要興業(6566)25/3期WEB説明会 ややポジティブ継続
25/3期7.4%増収19.6%営利増と3期連続最高益更新、26/3期3.5%増収0.9%営利増予想
株価1020円(5/30) 時価総額137億円 発行済株15,871千株
PER(26/3期DO予:10.1X)PBR(0.74X) 配当DO予30円 配当利回り:2.9%
要約
・25/3期は需要回復、価格転嫁など寄与し7.4%増収19.6%営利増で3期連増最高収益更新
・26/3期3.5%増収0.9%営利増予想は事業効率化、リサイクル事業拡大期待で多少増額期待
25/3期は需要回復、価格転嫁など寄与し7.4%増収19.6%営利増で3期連増最高収益更新
1972年創業の一般・産業廃棄物の収集運搬、処理、リサイクル大手。25/3期決算説明会が5/29に開催された。25/3期は売上高135.03億円(期初計画比0.68億円増額、3.6%増)、営業利益17.62億円(同0.19億円増額、1.3%増)、経常利益18.69億円(同0.79億円増額、4.6%増)、税引利益12.85億円(同0.72億円増額、2.0%増)とほぼ計画通りに着地した。3期連続最高収益更新となり、配当も計画比2円増配の28円に。
事業別に収集運搬事業が98.77億円(同1.62億円増額、5.7%増)。顧客数が順調に拡大、「路線化政策」の推進で効率的な収集運搬で順調に売上を伸ばした。収集拠点は8174現場(1.2%増)とコロナ影響が薄れ需要が回復、コスト上昇分の一定程度の値上げも浸透したことなどから増加し24/3期末の8127カ所を上回り最大数となり増収に寄与している。顧客数も3727社(69社増加、1.9%増)となっており着実に増加、顧客売上構成比は上位10社合計で29.1%と前期と同様、1位は変更なく小売り1グループ(7.9%→6.9%)、鉄道Kグループ(2.6%→1.8%)など低下も、他のユーザーはおおきな変動がなかった。なお収集運搬車は単体で323台(6台減、1.8%減)となっている。
リサイクル事業は売上高13.98億円(同0.11億円上振れ、9.7%増)と、資源相場の上昇などが寄与。
行政受託事業も売上高32.31億円(同0.32億円上振れ、12.1%増)と堅調な伸びに。子会社のヨドセイが行うゴミ収集事業でプラスチック資源循環促進法の施行なども有り、千住リサイクルセンター、鹿浜リサイクルセンター、城南島リサイクルセンターなどで取扱を始め取扱量の増加が寄与している。なお要興業がリサイクルセンターで行う選別圧縮・選別資源化も高水準を保っている。
利益面では増収効果に加え。主力の運搬収集・処分事業の効率化、リサイクル事業の資源相場下落、燃料費アップなどを吸収、売上総利益率を1.1ポイント良化し23.3%を確保、結果として3期連続最高益更新となった。
なお四半期推移で見ても緩やかな拡大を続けており、25/3Q4は売上高35.43億円(同期比4.5%増)、営利5.59億円(22.9%増)となっており、営業利益においては25/3Q1の5.41億円を抜いて四半期として最高益更新となっている。
26/3期3.5%増収0.9%営利増予想は事業効率化、リサイクル事業拡大期待で多少増額期待
26/3期会社予想は売上高150.21億円(5.3%増)、営利21.27億円(0.9%増)、経常利益21.86億円(0.9%増)、税引利益15.40億円(1.7%増)と、リサイクル事業での現在の市況前提で微減収を見ており全体として緩やかな増収増益予想とした。なお中期経営計画比較で売上高5.31億円未達予想も、営業利益では0.73億円上振れ予想となっている。
事業別では収集運搬・処分事業が3.9%増、リサイクル事業は市況軟化を想定し1.3%減、行政受託事業11.0%増予想。行政受託事業は引続きプラスチック資源循環促進法の施行で新規に取扱行政先の増加が寄与する見通しから3.9%増収を見込む。
現状、収集運搬・処分事業は小売り、鉄道等のユーザーも多く、収益の緩やかな増加が見込まれる。行政受託事業は不燃物資源化事業等で新規要請も見込まれ、昨年7月より始まった家庭用プラスチック行政受託先の拡大などで増量が見込まれる。特に東京都での廃プラ法対策では現在、プラスチック製容器包装 (以下、容リプラ)を分別収集し、指定法人ルート(容器包装リサイクル法に規定する指定法人に委託する方法)を通じて再資源化しているのは、23区中12区と約半数であり、実施率に換算すると52.2%となる。これは全国の区市町村における実施率(76.7%)と比較すると、かなり低い水準。しかも、容リプラとプラスチック使用製品廃棄物 (以下、製品プラ)の一括回収を実施しているのは、港区と千代田区の2区のみである。東京23区の特徴として、自前の中間処理施設(指定保管施設)を保有しているのは港区のみであり、ほとんどの区が民間業者に中間処理を委託している。これは人口密度が高く、且つ工業系の用途地域も限られているため、自区内で中間処理施設を確保できない区の方が圧倒的に多いという23区ならではの事情となっていた。しかし東京23区で2025年度中に6区が回収を開始し、2026年度に足立区がモデル回収を区内全域に拡げ、杉並区・練馬区でも一括回収に移行するため、時期未定は3区となる。プラ新法の施行で分別収集が交付金の要件となったことで、各区で開始時期にバラつきがあるものの、2031年度中までに全ての区で実施される。今後、多くの区で再資源化が進展するとみられ、東京都23区に経営資源を傾斜している同社への恩恵が高まってこよう。全体として会社計画に対し中計予想売上確保し、利益の上振れが期待されるとともに、27/3期以降も収益の拡大が期待される。
同社株価は業績の拡大とともに順調に上昇、11/14の25/3Q2で増額修正したこともあり12/30には1274円の高値を付けた。その後は相場環境の悪化もあり日経平均並みに下落、5/15で26/3期中計予想に対し利益上振れ見通しとしたことで戻り歩調にある。現在、26/3期会社予想EPS97.04円に対しPER10.5倍は、イボキン7.9倍、エンビプロ12.9倍と比較し、中間水準にある。同社は26/3期も連続最高益更新し中計売上達成で利益増額が期待され、派手さはないが着実な収益拡大でややポジティブ継続とする。
(図表は決算説明会資料から添付)
*エンビプロ(5699)、イボキン(5698)との比較
(H.Mirai)
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