積水化学 CO2 を原料とした高付加価値化学品の製品化
積水化学工業株式会社(代表取締役社長:加藤敬太)と公益財団法人地球環境産業 技術研究機構(理事長:山地憲治、以下「RITE」)は、国立研究開発法人新エネルギー‧産業技術総合開発 機構(以下「NEDO」)のグリーンイノベーション基金(以下「GI 基金」)事業「バイオものづくり技術による CO2 を直接原料としたカーボンリサイクルの推進」 に共同で応募し、「バイオものづくり技術による CO2 を原料とした高付加価値化学品の製品化」が実施予定先として採択された。CO2 由来の高機能接着剤を微生物により生産する技術の確立を目指す。
1. 背景
バイオものづくり技術を利用したカーボンリサイクルは、バイオマス資源や温室効果ガスであるCO2 を原料として化学品などを生産する取り組みであり、カーボンニュートラル社会の実現に向けた有力な選択肢の一 つと言われている。
積水化学は、 CO2 を CO 90%という高い転化率で変換する技術を開発し、 世界鉄鋼大手のアルセロール・ミタル社と共同で、 製鉄時に排出されるガスからCO2を分離・回収しCOに変換して製鉄プロセスへ活用を図るプロジェクトを進めるなど、CO2回収と利用に関わる技術 (CCU) 開発に取り組んできた。 また、微生物を活用して可燃性ごみをエタノールに変換するバイオリファイナリー技術を確立し、事業化に向けて実証を進めている。
RITE は、 地球温暖化対策における中心課題である CO2の削減のため、再生可能資源であるバイオマスを原料として、 バイオ燃料や芳香族化合物及びアミノ酸を中心としたグリーン化学品を生産するバイオリファイナリー技術の研究開発を続けてきている。特に、 毒性の強い芳香族化合物の微生物生産では、独自に開発した RITE Bioprocess ® により、 多くの芳香族化合物の生産が可能となっている。現在、 それら化学品の生産技術開発に加え、 社会実装にも積極的に取り組んでいる。
今回、両社は、 バイオものづくり技術を核として、 廃棄物処理施設から排出される燃焼排ガス(CO2)を原料として高付加価値化学品を製造する革新的なものづくり手法を構築し、 カーボンニュートラル社会の実現に貢献したいとの考えで一致し、 GI基金に共同で応募し採択された。
2. 研究開発内容
茨城県ひたちなか・東海クリーンセンターの最終排ガスから CO2 を濃縮し、 ケミカルルーピング反応技術を活用して CO を製造する。その COから芳香族化合物を生産可能な微生物を CO 資化菌の育種により開発し、培養制御し (バイオ生産技術)、 芳香族化合物を高効率に生産する技術 (バイオプロセス開発)などと融合し、 統合生産プロセスを確立する。そしてスケールアップ検討を行い、 廃棄物処理施設から排出される燃焼排ガスから高機能接着剤の連続製造を可能とするプラントを建設し、 実用化を目指す。
このプロジェクトでは、 積水化学は、これまでに培ってきた触媒技術とバイオ生産技術を活かし、CO2→COの変換反応と CO→高付加価値化学品のバイオプロセス設計とスケールアップ実証を担当します。 RITE はこれまでに培ってきたスマートセル技術とバイオ生産技術を活かし、 COから高付加価値化学品原料を生産する微生物開発とバイオプロセス開発を担当する。
3. 今後の展開
CO2 を利用した積水化学グループは、長期ビジョン「Vision 2030」において、「Innovation for the Earth」をビジョンステートメントとして掲げ、イノベーションにより「サステナブルな社会の実現に向けて、LIFEの基盤を支え、“未来に つづく安心”を創造していく」。
(IR universe rr)
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