2025年8月4日~8月11日のバッテリー業界では、ペロブスカイト太陽電池関連の話題が目立った。東京都が愛称を決定したほか、三菱HCキャピタルなどが実験に取り組む。海外を含め中国勢との提携を模索する動きも続き、脱中国の難しさも痛感させられる。エミレーツ航空が10月からモバイルバッテリーの使用を禁止するなど防災の話題も多い。
IR Universeは9月25日、第12回Battery Summitを開催する。今回は、中国の金属情報プロバイダーSMM(上海有色網)との共催となる。
9月25日(木) 第12回 Battery Summit in TOKYO | MIRU
日程
2025年9月25日(木)13:00~18:30
2025年9月26日(金)バッテリー関連工場訪問予定
会場
東京国際フォーラム Hall D7
〒100-0005 東京都千代田区丸の内3丁目5-1
<国内>
●東京都、ペロブスカイト太陽電池の愛称は「Airソーラー」
東京都は8月8日、ホームページ上で、「日本産の次世代型ペロブスカイト太陽電池の愛称を『Airソーラー』に決めた」と発表した。
Anywhere(どこでも)、Innovative(革新的な)、Renewable energy(再エネ)の頭文字を取った。7月4日―7月31日に一般から受け付けたネーミング投票により決定した。
プレスリリース: 日本生まれの太陽電池の名前は「Airソーラー」|8月|都庁総合ホームページ
●ダイヘン、中国CATLと供給契約
重電のダイヘン(本社:大阪市)は8月6日、蓄電池と車載電池で世界最大手である中国の寧徳時代新能源科技(CATL)およびやCATLの日本代理店であるVOLT 販売との間で、「定置用蓄電池に関する供給契約を締結した」と発表した。
関連記事:ダイヘン、CATL社と定置用蓄電池の供給契約を締結 | MIRU
●PFU、町田市と不敵ごみ検出で実験 リチウムイオン電池など
業務用イメージスキャナのPFU(本社:石川県)は、8月7日、「町田市と連携し、搬入不適ごみ検出に関する実証実験を実施する」と発表した。IHI検査計測と共同開発中のリチウムイオン電池検知システム(LiB検知システム)の実用化に向けての実験。実施期間は8月25日~28日の4日間で、町田市との実験は2024年に続き2度目。
関連記事:PFU 町田市と共創で搬入不適ごみ(LiBなど)検出、2度目の実証実験開始 | MIRU
●三菱HCキャピタル、ペロブスカイト太陽電池で実験 エネコートや北海道電力と
三菱HCキャピタルは8月6日、「エネコートテクノロジーズや北海道電力とペロブスカイト太陽電池を活用した共同実証契約を締結し、2025年8月から共同実証実験を開始する」と発表した。
関連記事:三菱HCキャピタル、エネコートテクノロジーズ、北海道電力がペロブスカイト太陽電池の共同実証契約を締結 | MIRU
●破産の全樹脂電池APB、創業者の企業が引き受け
破産手続中の全樹脂電池スタートアップAPB(本社:福井県越前市)について、破産管財人らが8月5日、事業譲渡先が決定したと発表した。 譲渡先はAPB創業者の堀江英明氏が代表を務める「クリティカルパス」(本社:東京・港)。
関連記事:週刊バッテリートピックス「住友電工が九州にRF電池」「米国が太陽電池に3500%課税」など | MIRU
●3DC、26年から炭素材料を量産へ 24億円の資金を調達
(出所:3DC発表資料)
次世代電池素材を開発する東北大学発スタートアップの3DC(本社:仙台市)は8月4日、自社ホームページ上で、「リチウムイオン電池向け炭素材料を2026年に量産する」と発表した。
材料供給規模は3ギガワット時(Gwh)を見込む。設備投資に向け、三菱UFJキャピタルなどから合計24億5000万円の資金を調達した。
プレスリリース:NEDO DTSU PCAフェーズへの採択とシリーズA 1stクローズにより合計24.5億円を調達し、次世代炭素材料「GMS」の量産工場の着工を開始
<海外>
●エミレーツ航空、10月からモバイルバッテリーの使用禁止へ 火災防止で
(出所:エミレーツ航空発表資料)
エミレーツ航空は8月8日、自社ホームページ上で、「10月1日から全便の機内でモバイルバッテリーの使用を禁止する」と発表した。相次ぐモバイルバッテリー火災に対応する。
条件を満たせば1個まで持ち込めるが、機内で電子機器を充電したり、機内の電源コンセントでモバイルバッテリー自体を充電することはできない。収納場所は座席ポケットか前方座席下のバッグに限られ、頭上の手荷物棚(オーバーヘッドビン)には置けない。受託手荷物への収納禁止は、従来通り維持する。
プレスリリース:Emirates new rules for power banks onboard
●1-6月の世界のEV電池使用量、前年同期比37.3%増 SNEリサーチ
韓国調査会社のSNEリサーチが8月7日までに発表した月次レポートによると、2025年1-6月の世界の電気自動車(EV)向け車載電池の使用量は504.4ギガワット時(Gwh)で前年同期比37.3%増えた。
関連記事:1-6月のEV電池使用量、37.3%増 中国需要で伸び回復、シェアも中国大手2社が過半 | MIRU
●米GM、中国CATLから電池購入 暫定的措置・外電
米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM) は、暫定的に中国CATLからの電池輸入を行う見通しだ。ロイター通信が8月7日、消息筋の話として伝えた。米中貿易摩擦が続くが、米自動車メーカーは急には脱中国に転換できずにいる。
●印アダニ、中国BYDとの提携検討か・外電
インドの新興財閥アダニ・グループが、中国EVのBYDとの連携を探っているという。ブルームバーグ通信が8月4日に伝えた。
インド国内でのバッテリー製造を可能にして事業拡大を図ることを計画しているという。ただ、中印関係が不安定な中、BYDのインド支社との提携にとどめるとの見方も伝わった。
●中国CATL、レンタカー企業などと提携 バッテリー交換サービスを拡大へ
中国のCATLは8月4日、子会社の時代電服(CAES)、レンタカーと配車サービス大手の神州租車、招銀金融租賃の3社との間で、戦略的提携協定を締結したと発表した。時事通信社などが同日伝えた。
CATLを含む4社は、EVバッテリー交換サービスをレンタカー業界に大規模導入し、エネルギー補給、資産運営、金融支援、車両利用サービスでの連携を通じて、持続可能なエネルギー補給ソリューションを構築することを目指すという。
(IR Universe Kure)