2025年のレアメタル・レアアース業界は、輸出規制を強める中国と西側諸国の脱中国化が鮮明化した1年だった。輸出規制に加え、資源枯渇への懸念が膨らみタングステン価格が歴史的水準に値上がり。ガリウム、ゲルマニウム、イットリウムなども高騰した。2024年に発見の南鳥島沖のレアアース資源は開発計画が進展した。
1.一部金属価格が高騰
タングステン価格は12月19日に高値$900/MTUまで値上がりした。資源枯渇懸念から中国国内の鉱石価格やAPT価格が高騰し、国際価格にも波及している。中国の輸出規制対象になっているガリウムやゲルマニウム、レアアースの一部であるイットリウムなども品薄感が強かった。希少金属のハフニウムやレニウムの値上がりも目立った。
過去1年間のタングステンAPT価格の推移(EU Freemarket)($/MTU)

2.中国の輸出規制
中国は2月にタングステンなど5種類のレアメタル、4月に中重希土類を中心としたレアアースの輸出規制を実施すると発表した。
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3.米中首脳会談と一部規制の延期
米中は10月30日に韓国で首脳会談を行った。結果として、中国が10月9日に発表した一部レアアースの対米輸出禁止などの強化措置は2026年11月10日まで1年間延期となった。米国側はガリウムなどについても規制を延期したと主張したが、中国側からの正式発表はない。
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4.米国の資源確保の動きと西側諸国の脱中国依存の鮮明化
米国は4月、ウクライナとの間で、ウクライナのレアアースに米国企業がアクセスできる内容を盛り込んだ天然資源に関する協定を結んだ。デンマーク自治領グリーンランドの資源獲得にも意欲を燃やす。
また、オーストラリアの資源企業と米企業の関係が強化されるなど、西側諸国の脱中国依存の方向が鮮明化した。
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5.豪ライナス・レアアース、日本向け中重希土類の輸出開始
豪資源大手のライナス・レアアースは10月、ジスプロシウムとテルビウムの対日輸出を開始した。同社に対しては2023年3月、日本政府が出資と供給契約を結んでいる。
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6.南鳥島沖のレアアース採掘計画の進展
2024年に日本の排他的経済水域(EEZ)小笠原諸島にある南鳥島(東京都)沖で巨大なレアアース資源が発見された。政府は2026年1月にも試掘を開始する。小野田紀美内閣府特命担当大臣は12月5日の記者会見で、「2026年1月に地球深部探査船「ちきゅう」が出港し、深海約6,000メートルまで揚泥管を接続し、開発した機器が機能することを確認する」と発表した。
プレスリリース(内閣府): 小野田大臣記者会見(令和7年12月5日) | 政府広報オンライン
7.ガリウム新規参入の増加
ガリウム価格の上昇を受け、韓国非鉄金属大手のコリア・ジンクや三菱RtMジャパンなど、関連事業への参入が相次いだ。
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8.コンゴのコバルト輸出規制
コンゴ民主主義共和国政府は10月、同国からのコバルト輸出に割当制を導入した。その前に2月からコバルトを輸出禁止にしていた。世界の生産の7割を占めるコンゴの措置により、コバルト価格は急伸した。
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9.資源企業の株式上場
米株式相場の好調を受け、カナダ市場から米市場に鞍替えや重複上場する資源企業が相次いだ。カナダのアルモンティ・インダストリーズはタングステン価格の強気見通しも鞍替えを後押しした。
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(IR Universe Kure)