真の意味であらゆるプラスチックの高精度分別を可能にする テイジン
帝人では、プラスチック製品の回収リサイクルを目的として、高精度な分別を可能にする新たな「素材識別に関する技術開発」を推進中です。
現在、幅広い分野で多種のプラスチック製品が利用されていますが、その殆どが着色プラスチックであり、さらには充填剤配合プラスチックも多く使用されています。これらプラスチックを回収した際の分別には課題も多いため、課題を克服するため、新たな素材識別システムの開発に注力しています。
【検討経緯】
サーキュラーエコノミーにおけるプラスチックのリサイクル推進に向けた取り組みとして、回収した使用済プラスチック製品を的確に分別(識別)することはリサイクル製品の品質の維持・向上のためにとても重要です。現在、素材の材質特定を目的とした分析は破壊検査によって正確に行うことが可能です。しかし、分析にかかる工数はリサイクル製品のコストUpに直結するため、簡易的にでも非破壊で簡単に識別可能な技術が求められています。
この分野では既に近赤外線などの光学系技術を活用することで、小型で持ち運び可能なハンドヘルドタイプの識別装置がいくつか提案・実用化されています。しかし光学系の識別装置は、着色プラスチックや充填剤・強化材を多く配合したプラスチックの識別に課題があり、識別精度としては十分なものではありませんでした。
【検討中の技術の詳細】
現在、帝人ではこれら課題を克服可能な技術として特定のミリ波帯電波を活用した素材識別技術の検討を進めています。電波を使用することで、とても小さな装置設計が可能であり、かつ光学系ではないのでプラスチックの色調に関係なく素材の識別が可能になるという特徴があります。
検討中の本技術は、プラスチック素材に特定のミリ波帯電波を照射した際の反射波を取得し、得られた反射データを機械学習により分類・蓄積し、識別システムを構築することでほぼ数秒でプラスチックの種類を特定することが可能です。
最終的なシステムの構成は、ミリ波データ取得用のセンサーデバイスを専用のアプリケーションを導入したスマートフォンに接続し、未知のプラスチックのデータを取得、専用のクラウドデータベース内に構築した各種プラスチックの学習データと照合し識別判定を行う仕組みを想定しています。
【素材識別装置試作品のコンセプト】
・センサーデバイス本体は70×50×H25mmサイズで約50g以下
・スマートフォンに専用アプリをインストールして使用
・光学系装置ではないので、外光の影響が無く、光源メンテナンスも不要
・プラスチックを非破壊で短時間に識別可能
・着色プラスチックや充填剤配合プラスチックの識別が可能
これらの特徴により、装置をどこにでも持ち運びが可能で、調べたい特にすぐにプラスチックの種類を識別することが可能です。
帝人では、本技術の製品化に向けて、PoCの推進を計画しています。
また、各素材の取得データを用いた機械学習による識別システム、アルゴリズムの確立に加え、他の技術(光学系など)との組み合わせによる高性能化の達成についても検討予定です。
本技術にご興味をお持ちの方は、是非お問い合わせください。
実証パートナーも募集中です。
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帝人株式会社
新規事業マーケティング部
→ お問い合わせはMIRUのお問い合わせページより:https://www.iru-miru.com/inquiry.php
(IRUNIVERSE Yuji Tanamachi)
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