白井グループなど4社共創、脱炭素・サーキュラーエコノミーへの取組み
~野村不動産グループで管理する19物件にてPETボトル一括回収の実証実験を実施~
白井グループ株式会社(本社:東京都足立区/代表取締役社長:白井 徹)は、野村不動産ホールディングス株式会社(本社:東京都新宿区/代表取締役社長:新井 聡)、サントリー食品インターナショナル株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長:小野 真紀子)、株式会社首都圏環境美化センター(本社:東京都足立区/代表取締役:斉京 由勝)と協働で、循環型経済(サーキュラーエコノミー)・CO₂削減に資する取り組みとして野村不動産グループが管理する19物件(オフィス4物件・マンション15物件)を対象にペットボトル一元回収の実証実験と分別排出状況の検証を実施した。
実証実験の様子
■実証実験の背景と社会課題
現在、国内で回収されたペットボトルは約86%がリサイクルされているが、主なリサイクル方法は食品トレーや繊維(カスケードリサイクル※1)としての利用であり、そのような異なった用途でリサイクルされた場合には、ペットボトルとしては再生されず、新たなペットボトル生産の為に、限りある新規資源を利用している現状がある。このような中で、現在飲料メーカーを中心に、使用済みペットボトルを原料として同一種類の製品につくりかえる「水平リサイクル」の取組みを推進することが期待されている。
※1:元の製品よりも品質の低下を伴うリサイクル方法
【実証実験の全体スキーム図と既存リサイクルの流れの比較】
■実証実験結果と今後の展望
この実証実験の結果では、ペットボトルを「従来通りオフィス、マンションで別々に回収」した場合と比較して「一元回収」した場合、回収に要する距離が約30%短縮される為、回収時に車両から排出されるCO₂削減に寄与する他、一定の時間内により多くの使用済みペットボトルを回収できること(回収効率の向上)が示された。これは、白井グループが開発した最適な回収ルート導き出すAI配車シミュレーションで事前に導いた期待値と同等の結果となった。
一方で、回収した使用済みペットボトルの品質確認を行ったところ、オフィスで回収したものはマンションから回収したものに比べ、異物などが混入したペットボトルが多い傾向がみられたため、オフィスでの使用済みペットボトルの品質向上に向けて、分別啓発など、業界を越えた取り組みが必要であることが分かった。
このような結果を踏まえ、今後は更なるCO₂削減ならびに回収効率を高めるべく、対象エリアにある他社施設への協力依頼(共創)や回収ルートの再検証を検討するほか、より水平リサイクルに適する使用済みペットボトルを確保すべく、分別の啓発活動の推進を検討していく。
■各社の取り組み概要
野村不動産ホールディングスは、サステナビリティポリシー(2050年のありたい姿)として「Earth Pride-地球を、つなぐー」を掲げ、2030年の重点課題(マテリアリティ)の一つとして「サーキュラーデザイン」を定めている。特に「脱炭素」につながるサーキュラーの取り組みを検討してきた。
サントリー食品インターナショナルは、業界に先駆けてリサイクル素材100%のペットボトルを導入するなど積極的な取組を推進してきた。また、サステナビリティに関する7つのテーマの一つとして「容器・包装」を掲げており、2019年に「プラスチック基本方針」を策定したほか、2030年目標として「ペットボトルの100%サステナブル化※2」を掲げており、様々な取り組みを推進してきた。
白井グループは、従来の廃棄物ビジネスを再定義し、「廃棄物ビジネスのDXにより新たな都市のインフラ産業に~脱炭素・資源循環・新しい街づくりへ~」を掲げ、AIを活用した配車システムやデジタル受付システムの導入、RFID技術を活用したごみ回収のスマート化など資源循環DX技術の推進を行ってきた。
首都圏環境美化センターは、企業理念として「“リサイクルは地球サイズの思いやり” ゼロエミッションの実現に向けて・・・。」を掲げ、飲料系メーカー等と連携した、ペットボトルのメカニカル・ケミカルリサイクルによる「ボトル to ボトル」へのプロジェクトにも多数参画するなどの取り組みを推進してきた。
同実験は、循環型社会への貢献やCO2削減へ寄与する取組みであることから、4社の考えが一致し共創という形での実施に至った。
※2:リサイクル素材か植物由来素材のみ使用
(IR universe rr)
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