共同通信をはじめ日本の主要媒体が5月27日までに「中国のタングステンの対日輸出が停滞している」と伝えたことが5月28日までに中国のネットメディアで伝わり、波紋を呼んでいる。中国の輸出統制の効果には中国でも関心が高く、場合によっては中国側の方針再考につながる可能性もありそうだ。
中国の対日輸出については、共同通信はじめ日本経済新聞や産経新聞が中国税関のデータとして5月27日までに伝えた。報道によると、4月の中国からのタングステン全体の日本の輸入量は2025年の月あたりの平均と比べて5割減り、2~4月の炭化タングステンとタングステン粉末の中国からの日本向け輸出はゼロだった。
中国は2025年からタングステンを輸出規制の対象にし、2025年11月の高市早苗首相の発言を経て、2026年1月には軍民両用品の対日輸出を禁止していた。タングステンは古くから硬度を生かしてミサイルなどに使われる「キラーメタル」であるため、1月の禁輸措置の対象になっているとみられていた。
中国の騰訊網などのネットメディアは5月28日、こうした流れを伝えたうえで、住友電気工業が日本でタングステンのリサイクル生産能力を増強することを明らかにしたことも伝えた。住友電工の井上治社長は5月12日の決算会見で「中国からの調達が完全にストップした」と話し、米国からの輸入やリサイクル増強などで日本での需要を賄う方針を示したとも伝わっていた。
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タングステン価格は中国では3月をピークに値下がりしている。国際価格は様子見気分が強いが、炭化タングステンなど一部では中国価格に追随する動きも目立ってきた。
過去3か月間の中国内外のタングステンAPT価格の推移( ($/MTU)(RMB/mt)

中国の報道では、日本側が報復措置としてフォトレジストなどの輸出規制に踏み切るのではないかとの懸念も聞かれる。一方で、三菱マテリアルをはじめ日本の素材メーカーの多くはタングステン価格の値上げに踏み切る。品薄感は根強く、中国との根競べの色も帯びている。