新着情報

2024/05/04   MARKET TA...
2024/05/03   バナジウム市場近況...
2024/05/03   新旧民間航空機の受...
2024/05/03   民間航空機受注納入...
2024/05/03   日本製鉄:USスチ...
2024/05/03   アングロ買収、グレ...
2024/05/03   MARKET TA...
2024/05/02   中国の三元系、LF...
2024/05/02   6月19日‐20日...
2024/05/02   東京製鐵:省エネ法...
2024/05/02   住友商事:アンバト...
2024/05/02   加パンアメリカンシ...
2024/05/02   6月19日‐20日...
2024/05/02   チタン:貿易統計と...
2024/05/02   EVバッテリーリサ...
2024/05/02   原油価格の動向(5/1)
2024/05/02   カザフスタン、金属...
2024/05/02   ゲルマニウム価格は...
2024/05/02   中国政府 再生資源...
2024/05/02   中国 自動車業界で...

ヨコオ(6800) 23/.3Q3決算WEB取材メモ Q4失速で営利最高益予想も大幅減額修正

23/3期Q4失速で15.2%増収11%営利増予想に減額、辛うじて営利最高益予想も経常減に

 

株価2013円(2/24)   時価総額480億円    発行済株23850千株

PER(DO23/3期予11.7X)PBR(0.97X) 配当(23/3予)50円  配当利回り:2.5%

 

要約

・23/3Q3は13.0%増収も円安一巡で営利8.9%減、為替益読み替え経常96.4%減も想定線

・23/3期Q4で回路検査用コネクタ失速、無線通信機器不振で15.2%増収11%営利増に減額

・5月発表の中期経営目標を増額も25/3期売上高880億円、営利106億円達成に暗雲漂う

 

 

 

23/3Q313.0%増収も円安一巡で営利8.9%減、為替益読み替え経常96.4%減も想定線

 

 23/3Q3は売上高200.71億円(13.0%増)ながら営業利益15.93億円(8.9%減)、経常利益0.81億円(96.4%減)と、円安効果急反落で収益低迷に。特に経常利益はQ2に為替前提を下期に1$=140円としていたものが円安一巡で大きく変化し大幅減益に。

 

 

 セグメント別では車載通信機器が売上高12.55億円(19.6%増)、営業損失2.53億円(15.7%改善)となった。売上面では元安効果もあり、主力のシャークフィンアンテナがSUV車など搭載比率の高い車種の生産販売回復で25%程度売上が拡大、またGPSアンテナも20%以上の伸びとなり売上回復が継続。ただし利益面では、組立中心の事業で中国での人件費増、コロナ感染拡大での工場の一時的な工場稼働率低下などが影響、Q3で収支ゼロ目標はかなわず、6四半期連続で営業赤字を余儀なくされた。

 

 

 回路検査コネクタは売上高53.62億円(1.8%増)、営利15.37億円(11.7%減)と、会社想定通りに一服状況に変化した。セグメント別ではクアルコムを中心とする前工程向けが新モデル向け納入寄与継続で70%超の伸びと高い伸びを継続、また第2の納入先も少ないながら売上計上された。一方、主力の後工程のテストソケットがインテルのハイパフォーマンスPC開発品向けが停滞、これをAMDやNVIDIA向けを手掛けるOSAT向けで補うも10%減にとどまり、計画通りの売上に止まった。またSAWフィルタなど高周波対応電子部品向けのYPXはアップル向けに強いスカイワークス向けに売上が上伸、生産が追いつかない状況ながら50%弱の伸びに。利益面では増収効果、90%が海外売上ということもあり円安効果が大きいが、後工程では付加価値の劣るOSAT向けの構成比アップでMIX悪化などもあり、営業利益は減益となるも、利益もほぼ会社想定で着地したとのこと。

 

 

 無線通信機器は売上高24.55億円(9.3%増)、営利3.09億円(0%増、横ばい)となった。高収益のスプリングコネクタでサムスンのスマホ販売不振でワイヤレスイヤフォン向けが大きく減退、POS向けもユーザーでの半導体調達難、ロックダウン影響などで売上の伸び悩みが続き、その他向けで補うも10%強のマイナスに。一方、医療用はコロナ影響が軽減され20%弱の伸びを確保した。利益面ではスプリングコネクタのMIX悪化、物流コスト、人件費増が嵩み利益率が低下し、利益横ばいに。

 

 全体を通じ、Q3で車載通信機器の収支均衡が達成されなかったものの、総じて社内計画通りの推移となったとのこと。

 

 

 

23/3期Q4で回路検査用コネクタ失速、無線通信機器不振で15.2%増収11%営利増に減額

 

 Q3決算が11/10の修正増額修正予想に沿った収益をほぼ確保したものの、足元の環境が車載通信機器事業以外で激変、23/3期会社予想を売上高770億円(期初計画比40億円増額、Q1修正比10億円増額、Q2修正比30億円減額、15.2%増)、営利63億円(同4億円減額、同4億円減額、同22億円減額、11.0%増)、経常利益63億円(同4億円減額、同17億円減額、同33億円減額、3.5%減)予想とした。為替前提を下期140円から130円に引き下げたことで営業外の為替差益が大幅減少、営業利益では減額ながら過去最高益を僅かながら更新予想も、経常利益では減益に転ずる予想となった。ちなみにQ4だけを取り出すと、売上高114.83億円(7.7%減)、営業利益1.0億円(89.3%減)、経常損失3.19億円(23.89億円減額、赤字転落)予想となる。

 

 事業別では車載通信機器が売上高459億円(Q2修正比変更なし、14.5%増)予想、営業損失16.5億円(同2.0億円赤字拡大、14.3%悪化)と、売上は変更ないも、利益はQ3の工場稼働低下影響を補えずQ4で営利黒字転換予想に。Q4では売上高114.83億円(前年同期比4.4%増)、営利0.78億円(同7.33億円改善、黒字転換)予想。売上面では為替のドル高一巡で売上の伸びはQ3の19.6%増から大幅減速も、実質数量ではSUV向けのシャークフィンアンテナの伸びが継続、利益面では一部製品の値上げ効果、中国工場の稼働正常化、ドル高によるコスト高が軽減、四半期遅れながら営業黒字転換を予想している。

 

 検査用コネクタは通期218億円(Q2予想比27億円減額、期初計画比では3億円増額、23.7%増)、営利61億円(同17億円減額、同5億円増額、25.2%増)を見込む。Q4だけでは売上高33.84億円(前年同期比29.7%減)、営業利益1.75億円(同87.3%減)予想。Q4では前工程が20%以上の伸びを続ける見通しながら、クアルコムの季節性もありQ3比では減速も大きな減額にはならず堅調な推移を予測。一方で主力の後工程はQ3でインテルの減速分をAMDやエヌビディアなどで補っていたものの、Q4で回復を期待したインテル向けがさらに減速、加えてAMDなども一服状況となった。同社は好調を維持している車載向け、パワー半導体向けなどはほとんど手掛けておらず、大幅に計画を下方修正、限界利益率が60%程度あるとみられる後工程の同期比40%超の減速が利益減の主因に。さらにYPXについてはフル生産から外注対応で増産を計画も外注での増産対応が間に合わず、Q4は30%増に止まる見通しに。昨今の半導体需要減退の影響を多少受ける見通しに。


 無線通信機器向けも売上高93億円(Q2予想比3億円減額、期初計画比12億円減額)、営利7.5億円(同3.0億円減額、同6.5億円減額、40.3%減)予想。Q4だけでは売上高18.56億円(前年同期比19.6%減)、営業損失1.52億円(同3.63億円悪化し赤字転落)予想となる。高採算のスプリングコネクタが好採算のPOS端末向けでユーザーの小売店向けが不振で在庫調整からQ4で大きく減少、もう一つのサムスン電子向けワイヤレスイヤフォン向けも激減状況でQ4も低迷が継続見通しに。医療用については前期比14%増程度の伸びを見込んでいる。利益面ではPOS用などが大半の利益を稼ぎ出しているとみられ、このQ4での減少、操業率悪化、MIX悪化で損益分岐点割れとなる見通しに。

 

 現状、車載通信機器は自動車メーカーの減産状況が漸く改善の方向が見えてきたこと、またシャークフィンアンテナ装着率の高いSUV等の伸びがあることで売上は円安一巡も売上で計画達成が可能とみる。但し利益面では中国の不透明状況が継続しており、Q4も収支均衡が難しいと判断、黒字転換は24/Q1にずれ込むとみられる。検査用コネクタについてはインテルが四半期ベースで赤字転落するなどでR&Dについても計画見直しの動きもあり、残念ながら会社計画並みの数量売上に止まろう。但し1$=130円前提に対し若干円安に推移、1円の円安で営業利益が年間で1.35億円程度プラス(売上での感応度は開示なし)となるとのことで、多少売上、利益とも会社予想を上回ろう。無線通信機器は想定以上の利益減予想となったが、世界的な消費低迷、ネット販売もスローダウンで物流施設向けも減速が見込まれ、更にワイヤレスイヤフォンは価格低下が著しく純正品の回復が見込めず、全体として会社計画並みに止まろう。

 

 全体事業として車載向けの利益未達、この分を計画よりも多少の円安がカバーし、会社減額修正並みの収益が見込まれよう。

 

 

5月発表の中期経営目標を増額も25/3期売上高880億円、営利106億円達成に暗雲漂う

 

 同社は5月本決算発表時に中期経営計画として、25/3期に売上高865億円、営利104億円を目指す経営目標を公表、中身は回路検査用コネクタを275億円まで拡大する計画だった。しかし前回、計画を増額、25/3期に売上高880億円(5月公表比15億円増額)、営利106億円(同2億円増額)予想とした。売上で15億円増額の中身は検査用コネクタが300億円(同25億円増額)、車載通信機器が470億円(同5億円増額)、無線通信機器110億円(同15億円減額)予想。セグメント別営業利益開示は無いが、車載通信機器3%、検査用コネクタ24%、無線通信機器18%の営利率イメージであった。

 

 しかし今回、回路検査用コネクタでインテルの不振から大幅な収益減額、無線通信機器もQ4赤字転落など、環境激変影響から収益の減額見直しが行われ、しかも24/3期も上期までは稼ぎ頭の後工程の検査用コネクタについてインテル不振の継続で横ばい基調継続懸念が出てきた。また無線通信機器では医薬向けが漸く軌道に乗りつつあるものの、高収益のスプリングコネクタについて、POS端末向け、ワイヤレスイヤフォン向けの次ぐ金額のアイテムが見当たらないなど、24/3期について22/3期程度まで回復するかの見通しがつきにくい状況になったと判断される。加えて車載通信事業では次世代を睨んで新たな機器の導入が期待されるものの、本格寄与は25/3期以降とみられ、当面会社側では売上営業利益率2%程度確保したい意向も、コスト高継続で1%程度に止まるとみられる。このため24/3期収益は売上、営業利益で引き続き最高水準更新が見込まれるものの、経常利益は為替益の剥落で減益が懸念される。25/3期については24/3期下期からの半導体検査用コネクタの再拡大で売上の伸び率が高まるとみられるが、中期経営計画の達成に暗雲が立ち込めたと言えよう。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

関連記事

関連記事をもっと見る