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オキサイド(6521)24/2Q1WEB決算説明会メモ  ややポジティブ継続

24/2期予想はRaicol社連結で52.5%増収も一時費用で11.4%営利減予想は上振れ期待

株価(7/18)3715円   時価総額371億円   発行済株9988千株 

PER(DO予:64.3X)PBR(7.5X) 配当(24/2予)0円  配当利回り:-

 

要約

・24/2Q1は4.3%減収、0.49億円営業損失も半導体事業正常化で計画比営利1.8億円上振れ

・24/2期予想はQ2よりRaicol社損益連結で52.5%増収11.4%営利減予想は上振れ期待

・中計において26/2期に新領域の拡大で連結売上高136億円、営利16億円目指す

 

 

24/2Q1は4.3%減収、0.49億円営業損失も半導体事業正常化で計画比営利1.8億円上振れ

 

 単結晶及びレーザ光源・装置などを手掛ける研究開発型企業。24/2Q1決算が7/13に開示され7/14にWEB説明会が実施された。24/2Q1連結業績は売上高13.59億円(計画比0.44億円減額、前期は非連結で同期比4.3%減)、営業損失0.48億円(同1.81億円増額、同3.72億円減少し赤字転落)、経常利益0.69億円(同2.30億円増額、同80.5%減)、税引利益0.39億円(84.3%減)となった。基本的にQ1はまだRaicol社のバランスシート反映のみで損益寄与はQ2以降。

 

 製品の市場別では、半導体事業が売上高10.17億円(46.9%増)と四半期として過去最高額を更新。但しこの中には23/2Q3に発生した部材の不具合による出荷遅延分も含まれるとみられ、見かけ以上に増収幅が大きくなっている。ヘルスケア事業は売上高2.45億円(49.9%減)と、中国市場の悪化、顧客の在庫調整の継続から低調に推移。頭部PET検査装置用シンチレータ単結晶の寄与はまだ僅か。光計測・新領域事業は売上高0.96億円 (59.3%減)と、前年同期にあった研究開発用スポット売上がなく反動減に。

 

 全体として売上面では会社計画並みに推移も、利益面では半導体向けに不具合が生じた影響から製品、仕掛品のプロセスが正常に戻ったことで利益が上振れした。なお設備投資が9.79億円(同期比7.89億円増)、減価償却費0.94億円(0.2億円増、27%増)、研究開発費1.93億円(0.59億円増、44.0%増)、期末従業員294名(23/2期末比30名増)など、先行投資負担増も影響、これらの影響を除けば営業利益は黒字を維持できたと見られる。

 

24/2期予想はQ2よりRaicol社損益連結で52.5%増収11.4%営利減予想は上振れ期待

 

 24/2期会社予想に変更はなく、単独決算が売上高72.94億円(26.8%増)、営業利益6.81億円(26.8%増)、経常利益9.45億円(37.4%増)予想と、7期連続最高売上、6期連続経常最高益更新予想。一方、子会社化したライコル社がQ2より収益も連結され、連結予想は売上高87.73億円(前期単独決算比52.5%増)、営利4.71億円(同12.3%減)、経常利益6.52億円(5.1%減)予想。なお連結に伴う追加費用4.76億円を除くと営業利益で9.47億円(76.4%増)と実質大幅営利増で営利最高益更新予想。

 

 現状、Q1で半導体事業を主に1.8億円営業利益が上振れ、経常利益でも円安影響で為替差益が想定を上回っているとみられる。業績予想を変更していないが、売上がほぼ計画線にあり、24/2Q2以降も期初計画並みの収益が見込まれると判断、加えて円安効果で為替差益が減少しないと考えられ、単独決算では会社計画を上回る収益が見込める。なお、7/6にエーザイのアルツハイマー型認知症の治療薬「レカネマブ」が米国FDAより正式承認された事が報じられたが、24/2期において同分野での売上規模はヘルスケア事業の売上高の10%程度(1.7億円強)と、まだ収益寄与はほとんど無く、増額要因としては来期以降となる模様。また今回Raicol社の22/12期の収益実績が開示され、売上高15.03億円(37.9%増)、営業利益0.77億円(14.4%減)となっている。大幅増収ながら営利減となったのは22/12期に7億円の設備投資を行い減価償却増などが影響した事が大きいとのこと。この増設で生産能力が倍増したとしており、23/12期については売上高18~19億円、営利2億円程度を想定、増収効果で収益性が通常の営業利益率10%程度に回帰するとしている。Raicol社については想定通りの状況と見られるため、Q2以降の連結収益は単独の上振れ分が反映されよう。

 

 事業別に半導体事業が売上高49.78億円(53.7%増)を見込む。Q1での売上進捗率は20.4%となっているが、第4工場の稼働で生産能力がアップ、部材の不具合影響が改善されたことで豊富な受注残高の消化から会社計画並みの売上達成が可能とみられ、利益の開示はないものの、部材影響が解消され利益の増額が見込まれる。ヘルスケア事業は17.21億円(2.9%減)を見込む。世界的な景気減退で癌診断PET用が低迷を続けQ1でボトムを形成したとのことも、頭部PET用の増加では補えきれず、会社計画を若干下回るに止まろう。新領域事業は売上高20.73億円(2.8倍)を見込む。ライコル社の子会社化でQ2より新規連結で約16億円が含まれており、これを除くと4.3%増予想となる。分野としてはレーザ機器の開発に関連する案件が多いとみられる。

 

中計において26/2期に新領域の拡大で連結売上高136億円、営利16億円目指す

 

 同社は中期経営計画で26/2期に売上高136億円、営業利益16億円を目指す。事業別の売上開示はないが、半導体事業が倍増強、新領域5~6倍、ヘルスケア10%増のイメージ。

 

 新事業ではライコル社とのシナジー効果で、宇宙・防衛、美容、エネルギーなどの新事業、さらには量子分野など、10億円を超える事業創出を見込む。ライコル社の地域別売上は米国40%、欧州30%、イスラエル本国20%、アジア他10%となっている。また分野別では宇宙・防衛が約50%、美容分野30%、量子・エネルギー分野20%の構成とのこと。23/12期はエネルギー、量子分野の伸びを期待し、美容は景気停滞も有り伸び悩むとしている。またスマートグリッド分野で電界センサーに光学単結晶が使用され、Raicol社製品が採用となり今後大きく伸びが期待されているとのこと。

 

 同社は事業拡大にあたり半導体事業において第4工場で半導体メンテナンスのための量産工場が完成、同じ3月には第5工場も完成、第5工場では育成装置を導入し新製法によるパワー半導体SiCの量産技術開発を進める。ターゲットは8インチ大口径も、6インチ対応を早期に量産化、特に高品質が要求されSiC市場の1割程度を占めると見られるP型SiCの量産化を急ぎ、25/2期にも収益寄与を目指す。この他、ScAlMgO4単結晶基板(以下、「SAM」)をテンプレートとして成長させたGaNで2インチのGaN単結晶を開発。高歩留まり且つ転位等の格子欠陥が少なく完全度の高い結晶で、青色LED、可視光レーザ、パワーデバイス用半導体材料として大きな成長が期待される。また最近ではフェムト秒レーザ分野でも新製品開発を進めている。さらに同社は単結晶製作で3月にクレムソン大学発のスタートアップ企業HTCS社と資本業務提携を締結、HTCS社は同社が保有していない水熱合成法による単結晶育成方法を保有している。水熱合成法は、高温・高圧の水溶液中で化学反応を起こし結晶合成する方法で、低温での合成が困難な物質を合成でき、現在は人工水晶などがこの製法で製造されている。HTCS社は量産型ではなく小型装置で研究開発用に特化した対応を行っており、同社はHTCSの技術を利用し、特殊な結晶開発が可能となる。特に宇宙・防衛や半導体事業で必要な基礎研究をHTCS社と行い、同社とライコス社で量産化を進める事を想定している。

 

 ヘルスケア分野では頭部PET用シンチレータ単結晶の売上拡大が期待される。同分野は23年7月6日にエーザイがアルツハイマー型認知症治療薬のFDA正式承認を受けたことで、今後の頭部PETによるアルツハイマー診断の件数が大きく伸びることが期待される。国内でも1月に承認申請が提出され有線審査中で有り、EU,英国などでも承認申請中で、治療薬の普及で頭部PET検査装置の拡大で大きな需要が期待され、将来的にがん診断用を抜く規模も見込める。

 

 新領域ではRaicol社の寄与が大きいが、その他では通信分野として長距離量子通信機器の実用化に向けた製品開発が注目される。同分野では横浜国立大学堀切研究室発のスタートアップ企業LQUOM 株式会社への出資を通じ、長距離量子通信機器の実用化に向けた研究開発を目的とする資本業務提携を締結している。長距離量子通信構成機器である量子もつれ光源、星子中継器およびこれらを統合した通信システムの構築で、LQUOMに対しキーデバイスである高品質波長変換素子、および量子中継器で利用される高品質光学単結晶、高機能波長変換導波路素子の供給を行う。同分野は6Gを睨み、マーケット規模など不透明も、潜在市場は大きく中長期的に大きなインパクトが望める。

 

 全体として25/2期には先端半導体向けの需要再加速、M&Aや業務提携などのシナジー効果などが加わり、26/2期の会社想定の中期目標達成が可能とみられる。株価は24/2期会社予想EPS43.14円に対しPER86倍と今後の成長を期待し、高PERとなっている。しかも7/6のエーザイのFDA正式承認を受けて株価が戻り歩調にある。24/2Q1決算が上振れも、予想を変更しなかったが、今後増額修正の可能性から連結営業利益で増益に転ずる期待があり、さらに25/2期はRaicol社収益のフル寄与、生産設備の本格稼働、ヘルスケアも頭部PET装置の拡大などで収益上伸が見込まれるため、上場来高値5150円を見据えてややポジティブ継続としたい。             

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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