2025年9月第2週の中国のニッケル銑鉄とニッケル鉱石価格は平穏な動き。ニッケル銑鉄価格は底入れし、ほぼ3か月ぶりの高値圏に戻した。鉱石価格は高値横ばいが続く。採掘者側の減産などで供給は低迷しているものの需要も弱く、価格自体が堅調な水準にあることもあって動きの少ない展開となっている。
■インドネシア抗議活動、ニッケル工場には直接の被害出ず
ニッケルの生産が集積するインドネシアでは、8月下旬から社会的不平等などに対する市民の抗議活動が巻き起こった。抗議活動は中国の青山控股集団(Tsingshan Holding Group)などがニッケルの生産拠点を構えるスラウェシ島にも及んだと伝わったが、工場への直接の被害は確認されず、ニッケル価格への影響は限定的だった。
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過去3ヶ月間のニッケル銑鉄価格の推移(NPI content 10-15% China)(RMB/Nickel/MTU)
中国のニッケル銑鉄価格は9月4日に高値RMB955/MTUと6月中旬以来の高値に戻した。7月17日-8月6日までの直近安値(RMB920を底に値を戻す動きが続いている。
上海有色網(SMM)は9月10日までのレポートで、「生産も低迷し在庫はひっ迫気味だが、最終製品の需要も弱いことから奇妙なバランスが取れている」と指摘した。
過去3ヶ月間のニッケル鉱石価格の推移(1.8min CIF China)($/ton)
中国のニッケル鉱石価格は6月19日に付けた仲値$77/tonから横ばい。水準としては2024年1月以来の高値水準となる。
中国国家統計局が9月10日に発表した8月の卸売物価指数(PPI)は前年同月比2.9%下落と2年11か月連続の前年割れとなった。卸売物価全体の下押し圧力が根強いことも、中国のニッケル価格には逆風となっている。
中国のPPIの推移
(出所:中国国家統計局)
■精錬も動き鈍い
過去3か月間のLME($/ton)とSHFE(RMB/ton)のニッケル価格の推移
精錬ニッケル価格も動きは鈍い。ロンドン金属取引所(LME)のニッケル価格は9月9日に現物$1万5160/tonを付けた。8月下旬に$1万5000を割り込む場面があったが、9月に入ってからはこの水準は上回り、9月1日には$1万5475と直近高値を付けた。
上海先物取引所(SHFE)のニッケル価格はより動きが乏しい。9月9日に現物RMB12万940/tonを付けた。RMB12万をやや上回る水準での推移が続く。
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9月3日
ブラジル経済擁護行政委員会(CADE)が、英アングロアメリカンによる同国のニッケル資産の中国企業への売却について調査を始めた模様だ。英経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が9月3日に伝えた。
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8月27日
国際団体のニッケル協会は8月27日、オンラインなどで「第3回バッテリー・デー」を開催した。
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8月25日
フランス鉱業大手エラメットは8月25日、「同社が37.8%出資するインドネシア子会社WBNは、インドネシア北マルク州ウェダベイ工業団地のニッケル鉱石事業で、2025年後半に生産量と販売量が増加する」と明かした。
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(IR Universe Kure)