海外から日本へのシリコンの輸入は、ここ5年ほどほとんど増減していない。ただ、この5年間で中国からの輸入量が2倍に増加し、現在輸入量全体の3割を占めている。
【1】シリコンウェハ輸入概況
財務省の貿易統計によると、2021年7月、海外から日本へのシリコンウェハ輸入量は、前月比25.8%減少の173トンだった。また、前年同月比20.3%減少し、2ヶ月ぶりのマイナスとなった。7月は前月より輸入量を減らしているが、それでも日本のシリコンウェハ輸入量は、ここ何年も月200トン前後で推移している。
7月の同輸入平均単価は、キロあたり4万6,910円、前月より7,944円高だった。2018年12月以来の高値となった。2ヶ月前にも4万5千円台となっている。1年前の7月には、2万7千円台まで下げていたが、ここを底に上昇基調に転じている。
2021年1-7月の同累計輸入量は1,369トン、前年比1.9%増加だった。2017年以降、同累計は1,300トン前後で推移しており、ほとんど差がない。2010年以降、16年までは、現在よりも輸入量が少しだけ多かったが、それでも輸入量ピークの2014年の同累計は1,938トンだった。
【2】シリコンウェハ輸入先
半導体向けのシリコンウェハ生産世界トップの日本だが、一部のシリコンウェハを輸入している。日本以外の海外でのシリコンウェハのメーカは、台湾のグローバルウェハーズ(以下GW)とドイツのシルトロニック、韓国のSKシルトロンが大手である。ただ、シルトロニックは、先日、GWに買収されたため、資本的に日本のSUMCOの生産量を超えてGWが生産量二位、信越化学が一位である。
ただ、日本が輸入するシリコンウェハの最大輸入先は、中国である。主に太陽光発電などの用途向けが多く、半導体向けのシリコンウェハよりも純度が低い。それでも日本は、中国からシリコンウェハ輸入量が全体の3割を超えている。まだ2位韓国の2割、米国と台湾の1割と輸入先を分散しているが、中国からの輸入量はこの五年間に2倍以上増加した。一方、韓国はほとんど増加していない。台湾、米国からの輸入量に至っては、5年前より減らしている。また、ドイツからの輸入量も年々減らしている。
このうち主に先端の半導体向けにシリコンウェハを輸入しているのは、大手シリコンメーカのある台湾とドイツ、シンガポールあたりだろう。残りは、主に太陽光発電やそれ以外の用途での輸入と思われる。
7月の主要なシリコンウェハ輸入先と輸入量とキロあたりの輸入平均単価は、以下の通りである。
韓国 49トン2万8,485円
中国 43トン3万3,328円
台湾 18トン8万4,692円
シンガポール 9トン8万8,237円
フランス 13トン3万1,536円
ドイツ 6トン8万7,149円
米国 27トン5万4,915円
(K.AKIYAMA)