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オランダのELVリサイクル管を担うARN

 オランダでは、使用済自動車の生産者責任組織であるARNが中心となって国内の使用済自動車の回収・処理管理を行なっている。先ごろジュネーブで開催された国際自動車リサイクル会議におけるパネルディスカッションで、ARN事務局長から組織の紹介が行われた。

 

 EUのELV指令および廃棄物枠組み指令のもと義務化されている使用済自動車の拡大生産者責任制度は、加盟各国で設置状況やその形態も異なっている。自動車業界では、生産者がその拡大生産者責任を委託する生産者責任組織を設置している国と、自動車メーカーが直接回収ネットワークを構築しているケースが主流だ。オランダの場合は、前者の生産者責任組織であるARNを設置しており、同組織が国内の9割近くの使用済自動車の回収・リサイクル管理を行う。

 

 現行規制下の使用済自動車の拡大生産者制度は、非常に「原始的」と言われており、各国の自動車解体業者からは機能していないとの声が上がっている。一方でオランダの場合は、ARNのもとで行われる使用済自動車の回収・リサイクル形態は、欧州委員会からEU域内の成功例(ベストプラクティス)として認識されている。

 

 その一例として、オランダでは、欧州で長期に渡り大きな問題となっている「行方不明の自動車」の数が非常に少ないことが挙げられる。欧州全体では、数字上は毎年全体の3割前後が行方不明になっているが、オランダにおける行方不明の自動車数は5%前後にとどまっているという。(ちなみにドイツの場合は50%という数字もある)その理由についてARNは、国内の登録システムが機能していることを挙げている。自動車の所有者には、抹消登録を行うまで(本人の名義である期間)税金と保険料の支払いが生じる。自動車が使用済となった場合は、「廃棄証明」が所有者へ発行される。そのため、最終所有者に義務付けられた手続きが徹底しており、自動車の現状ステータスが明確に把握できる。使用済自動車の処理状況については、2022年度の回収率98.7%という高数字を達成している。

 

 一方で輸出については、現在国内で取り組みの必要な問題を抱えているという。2022年の例では、オランダから約35万台の自動車が輸出され、自動車の平均年数は12年だった。うち5%のみがEU域外へ輸出され、残りは全てEU域外の輸出となっている。オランダでは過去3年間で輸出車の数が大幅に増えており、その一部に「怪しい」数字があるという。ARNではその理由について調査を実施した。その結果、スクラップ価格の値上がりに伴い自動車の輸出数が増加していた。更なる調査の結果、何らかの形で法を潜り抜けたと思われる自動車は「輸出」と称して実際は国内で不法業者により処理されていることが判明した。こうした業者は、規制基準を満たすことなく低コストで処理できるため、使用済自動車を高価格で買取っている。違法行為による処理数は全体の5%から10%以下と数字としては低い。しかしながら、ARNではこの状況を、環境への負荷に加え、必要基準を満たして適正な処理を行う認定処理業者(ATF)や破砕業者を不利な状況に置くものとして重く見ており、対策を急いでいる。

 

 こうした「フェイク輸出」に対する解決策としてARNは、難しいとしながらも長期的にはEU全体の登録システムの設置、短期的には輸入国における登録制度の改善や17年以上の自動車の輸出の禁止などを提案した。

 

 

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SCHANZ, Yukari

オーストリア、ウィーン在住フリーライター。現在、ウィーンとパリを拠点に、欧州におけるフランス語、英語圏の文化、経済、産業、政治、環境リサイクル分野での執筆活動および政策調査に携わっている。専門は国際政治、軍事、語学。

 趣味は、書道、絵画、旅行、フランスワインの飲酒、カラオケ、犬の飼育。

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