タングステン市場では依然として供給不安が続いている。中国の原料不足を背景に、中国企業による海外スクラップ調達が活発化しており、米国ではスクラップ争奪戦が起きている。一方で、中国国内価格は3月をピークに下落へ転じており、市場は供給逼迫と価格調整が併存する局面に入っている。
英フィナンシャル・タイムズ(FT)は、中国系業者が2025年以降、米国内でタングステンスクラップの買い付けを強化していると報じた。米国のリサイクラーや商社との間で入札競争が発生し、一部では通常価格を大きく上回る価格提示も行われているという。
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背景には中国国内の原料不足がある。中国は世界最大のタングステン生産国である一方、鉱石品位の低下や採掘規制の影響から原料確保が難しくなっている。中国のタングステン輸出は減少する一方で輸入は増加しており、原料確保のため海外スクラップへの依存度を高めている。
こうした需給逼迫を受け、APT価格は2026年春にかけて過去最高圏まで上昇した。しかしその後、中国鉱石価格やAPT価格は3月をピークに調整入りし、タングステンバー、炭化タングステン、フェロタングステン、スクラップ価格も追随して軟化している。
市場関係者の間では、高騰した価格が需要家の買い控えや代替材活用を促し始めたとの見方も出ている。ただし、中国の資源制約や西側諸国の精錬能力不足といった構造要因は解消されておらず、中長期的な供給不安は依然として残る。
当面の市場は、中国国内価格の調整と国際市場の供給不安が綱引きする展開となりそうだ。価格は高値圏での乱高下が続く可能性が高く、中国勢によるスクラップ確保の動向が今後の相場を占う重要な手掛かりとなりそうである。
(IRuniverse/MIRU S. Aoyama)