
池信新会長
日本銅センターは9日都内のホテルで第53回日本銅センター賞の表彰式を開催した。同日に行われた定時総会を経て、林陽一氏(JX金属:代表取締役社長)に代わって池信省爾氏(三井金属:代表取締役社長)が新会長に就任することが決定した。池信新会長は、今回の賞の受賞者2組に対し、「今後とも銅の用途開発、需要促進に向けて一層の活躍を願きますよう、願い申し上げる」と述べた。
1組目の受賞者は、LIXILで「水回り製品での銅合金の需要への貢献」。同社は住宅設備・建材メーカーで、水まわり製品と建材を中心に事業を展開しており、水栓事業については1964年以降、銅合金を用いた水回り製品の製造を開始した。半田工場、尾道工場、彦根工場を主力工場に、錆造、鍛造、切削、めっき加工などの様々な製造工程を保有しているという。特に尾道工場は水栓金具の基幹工場で、銅合金の鍛造加工・機械加工の両設備を保有し、最終の組み立てラインまで一貫生産体制をとっている。

右:LIXILの松尾謙吾氏
2組目の受賞者は、東京芸術大学の中林忠良名誉教授で「長年にわたる銅版画表現の探求と技術の高度化、教育活動を通じて後進の育成など、銅版画の発展に貢献」。中林氏は60年以上、銅版画における「エッチング」「アクアチント」技法による独自の表現の追究をしてきた。「すべて腐らないものはない」という思想を背景に、腐蝕や時間の痕跡を思わせる独特の表現方法に定評がある。また、教育活動を通じた銅版画技法の継承と後進育成、腐蝕作業における制作環境の安全性改善への提言、作業に使用する薬液の情報をまとめ、技術書を作成した。同氏は、数々の受賞歴(紫綬章、瑞宝中綬章、文化功労者、国内外のコンクールにおける受賞など)があり、現在、東京藝術大学名誉教授、一般社団法人日本美術家連盟常任理事(元理事長)、一般社団法人日本版画協会名誉会員などを務めており、2024年に日本藝術院の会員となった。

右:中林氏
来賓の挨拶に立った経済産業省の松本暢之金属課金属技術室長は、「銅製品の生産量は、自動車需要の回復やデータセンター需要の拡大を背景に緩やかに回復しているものと認識している。足元では、この回復基調が続く見通しと伺っているが、将来的には、銅需要は飛躍的に伸び、供給を大きく上回る可能性がある」としたうえで、「(銅価格が高騰する中)盗難などの問題なども顕在化しており、改めて安定的な原料確保に向けて、環境省と連携しながら、対応していきたい」との認識を示した。

松本氏