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ディスクリート半導体#3 RFデバイスその2

 ディスクリート半導体の中で最も注目されているものの一つにRF (Radio Frequency:高周波デバイス)& Microwave(慣用的な電波区分で,波長1~10センチメートル(周波数3~30ギガヘルツ)の電波)。テレビの遠距離中継や衛星通信・放送などに用いる。センチメートル波。SHFなどをさす。

 

 Fig1 は世界のRF & microwaveデバイス販売高ランキングを示したものである。1位のAmpleon(アンプレオン社)はNXPからスピンオフしたメーカーでRFトランジスタ専業メーカーである。LDMOS(シリコン半導体)とGaN(化合物半導体)を設計製造している。LDMOS(Laterally Diffused Metal Oxide Semiconductor)は、900MHzの携帯電話技術向けに開発された。 セルラー通信市場の継続的な成長により、LDMOSトランジスタのアプリケーションが保証され、LDMOSテクノロジが成熟し続け、コストが削減され続けるため、将来的にはほとんどの場合、バイポーラトランジスタテクノロジに取って代わるといわれている。

 

 4位のQorvoは2015年 RFマイクロ・デバイセズ(RF Micro Devices)トライクイント(TriQuint Semiconductor)の合併により設立された。売上の7割をスマートフォンが占めている。顧客はアップル、ファーウェイなどである。アメリカの航空防衛向けにも製品を出荷している。Wolfspeedは2021年、Creeが社名変更してできた会社である。SiC製造メーカとして知られている。

 

 RF & Microwave デバイスメーカー世界売上ランキング10をFig1に示す。AmpleonとNXPはともに旧Philips半導体にルーツをもつ。RF & Microwaveの領域ではトップ10に村田製作所が日系企業としては唯一ランクインしている。

 

 

Fig 1 RF & Microwave デバイスメーカー世界売上トップ10 (ソース:OMDIA)

 

 村田製作所は通信モジュールに注力している。製品群としては以下のものがある。

  • Wi-Fi Module/ Wi-Fi+ Bluetooth Module
  • Bluetooth Module
  • LPWA 製品 ④ミリ波RF:エッジAIモジュール⑤V2Xモジュール⑥ミリ波レーダーセンサモジュールなど

 

 次に世界のPower RF トランジスター販売高ランキングトップ10をFig2に示す。

 

 

Fig2 AmpleonのLDMOS製品(ソース:Ampleon Web)

 

 

Fig 3 Power RFデバイス販売ランキング(OMDIA)

 

 LDMOSはトランジスタにおいて,ドレインとゲート間の電界強度を緩和する構造にした横型MOSトランジスタを指す。チップ上でドレイン近傍の不純物を横方向に拡散する構造を採用する。耐圧を高くできるのが特徴である。MOS携帯電話基地局のパワー・アンプ回路でよく利用されている。

 

 ロジック回路の製造で使うCMOSプロセス技術を利用して,LDMOSを製造できる。そのため,例えばGSM向け携帯電話機のパワー・アンプとしても数多く利用されている。ところで日系企業の中で唯一トップ10にノミネートされているのは三菱電機である。三菱電機のシリコン高周波デバイスは、数MHz~1GHzにわたる周波数帯域における移動無線通信機器の送信段電力増幅用キーパーツとして、官公庁向けをはじめとする各種移動業務用無線機、アマチュア無線機、車載TELEMATICS市場まで幅広い製品ラインアップを揃えている。

 

 三菱電機は、各種レーダー、衛星通信装置、5G基地局などを開発・生産しており、それら応用システムに搭載する高周波デバイスも社内で開発・製造している。開発・製造しているのは、1GHzから10GHz以上で動作する、1Wから100W以上の出力を扱う性能を備えた横型GaN HEMTデバイスである。高周波デバイスに使用する基板をシリコンからGaAsからGaN on SiCへと開発の舵を切っている。 現在、多くのシステムメーカーや半導体メーカーが、高出力・高効率な高周波デバイスを製造する際の基板としてGaN on SiC基板を使用するようになった。高周波デバイスの応用市場では、Si基板やGaAs基板をベースとしたデバイスから、より高性能なGaN on SiC基板をベースとしたデバイスへの置き換えが進行中である(Fig4)。GaN on SiC基板ベースの高周波デバイスの市場規模は、年平均14%で成長しているという。5G基地局をはじめとする無線インフラに向けた応用市場で、より高性能な高周波デバイスが求められるようになったことが、こうした基板の置き換わりを後押ししている。ソース:三菱電機Webより

 

Fig4 高周波領域では、GaN on SiCベースのデバイス活用が拡大

出所:三菱電機

 

業務用無線機向けシリコンRF高出力MOSFETモジュール;RA50H7687M1

 

 

(椿匡之)

 

 

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