3月にドイツ・ハンブルグで開催された国際自動車リサイクル会議では、中心議題の一つ使用済自動車規則案について、欧州委員会・環境総局担当官Jaco Huissman氏から現状報告があった。ELV規則案をめぐる審議は基本的に終了しており、現在は最終承認を待っている段階である。したがって、今回の法案の報告内容は最終版となるようだ。欧州委員会による2023年7月の法案発表からすでに3年近く経過、審議が長期化したELV規則について、プレゼンテーションの全容をレポートするシリーズ③。
規則における今後の動きは?
Huissman氏は、ELV規則の現状報告の最後に2026年から2033年にかけての規則施行ロードマップについて説明した。ELV規則の発効は2026年の夏を予定しているが、規制策定はこれで全て終了するわけではない。規則の条項は基本的に枠組み要件を設定するもので、要件に関する更なる詳細な定義や算出法などは、二次法令によって発表される。また将来見直しや修正が予定されている条項に関しては、それ以前に調査が実施されることになっている。
今後のタイムラインは、2026年7月頃(M0→0月)に予定される規則の発効(第57条)から始まる。 その18か月後、2027年12月(M18)までに、欧州委員会は第5条に基づき「懸念物質(SoC)の存在」に関する報告書を提出することになっている。 また、2027年7月(M12)までには、第6条に基づく鋼およびアルミニウムのリサイクル含有率に関する実現可能性調査が完了することになっている。
2028年以降は、方法論の整備に焦点が移る。中でも2028年7月(M24)は重要な節目だ。第6条に基づき、プラスチックの再生材利用要求が国際貿易に与える影響評価や、再生材含有率の算定方法に関する施行法が採択される予定となっている。 同時に、鋼およびアルミニウムの目標値と算定方法について、委任法により具体化が進む。 さらに、第45条に基づき電子情報交換システム「MOVEHUB」に関する施行法が策定され、執行と報告を支えるデータ基盤が整備される。 2028年12月(M30)までには、第4条に基づく3R率の算定方法や、第49条に基づく加盟国報告の方法論を定める施行法が求められており、制度運用上の主要な空白がここで埋められる。
その後、焦点は重要原材料(CRM)とデジタル・ツールへと移行する。2029年7月(M36)までに、第6条に基づくCRM関連の再生材含有率に関する実現可能性調査と算定方法の委任法が準備される。 2030年7月(M48)には、第13条に基づく車両パスポートの技術ルールが実施法として採択され、「サーキュラリティ・ヴィークルパスポート」が実運用段階に入る。
後半のマイルストーンでは、評価と見直しが中心となる。2031年7月(M60)までに、第55条に基づくプラスチック再生材含有率の評価に対し、メーカーが遵守を求めらる。 2032年7月(M72)には、第49条に基づく加盟国の収集・処理における優良事例報告と、第55条に基づくリサイクル含有率目標の見直し(バイオベースプラスチックやタイヤ由来材料の包含検討)が予定されている。 最後に、2032年12月以降(M84、M96)、欧州委員会は第9条に基づく自動車セクターの循環性に関する包括報告と、第55条に基づく規則全体の総合レビューを行い、最初の政策サイクルを締めくくることになっている。
By Y.SCHANZ