三菱マテリアルは27日、ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けて、電子輸送層を形成するためのインクのサンプル供試を開始したと発表した。同インクは、低コスト材料を用いながら高い発電効率を実現するとともに、塗布による成膜プロセスに適した材料設計により、量産化に向けた安定した製造への展開が期待される。

同社イノベーションセンター(茨城県那珂市)では、これらの課題を解決するため、酸化スズ(SnO2)ナノ粒子を用いたインクの開発に取り組んできた。ペロブスカイト太陽電池には、「順型構造」と「逆型構造」と呼ばれる2つの構造があり、それぞれで電子輸送層に求められる材料や形成方法が異なるが、同社は2022年度から2025年度にかけて、NEDOのグリーンイノベーション基金事業のもと、エネコートテクノロジーズとの共同開発を通じて、順型構造向け、逆型構造向けの電子輸送層インクの開発を並行して進めてきた。
同インクは、順型構造向けおよび逆型構造向けに最適化した2種類をラインアップしている。塗布による成膜が可能であることから、大面積化および製造コスト低減に適しているほか、ナノ粒子分散制御により均一で安定した膜形成が可能であり、再現性の高い製造プロセスへの展開が見込めるという。特に逆型構造においては、一般的に用いられている高価なフラーレン(C60)を使用しないデバイス構造で、すでに16.0%の発電効率を達成しており、従来の市販品インクと比較して約1.5倍の性能向上を確認している。

三菱マテリアルは今後、サンプル供試を通じて顧客からのフィードバックを得ながら用途や仕様の最適化を進めるとともに、さらなるデバイス性能の向上および量産プロセスの確立に取り組む方針だ。
(IRuniverse K.Kuribara)