Loading...

ホルムズ海峡混乱がエネルギー市場、肥料貿易、そして脆弱な経済を脅かす、とUNCTADが警告

2026/03/23 11:42
文字サイズ
ホルムズ海峡混乱がエネルギー市場、肥料貿易、そして脆弱な経済を脅かす、とUNCTADが警告

国連の常設機関で途上国の声を代弁する国連貿易開発会議(UNCTAD)が3月初めに発表した新たな迅速分析によると、ホルムズ海峡における船舶航行の混乱は、世界のエネルギー、海運、農業市場に懸念を引き起こしており、特に開発途上国経済に深刻な打撃を与える可能性があるとしている。

 

「ホルムズ海峡の混乱 ― 世界貿易と開発への影響」と題されたこの報告書は、中東地域における緊張の高まりと、世界で最も重要な貿易回廊の一つであるホルムズ海峡を通る海上交通の混乱がもたらす経済的波及効果を検証している。

 

ホルムズ海峡は、世界の海上石油貿易の約4分の1を担い、液化天然ガスや肥料も相当量が輸送されている。イランとオマーンの間にあるこの狭い海峡は、ペルシャ湾とオマーン湾、そしてアラビア海を結び、世界の海上輸送において戦略的に最も重要なチョークポイントの一つとなっている。

 

分析によると、市場への影響は即座に現れ、ブレント原油価格は瞬く間に1バレル90ドルを超え(3月10現在)、タンカー運賃と戦争リスク保険料も、船主や保険会社が安全保障上のリスクの高まりを再評価する中で急騰し、船舶燃料費の高騰は、世界のサプライチェーン全体で輸送コストを押し上げている。

 

ホルムズ海峡閉鎖の影響でコンテナ輸送の迂回が360%急増

この混乱は、エネルギー市場ほど注目されないことが多い農業資材への懸念も高めている。UNCTADの推計によると、世界の海上肥料貿易の約3分の1、年間約1,600万トンがホルムズ海峡を通過しており、この海峡は新興国や開発途上国向けの肥料供給にとって極めて重要な動脈となっている。

 

そのため、供給途絶はエネルギー市場にとどまらず、脆弱な地域における食料生産や食料価格にも影響を及ぼす可能性がある。

 

報告書は、「この海峡の混乱はエネルギーおよび農業サプライチェーンに影響を与え、輸送費や保険料の上昇を招く可能性がある」と警告し、食料不安に苦しむ国々にとって肥料の供給不足が深刻な問題となる可能性があると付け加えている。

 

UNCTADは、開発途上国がこのショックに最も大きく晒される可能性があると警告している。多くの国は既に高水準の債務を抱え、財政余力が限られているため、エネルギーや農業資材の輸入コスト上昇を吸収する能力が低い。

 

ホルムズ海峡の閉鎖で輸出が滞る中、湾岸石油大手各社が減産幅を拡大

UNCTADは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックやウクライナ戦争など、近年の危機が、エネルギー、輸送、農業資材の供給途絶がいかに急速に世界市場に波及するかを示したと指摘している。

 

これらの危機は、エネルギー価格の急騰、肥料不足、食料価格の高騰を引き起こし、特に低所得国に大きな打撃を与えた。

 

ホルムズ海峡の閉鎖は、重要な海上輸送の要衝が影響を受けた際のグローバルサプライチェーンの脆弱性を浮き彫りにしている。世界のエネルギーと肥料貿易の大部分がこの単一の輸送回廊に集中しているため、一時的な混乱であっても、世界経済の複数のセクターに影響を及ぼす可能性がある。

 

UNCTADは、今回の混乱は、グローバル貿易ネットワークの強靭性の必要性と、エネルギー、食料、生活必需品の流れを支える海上輸送回廊の保護の重要性を改めて強調するものだと述べている。

 

1964年に設立されたUNCTADは、貿易と開発に関する国連の主要機関として、195の加盟国に対し、包摂的で持続可能な開発を促進することを目的とした経済分析、政策提言、技術支援を提供している。事務局はスイスのジュネーブ。

 

(IRuniverse H.Nagai)

世界の港湾管理者(ポートオーソリティ)の団体で38年間勤務し、世界の海運、港湾を含む物流の事例を長年研究する。仕事で訪れた世界の港湾都市は数知れず、ほぼ主だった大陸と国々をカバー。現在はフリーな立場で世界の海運・港湾を新たな視点から学び直している。

 

 

関連記事

新着記事

ランキング