海外企業の24年通期決算④中国企業、好悪拮抗 金アルミ好調、鉄鋼リチウムは赤字
海外企業の2024年12月期決算発表が終盤を迎えた。中国企業は好業績と業績悪化を計上した企業数がほぼ半数ずつに分かれた。銅やアルミ、金など期間中の国際製品価格が上昇した企業が好業績を維持したのに対し、鉄鋼のほかレアアースやリチウム、タングステンなどのマイナーメタルを手掛ける企業は総じて業績が悪化した。
中国主力金属企業の2024年決算概要
(社名は通称。売上高と純利益の単位は、五鉱資源は米ドル、中国稀土が香港ドル、ほかは人民元。増減率は%で前年比増減。▲は赤字)
決算概要を採用した11社のうち業績改善が6社、悪化が5社となった。このうち好業績を維持したのは金鉱の紫金鉱業や銅の江西銅業、アルミの中国アルミ業などのベースメタル系。五鉱資源は休止していたペルーの鉱山が再開し大幅増益となった。銅・コバルトの洛陽モリブデン業(チャイナ・モリブデン、CMOC)もコンゴ民主主義共和国(DRコンゴ)での鉱山再開が収益に寄与した。
一方、鉄鋼は最大手の宝山鋼鉄が4月下旬まで決算発表をしないものの、香港市場で株式を公開する同業2社はそろって赤字が拡大した。リチウム2社もそろって前年の黒字から最終赤字に転落。レアアースは香港上場の中国稀土が赤字転落したほか、製品価格が中国国内レアアース価格のベンチマークになっている北方稀土(集団)高科技が最大60%の減益を予告した。タングステンのアモイタングステンは減収増益だった。
足元の中国経済は小春日和の様相だ。中国国家統計局が3月31日に発表した中国の3月の製造業景況感指数(PMI)は50.5と2カ月連続で好不況の境目となる50を上回り、2024年3月以来1年ぶりの高値を付けた。1-2月の経済指標では不動産開発投資に下げ止まりの兆しも見え、2025年は鉄鋼をはじめとする金属需要が回復することも期待できる。
中国PMIの推移
(出所:中国国家統計局)
(IR Universe Kure)
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