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RSテクノロジーズ 再生ウェ-ハビジネスのトップランナーになるまで その経緯と先行き展望

 RSテクノロジーズは先週18日、IRUNIVERSE/MIRUcom主催の半導体オンラインセミナーで再生ウェーハビジネスについて同社の近藤取締役が解説した。

 

→(関連記事)3月18日開催決定!MIRUオンラインLive 「半導体SPECIAL Bayrinks&RSテクノロジーズ」

 

 そこで改めて明確になったのは再生ウェーハビジネスは25~26年まで拡大見通しでトップランナーとして事業拡大が続くということである。

 

 

要 約

・再生ウェーハは半導体生産工程でコスト削減に不可欠で全ウェーハ生産量の20%規模

・ラサ工業は再生ウェーハ草分けもリーマン危機で撤退、RSテクノロジーズが事業再生

・再生ウェーハ事業12インチで33%シェア、3極生産行いグローバルで事業拡大続く

 

 

再生ウェーハは半導体生産工程でコスト削減に不可欠で全ウェーハ生産量の20%規模

 3/18に「再生ウェーハ需要から見る半導体市場の現状と見通し」と題してRS Technologies 取締役 近藤淳行氏のセミナーがRSテクノロジーズの事業展開を踏まえて行われた。

 

 半導体工場では700を超える製造工程があり、各工程でプロセス評価、良品・不良品の評価のために「モニターウェーハ」が使用される。これらは1回~数回使用されると使用ができなくなるが、これらを回収し、精密加工することで再利用が可能な新品と同等の状態に戻し、同じ用途で使用できる等にするのがシリコンウェーハ再生事業である。再生事業の必要性の一番の目的はユーザーのコストダウンにあり、高コストの新品ウェーハでのモニターウェーハ使用を抑制し、新品ウェーハの25%程度とみられる低コストの加工賃ですむ再生ウェーハで代替し検査コストを下げることにある。現状、全ウェーハ使用量の20%強が再生ウェーハで賄われている。

 

 

ラサ工業は再生ウェーハ草分けもリーマン危機で撤退、RSテクノロジーズが事業再生

グラフ 日本におけるウェーハ再生事業は、1980年頃からラサ工業が開発を始め、当時の米国などからの技術を取り入れ、1984年1月にラサ工業大阪工場にて事業着手したことに始まる。翌1985年4月には宮城県大崎市の三本木工場が新設され、本格量産がスタートした。その後、濱田重工や三益半導体などの参入があったものの、リーマンショック前までは300mmウェーハの拡大もあり順調に成長していた。しかしバージンウエーハの大型グリーンフィールド投資が実行された中でリーマンショックが発生、加えて日本の半導体産業が縮小均衡に向かっていたこともあり、ウェーハ業界はバージン、再生ともに過剰設備で収益が悪化した。

 

 特に再生ウェーハ業界は加工賃の下落も激しく、最大手だったラサ工業が2010年8月にシリコンウェーハ再生事業から撤退することになり、ラサ工業の再生事業に従事していた300人強の人員のうち希望退職に250人近くが応募する事態となった。

 

 しかし事業事態を閉鎖する予定だったものが業界、地域への悪影響が大きいとして事業継承に変更とな り、外資3社を含めた引き受け候補の中から事業を継承したのが株式会社永輝商事で、2010年12月にRSテクノロジーズを立ち上げることとなった。

 

 設立当初は本社2名、ラサ工業を一旦解雇された従業員55名を継承により再雇用するなど、工場70名の陣容で新事業として再出発したが、その直後に東日本大震災が発生、三本木工場も大きな被害を受け、5ヶ月後に再稼働する事となる。

 

 その後は同社の高品質な再生技術などが評価され、一旦失った顧客も戻り、2012年10月には損益分岐点売上高を超えるまでに拡大した。その後、プライムウェーハの余剰設備も解消され、再生ウェーハも順調な拡大を見せることとなった。同社はこのような中で他社に先駆け、2014年2月に台湾に子会社を設立、台南新工場で12インチ再生ウェーハ事業を行うことし、2015年12月に竣工。また2015年3月に東証マザーズ上場を果たし、2016年9月に東証1部上場指定替えとなり、現在に至る。

 

 

再生ウェーハ事業12インチで33%シェア、3極生産行いグローバルで事業拡大続く

グラフ 現在、再生市場での同社世界シェアは12インチで33%、グループの生産能力は2021年末で月産46万枚(日本28万枚、台湾18万枚)となっているが、世界では日系2社、台湾3社の6社寡占状況にある。なお8インチ以下は三本木工場で月産12万枚の能力を有する。

 

 再生ウェーハの仕向先は12インチで40.4%が台湾向け、次いで日本32.6%。最大ユーザーは台湾TSMCで、日本ではソニー、キオクシアなどが上位。欧州は12インチ工場が少なく、米国はファブレスで米国企業ながら生産はアジアという事も多く、比率は小さい。8インチについては元々欧州で圧倒的なシェアを持っていたこと、加えてパワー半導体などで特にユーザーとの結びつきが強く、米国向けも欧 州系が占めている。現在はフル生産でも追いつかず、常時受注が5万枚程度生産を上回る状況が続いているとのことで、ラサ工業時代と同じ人員で生産量が3倍に拡大している事もあり、収益も上伸している。

 

 全体として先端半導体向けに強く、中国向けは今後中国の半導体の質的向上に伴って12インチ中心に伸びる見通しで、同社は日本、台湾の増設に加え、2022年末を目処に中国でも12インチ再生ウェーハビジネスを月産5万枚からスタートさせる計画にある。

 

グラフ 背景として、半導体生産の拡大が今後も見込まれ、特にプライムウェーハ需要が逼迫、ここに来てプライムウェーハのグリーンフィールド投資も活発化している事が大きい。プライムウェーハ大手のSUMCOによると、顧客予想で2026年まで年率8.4%、GDP成長前提で年率5.3%成長を予想、当然、再生ウェーハも同様の伸びが期待される。さらにプライムウェーハでは需要逼迫で長期契約化、また価格上昇契約が相次いでいるとのことで、プライムウェーハが30%程度値上がりする見通しの中で、再生ウェーハについては価格競争(同社は直販も他社は商社経由が多く価格競争が起こりやすい)があるものの5~10%程度は単価アップの期待もあり、再生ウェーハについても2025年~2026年まで着実な成長、収益率向上が見込まれる事で強気の事業計画を打ち出している。

 

 さらに注目すべきは、ロジック半導体においてデザインルールの微細化が限界に近づき、今後はチップのシュリンクによるウェア当たりのチップ数拡大が困難となること。SoC等では2.5D、3D化が具体化、3DNANDフラッシュメモリのように、積層化によってムーアの法則実現を目指す事になる。

 

 このためロジックでは積層化によるウェーハ使用枚数の拡大も期待でき、300mmウエーハ需要の継続的な拡大、さらには処理の難しいウェーハ比率も高まるとみられ、ロジックではモニターウェーハ使用枚数が3DNANDフラッシュと比較して格段に多いだけに、先端ウェハに強い同社の再生事業はさらにシェア拡大が期待される。

 

 

グラフ

 

 

表とグラフ

 

 

(H.Mirai)

 

 

 

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