米ブルームバーグ通信は4月25日、電気自動車(EV)のバッテリーリサイクルが損益分岐点に達しつつあるとの分析を伝えた。米金属リサイクル大手のレッドウッド・マテリアルズ(Redwood Materials)などによる技術ならば、二酸化炭素(CO2)排出量を従来のEVバッテリーの生産過程に比べ最大80%削減することができるとしている。
ブルームバーグNEFの推計によると、米国の場合、EVが損益分岐点に達するには約4万5000キロメートルの走行が必要となる。これはリチウムやニッケル、コバルトなどの新品の材料を使った場合で、生産過程を含めると、EVの初期の排出量はガソリン車を上回る計算になる。廃車後にこれらの鉱物材料を廃棄するとなれば、さらに割高な製品と言える。
ただ、バッテリー材料の鉱物リサイクルが進めば、EV自体も割高な製品とは言えなくなってくるとブルームバーグは指摘した。カギはリサイクルの技術革新と併せて、サプライチェーン(供給網)をローカルに保つことなどが挙げられる。スタンフォード大学のレポートによると、バッテリーのリサイクルは従来の精製と比較して、エネルギー使用量を79%削減し、CO2排出量を55%削減したという。
例に挙がったレッドウッドの場合、使用済み電池から95%以上の金属を回収できるとしている。レッドウッドは電池材料を生産し、電池製造のパートナーに負極用の銅箔と正極用の活物質を供給している。2022年にはパナソニックエナジーとEV向け電池材料の供給契約を結んだ。
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