ダイセルの半導体を守る「ナノひっつき虫TM」が「Microelectronic Engineering」に掲載
株式会社ダイセル(大阪市北区)が開発した、エッチング液からシリコン窒化膜を保護する保護材料「ナノひっつき虫TM」に関する研究成果が、科学雑誌「Microelectronic Engineering」に 2023 年 5 月1 日付で掲載された。
天然由来のセルロースを原料にした同社オリジナルの水溶性樹脂「ナノひっつき虫 TM」は、半導体の 製造工程で使用されるシリコン窒化膜に特異的に「ひっつき」、エッチング液と呼ばれる強酸の水溶液からシリコン窒化膜を保護する。エッチング工程の直前にノズル吐出やディッピングで「ナノひっつき虫 TM」を塗布するだけで保護膜が形成でき、半導体製造工場で現在使われているエッチング液もその まま使えることを特徴としている。
同論文では、半導体製造で使われる様々なエッチング液で処理した際の保護性能を明らかにするとともに、他の水溶性樹脂との性能比較も行っている。また、シリコン窒化膜上に形成されたナノメートルオーダーの保護膜の存在を、X 線光電子分光法(XPS)※と呼ばれる分析手法により確認した。
※X 線光電子分光法(XPS)とは、表面分析手法のひとつで、X線照射により放出される光電子の運動エ ネルギー分布を測定し、表面(数 nm 程度)に存在する元素 (Li~U)に対し、元素の種類や定性・定量 分析だけでなく、材料の特性を決める化学結合の状態まで分析ができる手法。
論文の詳細については、次のリンクから。
題名:Selective functionalization of silicon nitride with a water-soluble etch-resistant polymer 著者:Kenji Mochida, Tsubasa Miki, Tadashi Teranishi
掲載誌:Microelectronic Engineering
DOI:https://doi.org/10.1016/j.mee.2023.112001
(iruniverse rr)
関連記事
- 2025/08/04 猛暑日本に! ヤード条例に! SDGs時代にFRP素材のエコ敷板 宏幸
- 2025/08/04 タイヤ:25年6月のタイヤ生産・販売について
- 2025/08/04 銅板輸出Report #70 2025年前半3年連続の減少 ただ年後半に向けて回復の兆し
- 2025/08/04 日本の銅箔輸出Report #60 2025年前半輸出量2年連続の増加
- 2025/08/04 ニッケル輸出入Report #188地金輸出 2025年前半 2016年以来の多い輸出量
- 2025/08/04 ニッケル輸出入Report #187地金輸入 2025年前半輸入量前年比1割増加 ただ年後半減速か
- 2025/08/04 銅条輸出Report#58 2025年前半2年連続の増加 ただ2021年22年と比べて物足りない
- 2025/08/04 精製銅輸出Report #72 2025年前半 輸出量昨年を下回る 中国向け減速が響く
- 2025/08/04 欧州からの風:July 2025 「ドイツ、遠隔操縦車両の公道走行を認める新規制を制定」
- 2025/08/02 企業価値向上を図るために 三和油化工業のあくなき挑戦