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電力問題に揺れる南ア 供給公社トラブル、26年9%値上げ観測も グレンコアは事業縮小

2025/09/03 12:02
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 南アフリカ共和国が電力問題に揺れている。もともと慢性的な電力不足で悪名高い国だが、足元で電力公社エスコム(Eskom)と国家エネルギー規制当局(the National Energy Regulator of South Africa 、NERSA) 間にトラブルがあり、計画停電に拍車がかかっていた。今後も大幅な電気料金引き上げが見込まれ、外資の撤退も始まっている。

 

 

 ロイター通信が9月2日に伝えたところによると、スイス資源大手グレンコアは南ア南部のルステンバーグフェロクロム製錬所とバナジウム事業で人員削減を開始したと明かした。グレンコアと合弁事業を展開する地場フェロクロム生産のメラフェ・リソーシズも、関連する製鉄所の労使との間で協議を始めたと伝わった。南アの一部の製鉄所は4月から大幅減産や生産中止が相次いでいた。

 

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 背景にあるのは電力供給の不安定化だ。南アの電気料金は、エスコムがNERSAに向けて今後の電気料金の引き上げ案を提示し、NERSAがそれを評価・承認して決定する。しかし、8月29日のFerroalloy.netによると、2025-2027年会計年度の電力引き上げ案を巡りってエスコム側にデータ入力などのミスがあった。既NERSAが提出案を承認済だったため両社の間で差し戻しがあるなどトラブルになり、エスコムが訂正を巡って司法審査を求める事態に発展していた。

 最終的にはエスコムとNERSAは合意し、今後の電気料金の引き上げ幅は以下の見通しになったという。

 

・2026/27年度 追加値上げ3.40%ポイント、電気料金は8.76%上昇。

・2027/28年度 追加値上げ2.64%ポイント、電気料金は8.83%上昇。

 

 南アの2025年のインフレ率は3.5%と予測されている。電気料金高騰は特に鉱業においては壊滅的なコスト膨張に当たる。鉄鋼価格が世界的に低迷する中、外資としても南アでの生産を諦めざるを得ない状況になっている。

 

(IR Universe Kure)

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