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金融アナリストの川上敦氏の世界経済動向セミナー#3 株高は本物か

 金融アナリストの川上敦氏が定期的に開催しているセミナー「Chuck Kawakamiの金融経済Now」の最新オンラインライブが6月6日に行われた。いつものように各種データを駆使したセミナーでは、今回はバブル後高値圏にある足元の日本株高と実体経済のねじれへの警鐘が鳴らされた。

 

■日本株は33年ぶり高値圏、ただ経済は…

 6月初旬の東京証券市場で日経平均株価は終値で3万2000台とおよそ33年ぶりの高値水準にある。これについて川上氏は「日本株の株価収益率(PER)」は14~15倍程度で、米国株の20倍以上に比べて低く、海外投資家からみればまだ割安感がある」と指摘、当面の株高継続の可能性を示唆した。

 

各国株式の株価収益率

 

 もっとも、川上氏は、東証株価指数(TOPIX)はドル建てでみるとさえないとも指摘。日本経済について「企業も個人も資金の6割程度を預金に回しており、株式投資や設備投資といったリスクを取りたがらない」と話した。この背景について、「日本は過去20年間で貧困化し、2015年を底にした厳しい経済状況から抜け出ていない。企業は比較的安泰ではあるが個人消費の鈍さは変わっていない」とも述べた。

 

■世界経済全体は横ばい

世界各国のGDP成長予想値

 

 

 世界の景気動向自体は先月のセミナー時点から大きく変わらず、製造業の世界的な不振が続いている。米国は、企業利益は厳しいが、雇用は悪いとは言えない。ユーロ圏の景況感指数も一時的に上昇したもののまた下がり、行ったり来たり。ユーロ圏は小売や消費も回復の兆しが見えていない。

 

■中国経済に不安感

 特に悪化が懸念されるのが中国経済だ。中国の実質的な政策金利である最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)は「ぐーっと引き下げられ」(川上氏)ており、国内景気が悪化していることをうかがわせる。景況感指数、発電量も低迷し、自動車販売は横ばい。中国当局による打ち出しよりも景気は悪そうだ。

 

中国の政策金利の推移

 

 

 一方で、中国の内政・外交姿勢には嫌な空気を感じると川上氏は話す。「そもそも都市封鎖(ロックダウン)を伴うゼロコロナ政策は、2022年秋の共産党大会に向けた反体制派封じ込めのためで、党大会終了に伴い解除したのではないか」(川上氏)。

 外交面では2023年3月の全国人民代表大会を経て中東和平交渉、習近平国家主席のロシア訪問と動いており、川上氏はあくまでも憶測と前置きした上で、「将来的に、取引通貨を現在のドル建てではなく人民元に置き換えようという交渉があってもおかしくない」と指摘した。川上氏によると、中東にはドル建て決済に不満を持つ国が一定程度存在するという。

 

■商品相場は変わらず

 コモディティ指数(CRB)は横ばいが続くが、穀物価格は少し下がってきた。

 

コモディティ指数の動き

 

 原油は主要産油国でつくる「石油輸出国機構(OPEC)プラス」の減産方針を受けて一時上昇したが上値は限定的。川上氏は「基本的には原油、金、銅すべてやや下落し、投資家は売り越し。バルチック海運指数(BDI)は、一時は需要増加期待から上昇したが直近はまた鈍い」と述べた。

 

 

(IR Universe Kure)

 

 

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