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日本ピラー工業(6490)23/3Q3 投資家説明会、タンケンシールセーコウ買収他

23/3期14.8%増収10.6%%営利増予想に増額修正し連続最高益、24/3期も最高益更新へ

 

株価3690円(3/24) 時価総額 924億円   発行済株25042千株 

PER(23/3DO:9.2X)PBR(1.51X) 配当(DO予)121円 配当性向3.3%

 

要約

・23/3Q3は22.5%増収15.5%営利増と半導体向け好調持続で収益上伸続く

・23/3期14.8%増収10.6%%営利増予想に増額修正し連続最高益予想に

・24/3期は既存事業で連続最高益更新期待に加えタンケンシールセーコウ買収も寄与


 

23/3Q3は22.5%増収15.5%営利増と半導体向け好調持続で収益上伸続く

 

 流体制御関連の総合シールメーカー。半導体製造装置向けフッ素樹脂製品に強味を保ち、特に半導体製造装置向けフィッティング(継手)等で90%の高シェア誇る。23/3Q3は売上高127.92億円(22.5%増)、営業利益34.3億円(15.5%増)、経常利益32.93億円(4.7%増)、税引利益23.29億円(4.1%増)、受注146.60億円(4.2%増)、受注残249.69億円(2.3倍)と半導体向け好調が持続した。経常利益の伸びが低いのはQ2での円安効果が一巡したため。

 

 セグメント別では電子機器関連が売上高98.85億円(22.4%増)、営利29.57億円(15.6%増)、受注114.69億円(2.5%増)、受注残高214.35億円(2.2倍)に。半導体製造装置向けフッ素樹脂製品群の好調が続き、受注も高水準で受注残高が積み上がる。利益面では原材料高影響で営利率が1.8ポイント悪化し29.9%となる。産業機器関連は売上高28.98億円(23.6%増)、営利5.21億円(18.1%増)、受注31.91億円(10.8%増)、受注残35.34億円(56.8%増)と、精密機器装置用メカニカルシールは在庫調整の影響で伸び悩むも海外向け環境対応パッキンなどが好調、利益面ではMIX悪化、原材料高影響で営利率が0.8ポイント悪化し18.0%に。

 

 市場別売上(単独ベース)では、半導体・液晶向けが82.21億円(18.0%増)と続伸、電子機器部門と産業機器のCMP用ロータリージョイント向けも拡大。化学分野は12.21億円(16.5%増)と半導体、化学、医療用メカニカルシールが好調、土木も5.95億円(2.6倍)と免震装置が半導体工場向けに大きく拡大した。一方、石油・鉄鋼・輸送向けは自動車用アンテナ基板などが伸び悩み8.16億円(3.7%減)、電力・エネルギーも2.61億円(13.3%減)と大口案件減少などが影響した。

 

 

23/3期14.8%増収10.6%%営利増予想に増額修正し連続最高益予想に

 

 Q3で期初計画に対し収益進捗率が売上で80.6%、営利で81.7%となり、23/3期予想を増額、売上高467億円(期初計画比27億円増額、14.8%増)、営利126億円(同8億円増額、8.3%増)、経常利益128億円(同10億円増額、8.3%増)、税引利益93億円(同10億円増額、12.2%増)予想と連続最高益更新予想とした。事業別では電子機器関連を売上高332億円(期初計画比21億円増額、16.1%増)、営利107億円(同7億円増額、9.9%増)、産業機器関連を売上高114億円(同6億円増額、12.4%増)、営利19億円(同1億円増額、19.6%増)としている。但しQ4だけを見ると、前年同期比2.1%増収、25.8%営利減予想。内訳は電子機器関連が5.9%増収、6.5%営利増予想と最大手ユーザーの洗浄装置最大手のスクリーンの好調もありフィッティングを軸に半導体関連で堅調を維持する見通し。一方で、産業機器関連が6.2%減収、54.8%営利減予想と、減収に加え、荏原向けCMP用ロータリージョイントの一服などでMIX悪化、さらに原価高などで大幅減益予想としている。

 

 現状、中国でコロナ影響などから新製品投入遅れなどが影響していると見られるが、豊富な受注残高の消化も進むとみられ、同社の最大ユーザーのスクリーンの好調もあり、全体として高水準の受注を確保する中で、収益の増額が見込まれる。

 

 

24/3期は既存事業で連続最高益更新期待に加えタンケンシールセーコウ買収も寄与

 

 24/3期は半導体前工程の受注減少が懸念されるも、先端デバイス向け等では薬液処理、積層化の進展でCMP工程増が見込まれ、市場全体よりも落ち込みは軽微と見られ、豊富な受注残から増収を確保しよう。現在、能力増強のため福知山第2工場を建設中で、2023年9月竣工予定で、スタート時点で現有の1.2~1.3倍の生産能力増となる見通し。最終的には機械設備を随時増強し1.8倍の生産能力を見込む。24/3期は下期に一部売上寄与が見込め、受注残高の適正水準化が進もう。なお国内はTSMCやキオクシア、さらにはパワー半導体の工場建設がラッシュとなる見通しで、半導体製造装置向けは高原状況も、免震装置、配管設備向けに需要拡大が見込まれ、収益拡大を確保しよう。さらに23/3期は自動車生産の回復、自動運転に向けた車載センサの拡大、ミリ波対応の5G普及に伴う基地局設置増、データセンタでの超高速対応などで高周波対応のフッ素樹脂銅張積層板の拡大も期待される。また産業機器関連では水素、アンモニアなど、極低・高温・高圧力などで差別化できる製品群が水素エネルギー分野として加わり、下期はCMP向けロータリージョイントの拡大も見込まれ、売上維持とともに利益も多少の減少で止まろう。全体として国内外での設備増強などの負担増を増収効果で吸収し、24/3期も緩やかながら最高益更新が見込まれる。

 

 加えて、3/22に株式会社タンケンシールセーコウの完全親会社であるアスパラントグループSPC6号の取得(子会社化)を決議、メカニカルシールでの収益上乗せが期待される。

 

 タンケンシールセーコウは1955年の創業以来、メカニカルシールで様々な分野に高機能シールの製造・販売を行ってきた。特に注目すべきは創業時にメカニカルシールの主要部品であるカーボンリングの国産化に成功、性能を左右するカーボン部品の製造加工を世界で唯一内製化しているメカニカルシールメーカーで、高い競争力を有している点。同社を子会社化する事で、カーボン材料技術の取込みとシナジー効果などが期待され、24/3期収益に大きく寄与が見込まれる。2022/10期の売上高は45.73億円、営業利益5.62億円、経常利益5.93億円を計上しており、24/3期に少なくとも同程度の連結収益寄与(暖簾償却などを考慮しない)が加算されよう。また創業100周年(1924年創業)となる25/3期には、新工場の能力拡大効果、半導体生産の再拡大加速、本格的な5G普及など、同社を取り巻く環境が大きくフォローの風となり、更なる収益上伸が期待される。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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