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日本磁力選鉱、ダイキン、UACJは共同で空調機のアルミフィン水平リサイクルに成功

2025/09/24 17:05 FREE
日本磁力選鉱、ダイキン、UACJは共同で空調機のアルミフィン水平リサイクルに成功

日本磁力選鉱株式会社(本社:福岡県北九州市、代表取締役社長:原田 信、以下 日本磁力選鉱)、ダイキン工業株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長兼COO 竹中 直文、以下 ダイキン)、株式会社UACJ(本社:東京都千代田区、代表取締役:田中 信二、以下 UACJ)は、このほど、空調機の熱交換器の水平リサイクル※1技術を共同で実証した。空調機のアルミフィンの再生技術の実証実験の成功は、業界で初めて※2となる。

従来、空調機の熱交換器には、加工しやすい純度の高いアルミ材が用いられてきたが、使用済み熱交換器のアルミフィンのリサイクル物には銅や不純物が含まれており、自動車エンジン部材向けなど、他用途へのダウングレードリサイクルに限られていた。一度ダウングレードされたアルミ材を元のグレードに戻すことは難しく、リサイクル前後で用途を変えない水平リサイクルによる資源循環の手法が模索されてきた。今回の実証では、アルミと銅の選別精度の向上およびアルミ材のプレス成形性の改善により、リサイクル後のアルミフィンを使用した熱交換器を生産ライン上で製造することに成功した。

リサイクルによりアルミを製造する際のCO₂排出量は、新地金からの製造と比較して97%削減可能とされている。今回実証した水平リサイクル技術は、熱交換器用アルミフィンのライフサイクル全体におけるCO₂排出量の大幅削減に寄与するものである。

※1 同一グレードへのリサイクル
※2 2025年9月時点、ダイキン調べ

確立した技術と今後の取り組み

熱交換器は空調機において空気を冷却・加熱するための重要な部品の一つであり、内部の銅管を流れる冷媒の熱を、アルミフィンを通じて空気に伝える構造となっている。使用済み熱交換器のマテリアルリサイクルでは、一般的に熱交換器をシュレッダーで細断し、使用されているアルミ・銅・鉄などを金属ごとに選別する。しかし、選別されたアルミには銅やその他不純物が含まれるため、加工性が重視される熱交換器用フィン材への水平リサイクルは困難であった。

熱交換器のマテリアルリサイクル工程

こうした課題に対し、リサイクルサイトを運営する日本磁力選鉱は、アルミと銅の高度選別技術を開発し、当初3%程度含まれていた銅成分を0.1%以下にまで低減することに成功した。また、素材メーカーであるUACJは、銅などの不純物が含まれる場合に問題となるプレス成形性を改善したアルミ材を開発した。最終的に、そのアルミ材を用いてダイキンがフィンプレス成形および熱交換器の製作を行い、使用済み熱交換器から新たな熱交換器への水平リサイクルが実現可能であることを実証した。

日本磁力選鉱で実証したアルミの高度選別結果

 

まずは、ダイキンの工場やアフターサービスにおいて産業廃棄物として処理されている使用済み熱交換器を対象に、再生アルミを活用した熱交換器の量産化に向けた取り組みを開始する。その後、業務用空調機など家電リサイクル法の対象外である機器や部品に対象を拡大し、順次、回収・再生量の拡大を図る。

熱交換器の水平リサイクルループの構築

日本磁力選鉱について

1949年(昭和24年)の創業以来、スラグをはじめとする鉄鋼副産物のリサイクルを主軸として事業を展開してきた。北九州を中心に関東以西に複数の工場を持ち、スラグ処理、フラックス、非鉄金属類、小型家電類、特殊鋼、リサイクル機器、プラントなど、幅広いリサイクル資源開発事業を手掛けている。

特に廃家電・廃自動車分野においては、スクラップの全量国内リサイクルを目指し、ラジエーター、ミックスメタル、被覆銅線類などを独自の選別処理設備により各種金属に分別・回収し、高品位な非鉄原料として国内の素材加工メーカーを中心に提供している。

創立から75年間にわたって培ってきた現場力・技術力・組織力といった競争力を活かし、社会に貢献すべき事業フィールドを「資源循環産業」と位置づけ、次なる成長のための基盤整備に邁進している。

ダイキンについて

ダイキンは、世界に130以上の生産拠点を有し、170以上の国・地域で事業を展開する空調のリーディングカンパニーである。2025年3月期の売上高は4兆7,523億円、全世界で約10万人の従業員を擁している。

空調事業を通じて、さまざまな気候下における室内空気環境の改善を図り、快適な空間づくりと人々の健康への貢献を行っている。2050年までに世界の空調機台数が3倍に増加すると予測される中、空調使用による電力需要の増大が大きな課題となっている。

ダイキンのミッションは、安全・安心で快適かつ健康な空気環境を提供しながら、地球温暖化の影響を可能な限り抑制することである。「空気で答えを出す会社」を掲げ、多様なニーズや文化に対応した商品・サービスを世界中に提供していく。

UACJについて

株式会社UACJ(ユーエーシージェー)は、グローバルに事業を展開するアルミニウム総合メーカーである。「アルミでかなえる、軽やかな世界」をスローガンに掲げ、素材の力を引き出す技術をもって、持続可能で豊かな社会の実現を目指している。

飲料缶、自動車、IT機器、空調、航空宇宙・防衛など多様な分野に、アルミニウムの板、箔、押出、鋳鍛、加工製品を提供しており、アルミ圧延を開始してから125年以上にわたる技術の蓄積により、人々の暮らしや産業を支えている。また、循環型社会の構築に向け、各分野でリサイクル推進にも取り組んでいる。

2025年3月期の連結売上高は9,988億円、グループ従業員数は約10,200人である。

(IRuniverse Ryuji Ichimura)

 

 

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