これからの自治体廃棄物処理の方向性をTREと日立造船の提携にみる
先日、5月22日にTREホールディングと日立造船が自治体廃棄物処理などに関する業務提携を発表した。
リリースでは
TREホールディングス株式会社と日立造船株式会社の業務提携に関するお知らせ TREホールディングス株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:阿部 光男、以下「TRE HD」)と日立造船株式会社(大阪府大阪市、取締役社長兼CEO:三野 禎男、以下「日立造船」)との間で、業務提携(以下「本業務提携」)に関する契約を締結いたしましたので、下記の通りお知らせいたします。
1.本業務提携の背景
2020年10月、政府が宣言した2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、日本は廃棄物の最少化、循環型社会(サーキュラーエコノミー)への転換が強く求められております。
TRE HDと日立造船は、一般廃棄物と産業廃棄物の最適な処理・再資源化を通じて、サーキュラーエコノミーの実現に寄与できると確信したことから、本業務提携に至りました。
TRE HDは、我が国の廃棄物処理・リサイクル関連産業を牽引してきた株式会社タケエイとリバー株式会社が、2021年10月に共同持株会社を設立し、経営統合することで誕生しました。これまで、日本経済・社会の発展に合わせて整備された環境法規制などを踏まえて、事業機能の強化を図りながら、高度循環型社会および脱炭素社会の実現に向けた環境事業の推進を図ってまいりました。
一方、日立造船は、1881年の創業以来、その時々の社会ニーズに応じた価値提供に取り組みながら事業ポートフォリオの変革を続け、現在はごみ焼却発電施設の設計・建設をはじめとする環境事業などの様々な事業を開拓し、時代とともに変化する社会問題の解決に挑戦し続けています。
2.本業務提携の目的
従来、個別で回収・処理されていた自治体の一般廃棄物や産業廃棄物について、合理的で一貫した処理体制によってサーキュラーエコノミーを実現するべく、公民連携事業を推進し、高効率の廃棄物発電施設・リサイクル施設を地域へ効果的に配置し、事業運営することを目指します。
その実現のために、産業廃棄物処理・資源リサイクルの一貫処理体制を構築しているTRE HDと、世界でもトップクラスの廃棄物発電施設の設計・建設実績を有する日立造船の両社が提携します。
3.本業務提携の内容
収集・運搬から灰資源化・処分に至るワンストップサービスを実現します。
(1)千葉県市原市「TRE環境複合事業(仮)」構想への日立造船の参画
(2)公民連携事業
①民設民営およびPPP事業による、廃棄物発電施設・破砕選別施設における一般廃棄物と産業廃棄物の混合処理
②地域新電力を通じた、サーマルリカバリー等の再エネ電力の供給③災害廃棄物の処理・支援活動
(3) プラスチックのソーティング(選別)、リサイクル事業
① 民設民営によるソーティングセンターの建設・運営
② 選別したプラスチックのマテリアルリサイクル・ケミカルリサイクル
(4) 灰のリサイクル事業
① 焼却灰からの金属回収技術の確立および事業化
② 金属回収後の焼却灰の資源化
③ 資源化困難物の埋立処分
(5) CO2の削減・回収・利用技術や設備オペレーションの省人・デジタル化に関する協力
4.本業務提携の対象地域
日本国内のうち、愛知県、岐阜県、福井県、石川県以東(これらの県を含む。ただし、北海道を除く。)の地域
5.公民連携事業モデルのイメージ
ということで、つまりは人口減の進む日本国内で、先々自治体での廃棄物処理が減少すること、焼却炉の需要も落ちることが見えているなかで、かねてより提案されていた民間でのごみ処理事業を一歩、二歩進むことになった両社の連携は今後の一般廃棄物処理の新たな方向性を示す道筋になるかと思う。
(IRUNIVERSE/MIRUcom)
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