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ダイセキ環境ソリューション(1712) 25/2期WEB説明会メモ ややポジティブ継続

25/2期17.4%減収19.3%営利減と営利ほぼ計画線、26/2期5.2%増収5.6%営利増予想

株価1045円(4/11) 時価総額176億円  発行済株16,827千株

PER(26/2期DO12.9X)PBR(1.0X)配当(26/2予)16円  配当利回り:1.5%

 

要約

・25/2期は大規模工場地中埋設廃棄物処理案件収束で17.4%減収19.3%営利減

・26/2期は関東圏の大規模汚染土壌案件など寄与し5.2%増収5.6%営利増予想は増額期待

・中計で資源リサイクル事業ウエイト高め28/2期売上高258.7億円、営利27.9億円目指す

 

25/2期は大規模工場地中埋設廃棄物処理案件収束で17.4%減収19.3%営利減

 

  汚染土壌調査から浄化処理まで一貫事業展開するダイセキグループの一員。4/8に25/2期決算発表、4/9にWEB決算説明会が実施された。25/2期は売上高199.44億円(期初計画比21.90億円上振れ、17.4%減)、営業利益22.53億円(同0.09億円上振れ、19.3%減)と、大規模工場地中埋設廃棄物処理案件収束で営利ほぼ計画線で着地となった。

 

 事業別では主力の土壌汚染調査・処理事業が売上高143.22億円(同19.60億円上振れ、26.2%減)、営利19.90億円(同0.88億円未達、27.2%減)となった。前期に受注した複数の大型案件が収束した影響で減収減益に。但し売上では関東エリアで大規模汚染土壌処理案件が寄与(全体で41億円、25/2Q3が2.8億円、Q4で8.6億円寄与、26/2期 24億円、27/2期5.5億円売上予定)、売上高が増額となった。利益面では岐阜などの稼働率悪化(25/2期40%から25/2期30%想定が20%に止まる)、関西エリアの高付加価値案件の減少などMIX悪化もあり、計画比未達に。

 

 資源リサイクル事業は売上高56.22億円(同2.52億円上振れ、18.7%増)、営利10.81億円(0.12億円未達、7.5%増)となった。中心となる廃石膏ボードリサイクル事業は売上高24.53億円(同1.21億円未達、1.3%増)と、グリーンアローズ中部が入荷量の減少から17.15億円(0.81億円未達、3.8%増)、同九州は7.38億円(同0.28億円未達、3.5%減)となり、ボードの量は増加も、単価ダウンで減収に。利益面では原価高、運賃上昇影響もあり計画を下回った模様。M&Aで今季フル寄与となった杉本商事は売上高21.38億円(同3.14億円上振れ、42.2%増)となった。猛暑もありペットボトル回収などの拡大などが好調、経常利益で3.21億円を稼ぎだし、暖簾償却分のコストを差引いて2.17億円の利益寄与に。PCBは売上高7.07億円(同0.85億円上振れ、40.8%増)と27/3末を処理期限とする駆け込み需要により大口受注獲得で大幅増に。BDFは2.67億円(同0.56億円、0.4%減)と、将来キャッシュフローの回収可能性に鑑みて製造設備を減損処理し、売上未達に。

 

 資源リサイクル全体では、M&Aの杉本商事の収益寄与が大きかったものの、その他事業がコスト増から全体として利益がほぼ計画線にとどまった。

 

 全体を通じ、主力事業で大型インフラ整備工事案件の不振の中でコスト高などが影響、廃石膏ボードリサイクル事業の好調で補えず、収益低迷に。

 

 

26/2期は関東圏の大規模汚染土壌案件など寄与し5.2%増収5.6%営利増予想は増額期待

 

 26/2期会社予想は売上高210億円(5.2%増)、営利23.8億円(5.6%増)、経常利益24.0億円(6.3%増)、税引利益13.5億円(9.3%増)予想とした。事業別売上で主力の土壌汚染調査・処理事業が売上高149.95億円(4.7%増)予想。基本的に東京では大型案件の売上が20億円程度見込まれる他、道路関連で受注残高が2件程度まとまっており、全体で緩やかな拡大を見込む。リサイクル事業他は売上高60.05億円(6.8%増)予想。廃石膏ボードはグリーンアローズ中部がフル生産を続ける見通しの他、九州は微増を見込む。とりあえず建設業界の2024年問題もあり、当面、大きな案件を見込まない前提で計画を組んでいるとのこと。その他では杉本商事が22.20億円(8.2%増)と堅実な伸びを続けるとしている。PCBは一巡、BDFは体制を組みなおし4.32億円(61.7%増)を見込む。

 

 全体として売上高総利益率横ばいの中で、販管費でのコスト削減を行い、営利増を確保する計画に。全体的に土壌処理で慎重な見通しを立てており、売上面では前期同様に上回るとみられるが、様々なコスト上昇から、利益は会社計画並みにとどまろう。

 

中計で資源リサイクル事業ウエイト高め28/2期売上高258.7億円、営利27.9億円目指す

 

 同社は中期計画を毎年スクロールしているが、今回、28/2期に売上高258.7億円、営利27.9億円を目標として掲げた。昨年の見通しと27/2期まで大きく変化しておらず、当面、大型案件受注が見込めないとして27/2期などは土壌事業の収益が減少する見通しにするなど、大きな伸びを見ていない。既に設備能力は豊富にあり、顧客開拓を実行し稼働率を高めていく方針にある。

 

 また同社はビジョン2030として31/2期に売上高309億円、営業利益40億円を目標と置いている。この中で基本的には資源リサイクル事業の比率を高め、土壌事業の収益の変動影響を軽減し、経営の安定、収益性向上を目指すとしている。

 

 

 特に目玉となるのがグリーンアローズ中部の静岡新工場の建設。同工場は廃石膏ボードのリサイクル需要拡大と石炭火力発電所の廃止計画の実行で石炭火力から発生する脱硫石膏の減少に伴うリサイクル石膏の需要拡大を睨んで、事業用地42900㎡を4月に取得、この用地内に12000㎡の廃石膏処理工場を建設、2025年12月に開業予定としている。静岡新工場では年間2.4万tの処理能力を待つことになるが、想定エリアは静岡、山梨、長野と神奈川の一部としている。31/2期には売上高4億円、営利0.8億円を目指す。同社は中部地区で断トツのシェアを持っており、現在フル生産状況となっているグリーンアローズ中部の6000t分を静岡に移管、中部では新たな取り組みも実施し、更なるシェア拡大を図る計画。

 

 

 またもう一つの事業として、静岡の土地の残り3万㎡で廃プラスチック事業を強化する。これは2022年4月4に施行された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」に関連し、2,023年4月には杉本商事のM&Aを実施、プラスチックのRPF(固形燃料)化事業に参入することとした。昨年10月静岡市がプラスチックごみの処理方針を改め、プラスチック資源の再商品化の実現を目指すためにプロポーザル入札を実施、6社の中で同社が1月に選定され、3月に正式契約に至った。内容は令和2028年度中の開始を基本とし、遅くとも2030年度中までに、「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」及び「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」に基づき静岡市が回収・運 搬したプラスチック資源を引き取り、受託者の処理施設にて再商品化を行うこととなっている。具体的には静岡市68万人から排出される容器包装プラスチック、製品プラスチックなど5000tを選別マテリアルリサイクル化することに加え、容器包装リサイクル協会が委託する15000tをマテリアルリサイクル化すること、さらに民間工場の排出する産業廃棄物プラスチックのリサイクルもプラスαとして処理する。合計、年間2万t+αでプラの31/2期に売上高12億円、営利4億円規模を計画している。今回、静岡市に採択されたことから、今後、その他地域でも事業拡大も目指し、杉本商事の行っている事業系廃プラスチックRPF化事業と合わせて、第3の柱として確立し、更なる成長を図るとしている。

 

 

 中計については、土壌汚染調査・処理事業は、国内製造業の事業再編、高付加価値化、環境対策などで一定の需要が継続的に発生する中でコンサル営業やダイセキ連携強化などで更なる市場シェア拡大が見込める。また資源リサイクル事業においては静岡新工場の寄与、杉本商事のシナジー効果が期待され、さらに第3の柱としてのプラスチックリサイクル事業の拡大が期待される。このような状況を踏まえ、全体として会社中計計画の実現は十分可能とみられる。

 

 株価は10/1の25/2H1発表でQ2に大口受注獲得があり、25/2期増額修期待もあり、緩やかな上昇を続けていた中で、12/13にダイセキが大阪油化をTOBとの発表があり、同社もTOB可能性ありとの思惑から12/25には1430円の高値を付けた。その後Q3発表でTOB等の発表がなく大阪油化の2/13のTOB見送りもあり、株価が急落、25/2期決算発表の前日である4/7には日経平均急落もあり安値920円と年初来安値更新となり、決算発表で1000円大台に戻した状況にある。現在26/2期会社予想EPS80.42円に対しPER13.0倍は東証スタンダード建設均PER11.8倍と比較しやや割高になっている。ダイセキの大阪油化買収断念などで思惑買いが終わった中で株価が正常化したと判断、業績としては緩やかな拡大が続くと思われ、ややポジティブ継続としたい。

(出所:図表は同社説明資料より掲載)

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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