ニッケルブログ#18 レンジエクステンダー:EVとハイブリッドの実用的な中間領域
EV革命が加速するなか、フルEVと従来のハイブリッド車とのギャップを埋める新たな候補が登場しつつあります:それは、レンジエクステンダー( Extended Range Electric Vehicles (EREVs)です。
電気駆動の利点と補助電源ユニットによる航続距離の延長を組み合わせることで、EREVは航続距離への不安や充電インフラの制限といった一般的な懸念に対処しています。
EREVの仕組み
EREVは主に電気自動車として作動し、バッテリーを動力源とする電気モーターで車輪を駆動します。推進力に電気モーターとガソリンエンジンを交互に使用できるプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)とは異なり、EREVの内燃エンジンは発電機としてのみ機能します。バッテリーの充電が一定レベルまで減ると、このエンジンが作動して発電し、バッテリーを再充電して電気モーターに電力を供給することで、車輪を直接駆動することなく車両の走行距離を延ばすことができます。
EREVは、持続可能で柔軟な交通手段を求める消費者にとって、特にEV充電インフラが未整備な地域において、魅力的なソリューションを提供します。
延長航続距離の向上と排出ガスの低減
レンジエクステンダーを統合することで、EREVは従来の自動車に匹敵する航続距離を達成することができ、純粋なEVに伴う航続距離への不安を軽減することができます。さらに、主に電力で運転することで、テールパイプ排出量を削減することができます。内燃エンジンは発電時に最適な一定速度で作動するため、従来のICE車と比べて燃料効率が向上し、排出ガスも最小限に抑えられます。したがって、EREVは、毎日の通勤に電気走行の環境上の利点を提供する一方で、長時間の移動には航続距離の延長という柔軟性を提供し、充電インフラが限られている地域でも実用的です。
注目を集めるEREV
中国では、EREVが大きな支持を得ており、Li Autoのようなメーカーは大幅な売上増を報告しています。この成功は、EREVが外部充電インフラのみに依存することなく航続距離を延長できることに起因しています。この傾向を認識して、欧米の自動車メーカーはEREV技術を模索しています。StellantisやFordなどの企業は、消費者に多用途で効率的な車の選択肢を提供することを目指し、EREVをラインナップに組み込む計画を発表しています。
自動車業界が電動化に向けて加速する中、航続距離への不安や充電インフラの制限といった課題に対処するため、航続距離延長型電気自動車(EREV)のような新しいタイプの自動車が登場しています。EREVは、特にEV充電インフラが未発達な地域において、持続可能で柔軟な交通手段を求める消費者にとって魅力的なソリューションを提供します。
情報源:
https://insideevs.com/features/722276/extended-range-electric-vehcles-explained/
https://energytheory.com/what-are-erevs-extended-range-electric-vehicles/?utm_source=chatgpt.com
ニッケル協会とは
https://nickelinstitute.org/jp/
ニッケル協会は、全世界の一次ニッケル生産者から成る世界的な団体で、会員全てを合わせれば中国を除く世界の年間ニッケル生産量のおよそ85%を占めます。協会の使命は適切な用途でのニッケルの利用を促進、及び支援することです。ニッケル協会はステンレス鋼など現行及び新規のニッケル用途の市場を成長・支援を行うと共に、公共政策と規制の基本として、健全な科学、リスク管理、社会経済的便益を促進しています。ニッケル協会の科学部門であるNiPERA Inc.を通じて、人の健康と環境に関係する最先端の科学研究も実施しています。ニッケル協会はニッケル及びニッケル含有材料に関する情報を集約する拠点であり、オフィスをアジア、欧州、北米に設置しています。
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