大同特殊鋼 FY22(3月期)第3四半期決算サマリー公表
収益性改善と内容構成の良化により中計目標値を 1 年前倒しで達成の見込み
エグゼクティブサマリー
●大同特殊鋼の FY22 第 3 四半期累計 営業利益は、37,654 百万円(前年同 期比 30.2%増)となり、通期予想に対 して 84%の進捗率となったが、同社は前 回の修正予想(売上高 570,000 百 万円、前年同期比7.6%増 / 営業利 益 45,000 百万円、同 21.7%増)を 据え置いた。
●自動車減産により鋼材売上数量(第 3 四半期累計)は前年同期比 12.1% 減の 836,000 トンとなった。しかしエネル ギー・原材料価格高騰の価格転嫁によ り売上高(同)は前年同期比で 11.3%増加した。
●自由鍛造品の売上増および高機能ステ ンレスの内容構成の良化は、第 3 四半 期累計営業利益を押し上げた。
●同社は FY22 通期予想を据え置いた。 その要因として、1)鋼材売上数量の不 透明な見通し、2)為替リスク、3)半 導体・電子部品関連の在庫調整、4) 第 3 四半期の営業利益を押し上げた一 過性の利益、があげられる。
●鋼材売上数量は当初予想の 1,227,000 トンから 1,090,000 トンに 下方修正したものの、固定費削減および 原材料・エネルギー価格の高騰を反映し た販売価格是正の努力により、中計の 営業利益目標の45,000 百万円を 1 年前倒しで今年度中に達成する見込み となった。
●エネルギー・原材料費高騰の価 格転嫁は計画通り進捗しているが、計画達成は、むしろ同社が戦略製品と位置付ける自由鍛造品や高機能ステンレスを中心に内容構成が大きく改善したことに よる要因が大きかったと言えよう。
●現在、同社は年間配当以外の株主還 元策は公表しておらず、年間配当は当 期純利益の 30%を目安としている。
FY22 第 3 四半期決算サマリー
大同特殊鋼が 2023 年 1 月 30 日に発表した FY22(3 月期)第 3 四半期累計決算は、売上高 434,726 百万円(前年同期比 11.3%増)、営業利益 37,654 百万円(同 30.2% 増)となり、ほぼ会社予想通りの着地となった。第 3 四半期累計の通期予想に対する進捗率は、売上高 76.3%、営業利益 83.7%に達した。営業利益を大幅に押し上げた要因は、1)エ ネルギー・原材料費高騰を反映させた価格是正、2)スライドギャップ(顧客同意の価格改定を 実施するまでのタイムラグ)の縮小、3)自由鍛造品の好調な需要とステンレス鋼の内容構成 (売上ミックス)の改善による内容構成の良化、である。
自動車メーカーの減産により、第 3 四半期累計の鋼材売上数量が前年同期比で 12.1%減少 し836,000 トンとなった。しかし原材料費高騰の価格転嫁の進捗により、累計売上高は前年同 期比で11.3%増加した。
第 3 四半期累計営業利益については、売上数量の減少による減益が 11,600 百万円(前年 同期比)、エネルギー・原材料費高騰によるものが 45,600 百万円(同)であったが、価格是 正による増益 54,600 百万円により一部相殺された。
第 3 四半期単独では、昨年 10 月から 12 月にかけて自動車生産の立ち上がりが見られたことにより、同社の売上数量も 13.8%(前四半期比)回復し、296,000 トンとなった。売上数量の 回復は第 3 四半期単独営業利益を 2,500 百万円押し上げ、原材料価格の高騰による減益 1,500 百万円(鉄スクラップ+1,500 百万円、ニッケル等合金 -1,000 百万円、エネルギー- 2,000 百万円)を相殺した。鉄スクラップのスライドギャップの縮小も増益に貢献した。
さらに、内容構成の良化は、第 1 四半期から第 3 四半期を通じて増益に貢献した。特に自由鍛造品においては、将来的な需要を見越して 2016 年以降投資をしてきた結果が実った形となった。自由鍛造品の売上増およびステンレス鋼の内容構成の改善を通して、第 3 四半期累計営業 利益を 15,600 百万円押し上げた。第 3 四半期単独では、内容構成の改善は第 3 四半期単 独営業利益(14,429 百万円)に 2,100 百万円貢献した。
以上の結果、第 3 四半期累計営業利益率は 1.3ppt(前年同期比)改善して 8.7%となった。第 3 四半期単独では、営業利益率は 9.4%(前年同期比 2.2ppt 増・前四半期比 0.4ppt 増)であった。第 3 四半期単独の営業利益は過去最高を更新し、通期予想に対する Q3 累計での進捗率は 80%を超えたが、同社は通期予想を据え置いた。
(出典:大同特殊鋼)
詳細は以下参照。
https://www.daido.co.jp/common/pdf/pages/ir/library/sponsored/sponsored_20230214.pdf
(IR universe rr)
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