米レアアース(希土類)生産のUSAレアアース(USA Rare Earth、USARE)」は1月28日、自社ホームページ上で、「純度99.1重量%の酸化ジスプロシウムのサンプルの生産に成功した」と発表した。米国が進める重要鉱物の脱中国依存の一歩前進になり得る。
■テキサス州産鉱石から自社技術で抽出
プレスリリース:USA Rare Earth Achieves Breakthrough in Domestic Rare Earth
発表によると、同社は米テキサス州のラウンドトップ鉱山から採掘した鉱石を独自技術で抽出して酸化ジスプロシウムを生産した。品質については第三者機関が検証済み。同社はテルビウムやネオジムなど他のレアアースも生産している。
■磁石材料、急がれる西側供給網の確立
ジスプロシウムは磁石に耐熱性を付与する重希土類で、半導体や自動車モーター、ミサイルなどの軍事用品にも使用される。酸化ジスプロシウムの国際価格は1月16日に仲値$222.5/kgと2024年12月中旬以来の高値に戻した。長期で見ると中国によるレアアース輸出制限があった2011年に急騰した後は$500以下の水準で横ばいが続き、足元では供給ひっ迫懸念は目立っていない。
過去15年間の酸化ジスプロシウム価格の推移(99.5% FOB China)($/kg)
希土類磁石は中国が世界シェアの約6割を占める。米国は国内に鉱山はあるものの加工能力がなく、レアアース鉱石を中国に輸出し、加工品を中国から輸入している。しかし、中国が2023年からガリウムなどのレアメタル貿易を武器化する中、「次の輸出禁止対象はレアアース」(中国事業を手掛ける中堅商社のトップ)との観測は強い。西側諸国内でのレアアースのサプライチェーン(供給網)確立が急がれており、日本政府も2023年3月にオーストラリアのライナス・レアアースとの間で、ジスプロシウムとテルビウム事業への出資と製品の供給契約を結んだ。
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(IR Universe Kure)