新着情報

2024/05/02   中国の三元系、LF...
2024/05/02   6月19日‐20日...
2024/05/02   東京製鐵:省エネ法...
2024/05/02   住友商事:アンバト...
2024/05/02   加パンアメリカンシ...
2024/05/02   6月19日‐20日...
2024/05/02   チタン:貿易統計と...
2024/05/02   EVバッテリーリサ...
2024/05/02   原油価格の動向(5/1)
2024/05/02   カザフスタン、金属...
2024/05/02   ゲルマニウム価格は...
2024/05/02   中国政府 再生資源...
2024/05/02   中国 自動車業界で...
2024/05/02   バナジウム電池は重...
2024/05/02   中国の原子力エネル...
2024/05/02   ローツェ(6323...
2024/05/02   MARKET TA...
2024/05/02   二次電池輸出入Re...
2024/05/02   炭酸リチウム輸入R...
2024/05/02   (速報)2024年...

バルカー(7995)23/3期WEB決算メモ 収益悪化織込み25/3期回復期待でポジティブ

23/3期先端産業向け増で16.9%増収27.3%営利増と2期連続最高益更新、24/3期は一服

株価3370円(5/20) 時価総額630億円 発行済株18,689千株

PER(24/3DO予:10.8X)PBR(1.31X) 配当(24/3予)150円  配当利回り:4.5%

 

要約

・23/3期先端産業向け増で16.9%増収27.3%営利増と2期連続最高益更新

・四半期推移は23/3Q4に14.1%増収も営利0.7%増、2.4%経常減、受注2.0%減に

・24/3期半導体産業向け減速下でも特殊タンクは増加予想で0.3%減収15.5%営利減予想

 

 

23/3期先端産業向け増で16.9%増収27.3%営利増と2期連続最高益更新

 

 配管、パッキンなどシール材大手。 23/3期決算が5/15公表され、同日説明会が実施された。23/3期は売上高621.78億円(1/30増額修正予想比11.78億円増額、16.9%増)、営業利益88.77億円(同3.77億円増額、27.3%増)と収益上伸が続いた。収益全てで2期連続最高額更新となった。

 

 事業別にシール事業は売上高401.30億円(14.7%増)、営利67.40億円(22.4%増)に。市場別売上では先端産業向けが168.5億円(38.7%増)と伸長。高シェアのエラストマー製品でフッ素樹脂ガスケット、Oリング等が内外半導体産業向けに伸びる。機能性樹脂製品も売上高189.32億円(25.5%増)、営利22.36億円(62.9%増)。先端産業向けが売上高93.5億円(26.4%増)、プラントが61.0億円(29.8%増)と戦略製品が伸長、特に海外向けが89.92億円(34.7%増)に。営利はサプライチェーン整備効果もあり収益力向上効果もプラス。その他事業は売上高31.16億円(1.1%増)、営業損失0.99億円(1.92億円悪化し赤字転落)と、ウエハ再生が27億円(1.8%減)とQ3までは順調もQ4に設備トラブルなどで通期は微減、利益はH&Sなどの新規事業の開発費先行、Q4のトラブルなどで赤字に。

 

 市場別では先端産業向けが289億円(29.6%増)、中でもシール製品が38.7%増と大きく伸び、特に23/3期は半導体向けの中で40%強を占める半導体製造装置向けの伸びが高く、デバイス向けの伸びを上回っているとのこと。機能樹脂も26.4%増となっているが、特にフッ素樹脂特殊タンクの伸びが高かった模様。

 

 仕向先では国内389.70億円(12.7%増)、海外232.08億円(24.9%増)で、北米が72.03億円(47.4%増)と半導体製造装置向けが拡大、アジア向けも158.68億円(15.9%増)と台湾など半導体工場設備投資などで好調に推移した。

 

 利益面では戦略製品の販売数量が増加、生産拠点の整備効果も寄与、売上総利益率が1.0ポイント向上し41.4%と過去最高となった。ちなみに市場別で先端産業向け売上が66億円増加し289億円となり、売上構成比も46.5%と4.6ポイントアップ、MIX良化の寄与も大きい。販管費は人件費増、物流費等のコストアップも増収効果が大きく販管費が16.2%増となり、販管費比率が0.2ポイント改善し27.1%となり、全体として増収効果が大きく大幅営利増に。

 

 

 

四半期推移は23/3Q4に14.1%増収も営利0.7%増、2.4%経常減、受注2.0%減に

 

 23/3期通期では最高益更新と好調も、四半期推移ではQ4に変調が見えてきている。23/3Q4は売上高165.16億円(同期比14.1%増)ながら、営業利益23.51億円(0.7%増)、経常利益23.51億円(2.4%減)と、経常利益が23/3Q3以来の減益となった。また受注が155.02億円(2.0%減)BBレシオはQ3に0.90と1割れとなりQ4も0.94と2四半期連続で1割れとなっている。なお受注残高は139.30億円(12.7%増)と同期比では増加も、Q2ピーク165.28億円からは15.7%減となっている。

 

 市場別では半導体製造装置向け等が変調をきたし受注がピークを付けた事で売上面でも先端市場比率が下落、利益面ではMIXの悪化、またコスト増、円安一服などの影響があった模様。

 

 

24/3期半導体産業向け減速下でも特殊タンクは増加予想で0.3%減収15.5%営利減予想

 

 24/3.期の会社予想は売上高620億円(0.3%減)、営利75億円(15.5%減)、経常利益75億円(16.9%減)、税引利益53億円(21.4%減)予想とした。同社は昨年発表したNF2023新中計で24/3期に売上高700億円、営利75億円を目指す計画としていた。しかし今回は売上で80億円減額、営業利益、経常利益は据え置き、税引利益を3億円増額した計画に修正した。これは当初、M&Aでの寄与を70億円程度見込んでいたもの(利益寄与は見込んでいなかったとみられる)を考慮に入れなかった事が大きいとしている。

 

 事業別では状況の変化でセグメント売上を変更している。具体的にシール事業を売上高397億円(前回予想比30億円減額、1.1%減)、営利55億円(同5億円減額、18.4%減)としている。昨今の半導体生産の低迷を受けて半導体製造装置の大幅減産を受け、Oリングなどの需要が減退、先端市場向けが減額となる見通し。またプラント市場向けも大規模メンテナンス向けがウラ期のため減少するとみている。利益面では減収影響、MIX悪化で利益率の低下を見込む。一方、機能樹脂事業は売上高190億円(同22億円増額、0.9%増)、営利20億円(同6億円増額、10.6%減)に。同事業は23/3期に大きく伸長、その要因の一つがフッ素樹脂特殊タンクの伸び。 同社の「ライニングタンク」はウエハ洗浄に使う薬液を保存する用途で多く使用され、据え置きタイプで3割の世界シェアを持ち、TSMCの熊本工場建設などを受けて需要が増すなどの寄与がある。また自動車生産の回復から自動車関連の回復が見込まれる。但し利益面ではフッ素樹脂価格上昇などの影響、MIX悪化で23/3期比では微減益見通しに。その他事業については売上高33億円(同72億円減額、5.9%増)、営利0億円(同1億円減額、1億円改善し収支ゼロ)予想。計画していたM&Aを織込まず、現状、ウエハ再生事業が前Q4の設備トラブル影響などがなくなり、収支均衡予想に。

 

 全体を通じ、市場別では先端市場向けが286億円(同24億円減額、1.0%減)、機器事業166億円(同62億円減額、横ばい)、プラント市場163億円(同5億円増額、0.6%増)予想としている。基本的に先端産業向けは半導体分野の低迷でシール事業の減退が主因。機器市場は新規M&A分を削除した中で、自動車、産機向けが堅調で、シール、機能性樹脂とも横ばい見通しに。プラント関連はシール製品が減少、機能性樹脂はタンク事業などの寄与で横ばい、メンテナンス事業などで拡大予定から、全体では売上横ばい見通しに。

 

 利益面では売上減額でも中計利益維持としているのは、23/3期が中計予想では65億円予想で有り、結果として88.77億円と23.77億円上ぶれており、特に機能樹脂製品での生産効率向上効果、タンク需要の拡大によるMIX良化、加えて円安効果など寄与しているため。

 

 24/3期については中計修正予想並みの売上が見込まれるが、為替前提が1$=130円であり、円安メリット分の増額は期待される。

 

 続く25/3期については、半導体産業向けの回復が期待される他、特に国内において半導体新設工場、これに付随する化学、ガスなどの新設設備投資も加わり、改めて先端産業向けの拡大で収益の拡大が見込まれ、再度、最高益更新の期待が高まる。なお同社は2027年1月に創業100周年を迎えるが、これを踏まえ、新規事業への展開、M&Aの実行により28/3期に売上高800億円、ROE15.0%の達成を経営目標としている。

 

 株価は24/3期会社予想EPS300円に対し、PER11.2倍と、日本ピラー工業の10.8倍、イーグル工業の10.1倍と似通った水準にある。収益性の高い日本ピラー工業が年初来高値更新の中で、プライム市場機械平均PER17.6倍に対し割安であり、特に半導体向けシール、フッ素樹脂加工製品を扱う同社、日本ピラー工業とも来期は収益の大幅回復が見込まれ、最高益更新が期待されることから、悪材料を織込み株価をポジティブにみたい。

 

 

 

(H.Mirai)

  

 

関連記事

関連記事をもっと見る