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8月の世界経済 低め安定、米中ともに景気不安 川上氏 円140円台半ばで推移か

2025/08/06 13:54
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 8月の世界経済は低め安定の様相となりそうだ。金融アナリストの川上敦氏は、8月5日の「Chuck Kawakamiの金融経済Now」の最新オンラインライブで、「米国の労働市場に不安が漂う一方、中国経済も消費の底這いが続くなどさえない」と指摘し、世界経済の下押し圧力が続くとした。 (図表はすべて「Chuck Kawakamiの金融経済Now」から)

 

■米関税、影響本格化はこれから

 7月に懸案だった米相互関税を巡っては、8月1日までに日本をはじめ多くの国が米国との合意に達し、新たな関税下での貿易に取り組み始めた。ただ、中国が8月12日に交渉期限を控えるほか、インドやカナダなど強硬な姿勢を見せる国もあり、関税関連の先行きは見通しにくい。

 川上氏は「米国以外に輸出先を広げる動きも複数の国で拡大している。世界のサプライチェーン(供給網)再編も含め、トランプ関税による影響が本格化するのはこれから」と話した。

 

■米国、長期失業者が増加

 一方で、米国の国内事情には不安が漂う。米労働省が8月1日に発表した同国の7月の雇用統計で、農業分野以外の就業者は前の月から7万3000人の増加と、市場予想(約10万人)を下回った。川上氏のデータでも、長期失業者の増加が見て取れ、米国の労働市場の縮小がうかがえる。

 

 

 米国は住宅市況も低調が続き、これまでのようなイケイケムードはやや落ちている。関税を理由としたインフレへの警戒なども影響している可能性がある。

 

■中国は公共投資頼み、日本は貧困化進む

 一方、米国の最大の貿易相手である中国も相変わらず景気はさえない。特に消費は横ばいで、小売売上高もボックス圏での推移が続く。自動車市況が政府のテコ入れで改善するなど「公共投資頼みで経済を維持している」(川上氏)面が強いが、それも「過去3年間変わらない」(川上氏)状態だ。故李克強元首相が経済は悪の指針としたとされる発電量も伸び悩み、低空飛行が続く。

 

 

 

 データでみると、日本経済もさえない。平均所得の低迷が続き、世帯収入400万円以下が増加して700万-1000万円の層が減少するなど貧困化が進む。川上氏は「街角景気が悪く、消費マインドも頭打ちだ」と指摘し、「貸し出しも低迷しており、日本の経済活動はイマイチ」と話した。

 

 

日本は世界的な購買力も落ちている。実質為替レートは「足元ではよくなってきたものの他国と比べ明確に低い」(川上氏)状態だ。

 

 

 

■ドル円予想レンジは144-148円、銅は投機目立つ

 こうした世界経済の様相を背景に、川上氏は8月のドル円レートについて「1ドル=144円―148円程度」とみる。先物の状態を見ると円買いポジションが増えており、「円安バイアスは薄れている」と話す。川上氏は「イランなど中東で想定外の出来事が起きれば為替も影響が出るかもしれない」とした上で、140円台半ばを中心とした安定推移を予測した。

 

 

 コモディティに関して川上氏は、「金の強気ポジションは引き続き強い。同は中国需要減少の折り込みが済み、足元では投機的な買いが増えている」と話した。

 

(IR Universe Kure)

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