バッテリーの課題解決サービスを提供する株式会社電知(埼玉県本庄市)は、7月28日、埼玉県横瀬町が運営する官民連携プラットフォーム「よこらぼ」において、社会的課題となっているリチウムイオン電池の発火に対応した安全回収容器「DENPOI(デンポイ)」を活用したプロジェクトが採択されたと発表した。
このプロジェクトでは、横瀬町内の3施設にDENPOIを設置し、住民が使用済みのリチウムイオン電池を安全に持ち込める回収拠点を整備するもの。回収したリチウムイオン電池は松田産業株式会社(東京都新宿区)が運搬・保管を行い、太平洋セメント株式会社が熱処理(焙焼※)し、松田産業が破砕選別し、資源化を行う。
※ 敦賀セメント株式会社(太平洋セメントグループ企業)で実施
同社は、リチウムイオン電池の安全な処理体制を実現できる本モデルをリチウムイオン電池の回収・保管が課題となっている日本全国の自治体、空港、マンションなどの施設へ広げていくことを目指す。
■ 背景:急増するリチウムイオン電池の発火事故と、回収の難しさ
モバイルバッテリーや小型家電などに搭載されるリチウムイオン電池は、私たちの生活に欠かせない一方で、強い衝撃や経年劣化によって発火・発煙に至る事故が全国で急増している。
こうした事故を防ぐには、使用済み電池を「安全に集め、安全に運び、確実にリサイクルする」一連の仕組みが欠かせない。しかし、発火リスクのある電池を一時的に保管・搬送する手段は乏しく、自治体や事業者にとって回収体制の整備が大きな課題となっていた。
■バッテリーの安全回収容器「DENPOI」について
「DENPOI」は、砂の消火・断熱効果を活用した、リチウムイオン電池専用の回収・保管容器。万が一、電池が発火した際には消火用の砂と薬剤が落下し、電池を砂で覆う構造により、万一の発火・熱暴走時にも延焼や周囲への被害を抑えながら、安全に一時保管することができる。特別な電源や大掛かりな設備を必要とせず、公共施設・店舗・事業所などに手軽に設置できる点が特長。
※「DENPOI」は株式会社電知の登録商標。

バッテリーを入れる様子

バッテリーの発火を抑える仕組み
■「よこらぼ」での採択と設置場所
同プロジェクトは、横瀬町の官民連携プラットフォーム「よこらぼ」に採択された。横瀬町の協力のもと、町内の以下3か所にDENPOIを設置し、住民が使用済みリチウムイオン電池を安全に持ち込める拠点回収による実証実験を実施する。
* Area898(埼玉県秩父郡横瀬町横瀬1926)
* 活性化センター(埼玉県秩父郡横瀬町芦ヶ久保140-1)
* 横瀬町役場(埼玉県秩父郡横瀬町横瀬4545)
実施期間:2026年8月1日~2026年10月31日
■ 回収後のリサイクルの流れ
DENPOIで回収したリチウムイオン電池は、松田産業株式会社が運搬します。その後、松田産業株式会社・太平洋セメント株式会社が再資源化を行う。両社は、セメント製造プロセスを活用した使用済みリチウムイオン電池の100%リサイクルに取り組んでおり、可燃性の電解液を安全に無害化したうえで、ニッケルやコバルトといったレアメタルを含む濃縮物(ブラックマス)を回収している。DENPOIによる「安全な回収」から、両社による「資源としての再生」までを一つの流れでつなぐことで、発火事故の防止と資源循環(サーキュラーエコノミー)の両立をめざす。
■「よこらぼ」について
「よこらぼ(横瀬町とコラボする研究所)」は、埼玉県横瀬町が2016年9月に開始した官民連携プラットフォーム。企業・団体・個人が、横瀬町のフィールドや地域資源を活用し、まちづくりのアイデアや新しい技術・サービスの実証・社会実装に取り組める仕組みで、これまでに数多くのプロジェクトが採択されてきた。2023年1月には、総務省「令和4年度ふるさとづくり大賞」優秀賞を受賞している。
公式サイト:https://yokolab.jp/
(IR universe rr)