI(独自技術の厚膜熱酸化膜加工を利用し、厚い3~20umのBOX層を有するSOIウエハ)がある。

 

 光通信分野では2022年10月に世界で初めて光導波路間の乗り移りを利用したRGB光の合波に成功している。開発にあたってはシチズン電子と共同開発、今後これは同社光応用産業分野への展開も期待されるが、民生用では眼鏡用のARVR分野でも搭載が期待される。

 

(出所:セーレンKSTニュースリリース)

 

  宇宙ビジネスでは三菱電機とも共同開発が進んでいる。2024年9月19日、三菱電機は、「OPTIMAL-1」に搭載し、2023年1月から宇宙実証を実施、民生品を活用した宇宙光通信用レーザー光源モジュールの宇宙実証において6か月間の性能評価を実施した結果、性能劣化がないことを確認したと発表した。超小型人工衛星民生品を活用した宇宙光通信用レーザー光源モジュールで宇宙における性能劣化を評価したのは世界初となる。この技術は、レーザー光を使ったデータ伝送を行い、特に、比較的高度の低位置にある地球観測衛星と高度約3万6,000㎞にある静止衛星の間の通信や、静止衛星と航空機との通信等の実現が目指されている。今回、レーザー光源モジュールを搭載した「OPTIMAL-1」は、アークエッジ・スペースが主導し、Pale Blue、セーレン、福井大学、東京大学、三菱電機との産学連携で実現した超小型の実証衛星となっている。今後、この成功をきっかけに、さらに超小型衛星の産業利用が進展していくとみられる。

 

 全体として、同社ビジネスはいずれも最先端領域であり、これまではR&D向けなどが主としていたようで、必ずしもビジネスとして大きな規模となっておらず、25/3期においても25億円程度の売上に止まるとみられる

 

セーレンは31/3期に売上高を25/3期予想比56%増の2300億円を目標

 

 セーレンは25/3期予想について売上高1470億円(前期比3.6%増)、営利155億円(10.2%増)予想と、4期連続で増収増益、過去最高益を更新する見通しにある。この中で2024年7月に中計を発表、31/3期に売上高2300億円を目指すとしたが、1500億円は「成長分野」と位置づけ、環境対応車向けのシート材で1000億円(けん引するのは車用シート材で31/3期に売上高1000億円を目指す)、その他分野で500億円を見込む。例えば人工衛星の製造・開発などにも力を入れるが他領域の開拓を同時並行で進めるとしている。

 

 セーレンKSTの事業は同社のエレクトロニクス部門に属し、24/3期は売上高99億円、営業利益は15.48億円となっている。この中で単体が売上高42.83億円、営利2.99億円、KBセーレンが31.21億円、営利12.45億円、セーレンKST他が売上高38.04億円、営利1.57億円となっている。

 

 セーレンKST同部門は必ずしも大きなビジネスではないが、従来のR&D向け中心から今後は一部量産向けに売上拡大が期待され、さらに光関連ビジネス、衛星関連など、200億円規模のビジネスに絡むとみられ、思わぬ事業拡大の可能性も出てきたとみられる。    

 

 

(H.Mirai)    

 

 

関連記事

関連記事をもっと見る